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記者は情報の最先端にいない

よく記者は情報の最先端にいるといわれることがある。

確かに、様々な人に対して取材をすることができたり、発表前に勝手に報道したり(いわゆる独自や特ダネといわれるもの)、誰もが認識していなかった事実を報じたりと、社会に開かれていない情報(いわゆる非公開情報である)を得ているという意味では、情報の「先っちょの方」にいるのは事実だろう。

ただ、最先端であれば、発表する内容を作る側に回る必要がある。
具体的に言えば、ニュースリリースを作る側であり、会社の意思決定をする側であり、もっといえば現場なのである。

発表をする文章を作れない時点で、記者とはすでに情報の最先端から後手に回っている。
「独自」だとか「特ダネ」といって騒いでいるけれども、それは単に記者が情報提供者によって使われているだけの話であることも珍しくない。
調査報道であれば別だけれども、廉直さを失った取材の果てに情報をとってやったぞといった傲慢な態度は、言うなれば裸の王様にも近い滑稽さがある。
自らを客観的にみて戒め続けられないマスコミの人間は、ほぼ間違いなく人から好かれない。

結局マスコミも人間相手の商売だ。信頼できないひとに大事な話はしようと思わないだろうし、取材先にある程度おもねるところもある。
まっとうな人間関係を築き上げられない記者はいくら文章がうまくとも、特ダネが取れようとも、将来に向けて有意義な関係を紡げるような人望はあるまい。
「情報の先っちょのほう」にいる記者だからこそ、身の上をわきまえた人間性が必要だ。文章だけではなく、取材の瞬間に勝負をしている面が記者にはある。

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