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【経済】社会保険料や支援金は立派な「税金」である

一般に税金というと、消費税や所得税といった「●●税」という名前のものが思い浮かぶ。
確かにそれはその通りなのだが、税金が一体どのような性質のものであるのかを考えてみると、必ずしも税とは「●●税」と呼ばれるものばかりではないことがわかる。

税金とは何か。
国税庁のホームページなんかを見ると「みんなで社会を支えるための『会費』」との表現がなされている。確かに税金によって社会のインフラなんかが支えられている面もあるから、その言い方は間違いとは言えない。

ただ、会費とはいえ、基本的には脱会が許されているわけではない。日本にいる限り税金は強制的に徴収される性質のものであり、自らの意思で何らかの会に入って払う会費とは違う。そこで生きているだけで徴収されるので、言い方は悪いが「ショバ代」みたいな感じだろう。

要は、我々に意思があるなしにかかわらず、強制的にとられるお金が税金なのである。
こう考えてみると、この世界にはそれなりに多くの「強制的にとられるお金」があることがわかる。

そのひとつが「社会保険料」のたぐいだ。給与明細を見ると、社会保険料などの名目であれやこれやと給与から一定額が天引きされている。見てみればわかるが、それも数万円単位であって、まあまあ大きな金額だ。
ちなみに社会保険料は給与をベースにしてその額が決まるのだが、その決め方は毎年4~6月の給与情報をもとに決まる。ということは、4~6月に残業をしすぎて給料が上がったりすると、場合によっては社会保険料の負担が大きくなる可能性があるのだ。給与の変動をちゃんと反映する狙いなのだが、それにしても意味不明な仕組みをもとに我々は社会保険料を実質的な「税金」として収奪され続けている。

実際、社会保険料はどんな調子で増えているのか。たとえば2022年3月、雇用保険料を2023年に引き上げる法案が成立している。ほかにも、2020年9月には厚生年金保険料を2022年9月から引き上げる法案が成立している。さらに2022年10月には国民健康保険料の上限が2023年度以降に2万円引き上げられることが決まった。
一事が万事この調子で、ステルス的に社会保険料の負担は増え続けている。日本経済新聞によれば、社会保険料率は29.35%と30%にも迫る状況だという。

ほかにも「賦課金」というものがある。有名なもので言えば、電力料金の明細に記載されている「再エネ発電賦課金」なるものである。これは再生エネルギーの普及のために我々市民が一方的に負担させられている金である。電気を使っていないのであれば徴収されないが、現代社会において電気を使わないというのは相当レアであるので、これもまた実質的な「税金」である。

さらに「支援金」なんて言葉も出てきた。少子化対策の財源のひとつだが、全世代で支援金を拠出するため、現役世代にも負荷がかかる。現役世代の親を支援するために現役世代の親からも金を取るという意味不明な仕組みであり、当然我々は合意した覚えはない。これもまた実質的な「税金」だ。

こんな調子で私たちの財産は世の中にあまねく存在する「税金」によって侵害され続けている。そしてそれは、まさに政治家が「税を引き上げるとメディアは取り上げるが、社会保険料やら賦課金といったものであればさほど大きな話題にはなるまい」と思っているからこそ、それらがしれっと上がって我々の生活は痛めつけられている。
消費税が上がっていなくても所得税が上がっていなくても、今この瞬間も私たちは真綿で首を絞められるように「増税」の憂き目にあっている。だからこそ、「税金」という名前でないから大丈夫と、看板だけにだまされてはいけない。私たちにこそ、その金が「税金」であるのかどうか本質を見極める力が求められているのだろう。

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