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それでも続く日々の中で何を考えるか『ラストマイル』

『ラストマイル』を完成披露試写会で観ました。

『ラストマイル』は監督 塚原あゆ子さん、脚本 野木亜紀子さん、製作 新井順子さんというそうそうたるメンバーが再びチームとなり作り上げた『アンナチュラル』『MIU404』と世界線を共有するシェアード・ユニバース作品です。
過去2作品が大好きな私にはたまらないこの作品。情報が出た時から「絶対にみる!」と公開日を楽しみにしていました。
そんでもって完成披露試写会があるなんて聞いたら、まあ申し込みますよね。当たったのが本当に本当に嬉しくて夢かと思って、でも現実だったのでできるだけ静かに踊り狂いました。

あらすじはこんな感じ。

11月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。

誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?

決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?

すべての謎が解き明かされるとき、この世界の隠された姿が浮かび上がる。

https://last-mile-movie.jp/story/index.html

全体的な感想

自分の世界を、視野を、もっと広げたいと思わせてくれる作品でした。頭の片隅を刺されたような感覚がずっとあって、良い意味で痛みを残されています。素晴らしいと同時に、我々に問いかけてくる、考えなきゃいけないと思わせる内容でした。

我々の生活に馴染んでいる“運送”というシステムは本当に便利で、ボタン1つですぐ注文できて、あっという間に届く。作中でも“ポチる”という言葉が何度か出てきていて、それくらい身近で、気軽で、当然の存在になっていますが、その過程にどれだけの苦労があるのか、想像はできても実際経験していない身で語ることはできません。

『アンナチュラル』や『MIU404』を観ていた時にも思ったことですが、考えることをやめてはいけないと、改めて思います。考えることを辞めるのは楽かもしれないけれど、辞めてしまったら、いつか救いの手を求める人が現われた時に、動くことができないような気がして。

「仕事と生き様の映画だなって」
8/20のラジオで星野源さんが『ラストマイル』をそう表現していました。同意しすぎて首が痛いです。
この作品の本質は絶対にそこじゃない。登場人物一人ひとりの人生について、生き方について、考える作品なのです。
広報側が宣伝文句として豪華キャスト・スタッフ陣を打ち出してしまうのは、なんとなく理解はできます。観終わってみると今出ている予告以上の映像を使うのはなかなか難しい気がするし。ただ、あれくらいキャスト・スタッフを前面に出すことで『アンナチュラル』や『MIU404』を知らない人たちにも興味を持ってもらえたのではないでしょうか。理由は何であれ劇場に足を運んでみてもらえたなら、作り手たちの思いは十分届くと思うのです。

それから、以前星野源さんがラジオで「ちょっとしか出てないです」と言っていましたが、ちょっとではないな?  もちろんお話の中心人物はラストマイルチームの皆さんですから多くはないですが、思ってたよりはいましたね。
舞台挨拶曰く、石原さとみさんたちは1日、星野源さんと綾野剛さんたちは2、3日で撮影が済んだそうです。その1日の撮影のために完全再現されていたUDIラボに製作陣(美術さん?)の本気を感じました。感謝……!!!!

『アンナチュラル』も『MIU404』も観たことないからなぁ……と思っているそこのあなた!!!!! 全然大丈夫です!!!! 知ってた方が面白いとは思いますが知らなくても問題なく観れます!!!!! なので観に行くか悩む理由がそこならばぜひとも!!!!!! 今すぐチケットを買って映画館へ!!!!!!

※以下、本編のネタバレあり
 執筆時点で1度しか鑑賞していないため曖昧な部分多め
 長い


デイリーファースト

通称デリファスは、アメリカに本社がある巨大ショッピングサイト。今回の物語の中心となるのが、日本にあるデリファスの関東センター。
規模の大きさとは裏腹に関東センターの正社員はわずか9人。廊下にはこれでもかとロッカーが並んでいるのにそれだけ。選びたい放題とかそういうレベルじゃない。関東センターがいつからあるのかわかりませんが、そこまで古くはなさそうな印象。最初はもっと正社員がいる予定だったけど話は流れた、とかでしょうか。にしても読みを間違えすぎじゃないか??

対照的に入るのが、800人強いるのにせっっっっまいロッカーで体ぶつけあってる非正規の人たちの描写。やっぱり読み間違えがすぎるな。Zeppのロッカーあるところだってもう少し広いだろ。1ヶ所しか知らんけど。

“自分は大丈夫だろうか”

チームマネージャーの入れ替わりが激しすぎやしないだろうか。運送業界では働いたことがないし、どんな現場なのかもほとんど知りませんが、流石に違和感が。

山崎佑が飛び降りたのが5年前で、梨本孔が2年目でいちばん長い。つまり間の3年で、ロッカー引き継ぎシーンから考えるにチームマネージャーが4~5人変わっているということ。そんなにしょっちゅう入れ替わるもの? やばくない? 多分部署移動とか昇格で入れ替わったとかじゃないと思うんです。前任のセンター長も体壊して辞めたって言ってましたし。
ブラックだとか、キツイだとか、マイナスなコメントを聞きがちな業界の1つが運送ですが、だとしても、なかなか。

ただ、みんな“自分は大丈夫だろうか”と不安を抱え続けて、その結果辞めてったのだとすれば、それは良い決断だったのだと思います。特に最初の女の人は山崎の飛び降りを目の前で見ていたわけですし。

働かなければ生きていけない。しかし働く体がダメになっては元も子もない。「大丈夫」と言う人ほど大丈夫じゃないと言いますが、言おうと言いまいと、本当の意味で大丈夫な人など、きっとこの世に1人もいません。
過去2作品にも共通して「死ぬ選択ではなく、生きる選択を」というテーマを私は感じています。彼ら自身が倒れる前に、飛び降りる前に辞める選択をしたのなら、それが1番だと思うのです。


登場人物

まさかの中心人物に中村倫也さんと仁村紗和さん!!!!!!  ま!?!?!?!?!?
舞台挨拶の時に「まだ明かされてない人がいるんですよ…」って俳優陣が言ってましたけど本当にいたよ、びびる。観ながら声でなくてよかった。
ほかにも『アンナチュラル』から白井くんがいましたね!  バイク便に! 元気そうでよかった!
『MIU404』からの勝俣くんもそうですが、本当に物語が地続きで存在しているんだな、と実感させてくれて嬉しい限りです。


舟渡エレナ

基本的には人が好きで、人懐っこい性格なんじゃないかな、というのが観終わっての印象。ただ彼女もいろいろあっての日本勤務なので、過去を知らない序盤だけ見たら、なんだこの人、と言いたくなったりも。その人を知るということは、その人の人生を、歩みを知るということだな、と思います。

ただし序盤は「何だこの人……」とかっていう印象が強い。
指輪とかアクセサリーを結構たくさん付けてたりタクシーで出勤してる姿は“上の立場の人”を感じるし、ぎゅうぎゅうの専用バスとの対比なんかは特に、えぐいというかなんというか。
開かないロッカーのことを指摘した時も「直さないの?」と聞きはしたけど、足りてるってことか、とそれ以上は何も言わない。“壊れていても代わりがあるから大丈夫”ってことで、消費する側の思考。思い返しているうちに、山崎のことをなぞっているっぽいな……と怖くなりました。

でもまあいくら優秀な人っていったって、センター長になって即この騒動はしんどい。さらに後々わかるのが休職明け1発目だったということ。そりゃあ面倒を避けようとしたり、警察を煙たがったり、どうにか仕事が滞らないように頑張ろうとするわけです。ここで結果を残さなくては、と重いプレッシャーがのしかかっていたわけですから。
サラは山崎や筧まりかからのメールをわかっていて彼女を送り込んでいるので、いわばエレナは犠牲の1つにしてもいい程度の認識だったんでしょうけど。

「センター長ではなく、エレナで!」と言ってたのは、アメリカ帰りってことの伏線でしょうか。もしかしたら肩書が怖かったという可能性もあるかもしれません。山崎は休職前、責任ある立場にいたっぽいですしね。
「時差で……」もそうですねきっと。「福岡で?」という指摘はどうにか誤魔化していたものの、本来嘘や誤魔化しは苦手なほうなのかも。ただのうっかりさんという可能性もありますが。

序盤の「転倒防止」「飛び降り禁止」のやり取りは山崎のことをわかっていたからあの表現なんですね。半分は、少なくとも5年前に飛び降りがあったのにセーフティネットを用意していないセンターの認識の甘さへの呆れだったかもしれませんが。

誤魔化そうとしてる・焦っている時の例えは下手なのに、メディカル便の例えは的確だったのが怖い。例えと言うか、事実なんですけれども。だからか、マジックワードについては特に、山崎のことも自分の経験もあったから淡々と語ってましたね。実際に経験したことや起こったこと、事実として目の前に存在して長々と自分の肌で感じてきたことは冷静に語れるけど、非日常的で自身の評価にも関わるプレッシャーの大きい時にはイマイチ頭が回らないのかも。

注文の受付を辞めたら、デリファスでメディカル便を注文した人が“新たに買う先を検討しなければならなくなる手間”については思いつかなかったな………
たしかに、「ここで買えなくなったから、今すぐこっちに切り替えよう」なんて、そう簡単にはいかない。命に係わる道具だし、大きい組織であればあるほど、品質、信頼、値段etc.と、色々あるでしょうしね。

荷物の検査に警察を無償で使う(というか警察が立場的に無償にならざるを得ないからそこを利用した)のがちゃっかりしてるというか上手いというか。海外サイトで検査用機械10台ポチッたりもするあたり、波に乗った時の頭の回転はやっぱり速い。今思えば英語圏アカウントの所持も伏線だったのかも。デリファスのシステムわからないけど。
五十嵐との電話で「人件費を負担してくれる(タダ)んですよ!」と笑顔だったのも印象的。台詞の中でさらっと、えぐいことを言わせるのが本当に上手いですよ、野木亜紀子さんは。

流石に彼女が山崎の恋人だとしたら単純すぎるし違うだろうと思った時点で「じゃあなんでこんなに仕事に必死なんだ?」と疑問を感じましたが、なんと休職明けでした。
「働きすぎて、眠れなくなって、、医者にかかって、薬飲んで、しまいにはドカン」
エレナの言っていたこのドカン、は、倒れた音なのか例えなのか。アメリカなら拳銃自殺の可能性もありますかね。
もしかしたらアメリカ本社でも過労で倒れたり死んでしまった人がいたのかも。

物語が進むにつれてラフな姿になっていったり、自ら羊急便を訪ねたり、自分の手で松本家に荷物を届けたりと、馴染みやすさと言いますか、自分のことばかりでなく周囲を思いやる姿勢が見えてきていたのが記憶に残っています。人は焦ったり追い詰められたりするとどうしても周りがよく見えなくなるので、精神的に少しではあるけど余裕や冷静さができて、考えて、行動できるようになったことが表れているんだろうなぁと。

仕事で結果を残すために突飛な発想をしていくわけですが、それを最後には関東センターや運送会社を守るために使ってくれたのが嬉しかった。それもあって最終的にはクビになってしまうわけですが、サラの誘いも断ってたし、後悔が少なそうなのがなによりです。「爆弾はまだある」わけですしね。
それから、“仕事を辞める”という選択肢が前向きにとらえられたのも良かったなぁと。『アンナチュラル』や『MIU404』では辛いこともたくさんあったけど、それでも今の生活を続けていく(仕事を続けていく)姿が描かれていて、それはそれで好きなんですが、時にはやめる選択があっていいのだと、同じ製作陣が作り上げた作品内で言ってくれたのが嬉しくて嬉しくて。
「死ぬ選択ではなく、生きる選択を」という一貫しているテーマをまた感ぜられて、大きな心の支えになりました。
「せーので辞めましょう」とストライキの提案をエレナが言ったのも良かったですね! 5年前、五十嵐が言えたならよかった言葉を、彼と同じく向上心のある彼女が言ってくれたのは大きいと思います。

「脅しっていうのは上の立場が下の人にするものですよ」
五十嵐へのこの言葉が、エレナ自身、自分の言動を踏まえ、反省して発言していたのならいいなと思います。
羊急便への電話はまさに脅しで、稼働率を下げないためとはいえ、これが羊急便をどれだけ圧迫していたかまではその時点で考えられていなくて、でも最後には「せーので辞める」ことを提案し、自ら動いていて、それが本当にかっこいい。

意図的にする脅しはもちろん怖いけど、無意識的にしている脅しやはっきりと言葉にしていない脅しはもっと怖い。
本社のサラは筧まりかからの脅迫メールを冗談と思いながらも予防策でエレナをセンター長として送った。向上心があり休職明けである彼女に「山崎佑の情報は消した方がいい」と言えば、何かが起こった時に自分の立場を案じて都合よく動いてくれることも、きっと織り込み済みで。ある意味これも脅しだろう。
直接的に言ったわけではないが、言ったとしても、「上手く対処してね。休職明けだしね。」みたいなことになっていただろうから。


梨本孔

中の人の話になりますが、エレナ役の満島ひかりさんとの身長差がすごい。満島さんも162cmあるらしいんですが、岡田将生さんは182cmだそうです。大きい。ほぼ自動販売機。
舞台挨拶で岡田将生さんお腹なってて可愛かったですね。30代とはいえあのメインキャストの中では年下ポジションなのがまた可愛らしい。

話を戻します。

冒頭のネクタイ結んでるところが、彼の始まりだったとは。そこに繋がるとは! 勘のいい人はわかったりするものでしょうか。私はあの手の描写にはいつもしてやられます。

エレナがロッカーを選ぶ際に山崎のロッカーが開かなかったのは、代々引き継いでるものでおそらく誰にも使わせないようにも言われていたから。深い理由はわからないまま5年も引き継がれていくというのは、なんだか不思議です。梨本は事件のことも山崎のことも知らないようなので、本当に、ロッカーだけが引き継がれていったのでしょう。扉の内側の書き残しを見て気になっている様子は見せつつも、突き止めようとはしない。
無関心ではないけれど、関心があるというほどでもない。
この絶妙な距離感には私も身に覚えがあるのですが、これってどうなんだろうな、とたまに考えます。
無関心だから悪いとも、関心があるから良いとも一概には言えないですし。興味関心の矢印が何にどう向いているかが問題だと思っているので。

人の命がかかわっている問題と仕事は天秤にかけられることが多い気がします。少なくともフィクションの中では、問題に関われば仕事を失うぞと脅されたりすることが多い。人間というのは働かなければ生きていけないので、なかなか問題のために動こうと思える人は少ない。だからこそ動ける人たちが輝くヒーローとしてスポットライトを浴びるのでしょうけど。

前職は日本の悪い所を煮詰めたような会社。そこがシステム系(プログラミング系?警備システムとか言ってたかも)で、元ホワイトハッカーであったことは後々わかることですが、それは「業務外のことを押し付けられたくないから」誰にも言ってこなかった。余計なことを知ったり知られたりすることは、自分にとってリスクが大きい。それを避けることは、梨本が生きていくうえで必要なスキルだったのです。生きるために身につけたスキルが生きる上で邪魔になる、というか周囲の環境によってされてしまうという皮肉。
この手の話でよく聞くのは、イラストを描けることを言うな、ってやつですね。特にデリファスのような隙あらば経費削減を狙っている企業でそんなことを言ってしまえば「描いて!」と言われそうですし、仮に賃金が上乗せされたとしても雀の涙であることが想像できます。

エレナを疑いつつも、爆弾を開けかけてしまった彼女を見捨てない優しさが、彼のもともとの性格なのかもしれません。話の都合上といってしまえば味気ないですが、本来は困っている人に手を差し伸べて、そばで一緒に頑張ってくれるタイプだったのかもしれません。
爆発物処理班が来てからも わざわざ近くにい続ける必要はなかったと思うんですが(もしエレナの手を支えて触れてたら必要かも。そこまで見てなかった……)そばで彼女とそろってヘルメット被せられてるのはちょっと可愛かったです。

次のセンター長になっちゃったけど、彼はどんな風にやっていくのかなあ。


山崎佑

存在感が薄い、強い主張が苦手な人っぽい、というのが第一印象。
わかりやすいのが名前で、彼はヤマザキじゃなくてヤマサキ。しかし大多数はきっと、最初はが濁った音で呼ぶ。病院でさえ点滴にはヤマザキと書かれている。5年も入院しているのに。書類等で確認してるじゃないのか??? と思わなくもないけど、まあ置いておきましょう。引き継いだ看護師が口頭で確認して勘違いしたまま今に至るのかもしれません。
さて、そんな人ですから恐らく、呼び間違えられても訂正できない。したとしても強く出れなくて、結局そのままというパターンもありえそうです。

それでも新卒で入ってからずっと身を粉にして働いて頑張っていたのに、中途入社の五十嵐に追い抜かれ、ブラックフライデーが怖くなり、行き着いた先が植物状態。自分の意思で飛び降りたとはいえ元凶は労働環境なのだから、どこかで救いの手が差し伸べられるか、逃げるかできていたならなどと思うのは、私が画面越しの完全なる外野だからなのでしょうね。

意識があったとはいえ朦朧だったか少なくともかなり限界に近かったことが伝わってくる、ロッカーの鍵が鍵穴に入らなくてついた擦り傷も、誓約書の署名も、久部くんが聞いた「馬鹿なことをした」という言葉も、全てが苦しくて、辛い。
それでも、彼が追い詰められていた証拠になるかもしれないからと、代々チームマネージャーが彼のロッカーを守ってくれたことだけは、よかったのだと思います。いや、よかったと気軽に言えることではないのでしょうが、最初“救いでした”と書こうとして、「救いだったか?」と自分で自分の言葉に疑問を感じたので辞めました。彼の苦しみは彼にしかわからないし、恋人の筧まりかは死んでしまったし、会社全体が大きく変わった訳でもないから。

彼が飛び降りた時、近くのパソコン前に座ってた女性は座ったままに見えましたが「まさか飛び降りるわけない」と思っていたからでしょうか。運送会社の人の「(爆発するわけないから)大丈夫」と同じで、バイアスがかかってしまったということかもしれません。

ロッカーの描き残し

7.2m/s    →    0
         70kg

『ラストマイル』山崎のロッカーに残されたメモ

まだ1回しか観ていないので理解しきれていませんが、記憶の範囲内で情報をまとめます。

ベルトコンベアの速度が7.2m/s、耐荷重が70kg。
山崎拓は、劇中映った運転免許証から昭和63~64年あたりの4/15生まれで、昭和64年は1/7までなので、仮に昭和63年生まれとするとラストマイルは2023年のお話なので34歳。

厚生労働省によれば、令和元年の30~39歳男性の平均体重は70.0kg。
山崎が過労で痩せていたとしても60kg強はあるとして、既にベルトコンベアに乗っている荷物もそれなりの量あったでしょうから、彼が乗れば止まる可能性は十分あったはずです。

止まる=速度0m/s=稼働率0%

こういう意味なのではないかと思います。
「ブラックフライデーが怖い」と恋人に言っていたくらいですから、ブラックフライデーが来ないよう前日にラインを止めようとしても不思議ではありません。
しかしそれも結局、五十嵐が山崎をベルトコンベアから下ろしてしまえば元通りになってしまうことで、再び動き出したベルトコンベアを見つめる彼の瞳が忘れられません。だからこその「馬鹿なことをした」という言葉。自分が犠牲を払ったとて、その甲斐なくまた元のように動き出してしまう。その時はそれが最善と思いやってしまったことを、大怪我して意識が朦朧としている中で思い出してぽつりとこぼす姿もまた苦しく映ります。

「1番知りたかった答えがロッカーにあったのに」
エレナのいうように、このメモこそが筧まりかの知りたかった責任の所在についてを記していて、あれをもっと早く理解し、筧まりかに知らせることができていたなら、きっと彼女は死なずに済んだし、山崎が独りになることもなかった。

ちなみに演出なのか見間違いなのかわからないんですが、ラスト山崎の瞼動いてませんでした……?
目覚めることがこんなにも怖いことあります? 父親も恋人も亡くなってて、しかも恋人は自分のために大きな事件まで起こしてて……私なら目覚めたくなかったと思ってしまいそう。

ちなみに監視カメラの映像に映ってた女性、絶対中村倫也が女装してるんだと思ってました。全然違った。


筧まりか

恋人のためなら海だって越える人ですが、
エレナの「(そんな根性あるなら)別のところで使えっての!」
ミコトの「そんな根性なら無いほうがいい」
そう言われてしまう、言わざるを得ない結果に、2人の言葉が刺さります。
人はいつだって危うくて、一歩間違えれば谷底へ落ちてしまうようなギリギリの場所を歩いていると思うのです。
彼女はきっと、山崎の出来事やエレナとの会話、自身に押し付けられた責任、デリファス本社に送ったメールへの反応の無さなどの1つひとつが重なって、谷底へ進んでしまった。
“世界が罪を贖ってくれますように”と願いながら。

最初の爆発、部屋が燃えてから爆発まで間があるな、とは思っていましたが、まさかそういう繋がり方をするとは考えてもいませんでした。
上手く爆弾が動かないなら自ら使ってやるという“根性”が、筧まりかに生きたまま爆弾を顔から浴びる選択をさせてしまった。自らの手で、タイミングを選んで、生きたまま燃えて死んでいった。エレナやミコトの言う通り、そんな根性はなくていいし、あったとしても別のことに使うべきだと私も思います。ただ、彼女にとってはあのタイミングが使うべき時だったのだと思うと、苦しくなります。

体が燃えれば燃えるほど、身元の特定は遅くなる。部屋は他人の名義を買って借りているので尚更。まだ生きていると思わせることで警察の動きを撹乱できる。だから部屋ごと燃やしてから爆弾のスイッチ入れたんですね、きっと。
思い返してみれば、最初の爆発(筧まりかの自殺)以外では死者は出ていないんですよね。あくまでも大きい目的はデリファスなので必要以上の犠牲はできるだけ出したくなくて、でも運送システムに依存した世の中にも罰を受け入れてほしくて、考えた結果が12個の爆弾騒ぎ。
恋人が飛び降りて、植物状態になって、法的に訴えることも出来なくて。そんな状態まで追い詰められてしまった彼女は、何をどう考えてあそこにたどり着いてしまったのでしょうか。

声をあげようとしたって無駄なら、自分が悪いと言われるのなら、己を犠牲にしてでも動くしかないとも思ったのかもしれません。
『アンナチュラル』第4話「誰がために働く」でお店に石を投げた男の子と、三澄ミコトの言葉を思い出しました。
「大人のあんな姿を見せられたら、石を投げることしか出来なくなる」
大人だってきっと、周囲に追い詰められてしまった先では、そうするしかできなくなるのでしょう。

細かなこと
日本発売前のデリフォンを手に入れられた理由がいまいちよく分かっていないんですが、関東センターで働いてたから先に盗んで、自分が出品者になれるシステムで注文して出来たってことですかね。事前予約していたとしても発売日当日に受け取ってそれを別の人へ発送ってできるんでしょうか。あ、でも最初の爆発は筧まりが自分でやったことだから、もう1つのデリフォンは死ぬ前に当日受け取り当日出品できたのかも。
それともエレナが海外アカウントでポチッったように、筧まりかが海外アカウントで注文したんでしょうか。説明してましたっけ。うーーーーん早くまた見たい。

それから偽CM。あれって冒頭の電車内でも流れていたと思うんですが、見間違い? あれは本家?
でももし見間違いじゃなくて電車内のが偽CMだとしたら、どうやって流したんでしょう。それを思うとやっぱり電車内のCMは勘違いかもしれません。

納品までの流れが完璧。自分で発注して、自分が架空の打ち合わせして、CMを作る。休みの日は携帯の電源を切っていて、それを会社の人もわかっているのでしつこくかけたりもしない。事件発生後、ここでも時間を稼ぐことができるわけです。(デリファス本社のあるアメリカとの時差で、向こうが土日に入ればなにか起きても時間が稼げる、といった発言をしていたエレナとの対比といいますか、何かしら意図的にやっているのかも?)
もしかして広告会社での書類に筧まりかの名前あったのかな……?


五十嵐道元

経歴データに中途入社と書いてあったのは見たけど何年前からかは見えなかった……ただおそらく5年前にはセンター長をしていたので、余程優秀で抜擢されたか、数年デリファスに務めていて優秀な成績から統括本部長に選ばれたかのどちらかですかね。なんとなく後者な印象。
エレナの功績をちゃっかり横取りしようとしていましたけど、まあそう上手くいきませんよね。彼も彼で板挟みで、頑張ろうとしてるところがあるんでしょうけども。

5年前のことを知ってて(目の前で見てて)今も残ってるのは五十嵐道元だけで、私としてもどういう気持ちで働き続けていたのか気になります。
評価に貪欲な様子から上昇志向の強さがうかがえますが、それはつまり周囲からどう見られているか・思われているかを強く気にしているということで、5年前のことを彼が全く気にしていないわけがない。自分の統括するセンターでの事故ともなれば、いくら山崎本人の意思で飛び降りたとはいえ評価に影響が出るのは間違いない。

エレナと話をしたトレーニング施設で床に転がり両手で顔を隠した姿には、交渉せざるを得ない状況まで持っていかれたことへの悔しさだけでなく、5年越しに山崎への償いができたような気持ちになれて、ほんの少しだけ救われたのではないでしょうか。
5年前のことで「結婚のことで悩んでいた」と発言している同僚というのは、もしかしたら五十嵐かもしれなくて、そのことももしかしたら引きずっていたのかも。

彼はとにかくラストの表情が不安。ぼんやりと山崎が飛び降りた高さから下を覗き込む表情は、良い意味で我々の中に気持ち悪さを残しました。


佐野亘(息子)

荷物の爆発に巻き込まれた被害者側である彼が「アンタも無事でよかったよ」と言っていて、その優しさが嬉しいと同時に苦しくて少し泣きました。なんだかんだいっても互いに愛のある親子であることがわかって私は嬉しいです。家族が仲良しなお話し大好き。

ただし、ただしですよ。息子関連の話で1番嬉しかったのは…………………………やっぱり家電じゃないですか!?!?!?!?!?!?
序盤で“務めてた家電メーカーが倒産した”話は出てましたが終盤まですっかり忘れてました!!!!!!! やられたーーーー!!!!!!!
息子が松本家でチラッと視線やった時点で(まさか!?)とは思いましたがマジで元勤め先hinomotoの家電だったー!!!!!! 耐久性と耐火性に優れててよかったー!!!!!!! わーー!!!!!!!! 良いものなのにもう使えなくしてごめんね松本家!!!!!!! 命に免じて許して!!!!!!! 息子ーー!!!!!!!😭😭😭😭😭😭
今の家電はある程度の年数で壊れるようにできている、商売優先の作りをしていると聞いたことがあります。そこを意図的に描いたかはわかりませんが、個人的にはアンチテーゼっぽくて結構好きなシーンでした。
耐久性を重視して作ってたhinomotoは、商売って意味ではダメだったかもしれないけど、すごくお客さん思いのいい会社だったんだろうなぁ。

宇野祥平さんが舞台挨拶で触れてましたが今回親子役のお2人、お名前もそうだけど火野正平さんと本当に親子みたいで、最高のキャスティングすぎるな……とひとりニッコニコでした。


佐野昭(父)

荷物が落ちた衝撃で爆破したときに、運送会社の人に怒ったところがとてもよかった。予告にも入っていた「ドライバーの命なんだと思ってんだ この野郎!」という台詞が、好きと言うのもなんだかおかしいというか不謹慎かもしれないんですが、好きです。

羊急便の人に「爆発したりしないでしょうね」って聞いた時に「大丈夫大丈夫」って軽く返事してたのが本当にしんどくて、あの人も方々に挟まれ大変な立場だったのかもしれなくて、あの状況で変に不安になることを言う訳にもいかないだろうし、立場が上であろう彼が下の立場である彼らに脅しのように「稼ぎたきゃ運べ」などと言うわけにもいかない。かといって彼らを全く軽んじていなかったかといえばそれも多分違くて、難しい。

息子に対し「教えられるのこれしかないから」と申し訳なさそうにしていたのが切ない。誇りを持ってしてきた仕事とはいえ、いざ息子のピンチに教えられることがこれしかないと気づくと、情けなく感じたのかもしれません。でもそんなことはなくて、息子さんもちゃんとわかってて、素敵な2人だなぁと何度も思いました。

遅れた荷物を雨の中配達しているとき、荷物にはビニールがかかっているけど自分は傘どころか合羽も着ていなくてずぶ濡れ。なのに「いらないです。爆発したら困るし・・・・・」などと断られるのがもーーーー辛い。
「荷物が一人ひとりのもとに辿り着くなんて奇跡なんだぞ。俺たちは奇跡を起こしてるんだ」と胸を張っていたけれど、息子の「誰も親父のこと、大切にしてないよ」という言葉が刺さります。

奇跡も、生活に馴染みすぎると“当たり前”になってしまう。当たり前を受け取れなくなったとき、人は不安や怒りを抱える。今回で言えばそれを佐野親子やコールセンターが受け止めている。ひっきりなしにかかってくる電話の対応に追われている人たちのシーンでは左右が少し歪んでいたように見えて、仕事で精神的に削られていく心を表しているように感じました。

ストライキによる交渉で送料は上がったものの、配送料1個あたり20円ほど。100個運んでも2000円。本当に、“焼け石に水”
前よりはマシかもしれないけど、雀の涙程度。
それでもこの親子はどうか、支え合いながら幸せに生きて欲しい。


やっちゃん

佐野親子の会話に出てきた人物、やっちゃん。
最初は山崎佑のこと!? と思いましたが違くて、じゃあ誰……? と思ってましたが、まさかこの人、山崎佑の父親……!?!?
わざわざ名前の音が被る名前にしたのはなんでなんだろうと思っていたんですが、会社の責任にできなかったのもなんとなくわかる気がします。
やっちゃんもおそらく羊急便で働いていて、取引の6割はデリファス。もし訴えたらクビにされて、自分の生活はおろか入院してしまった息子のことも支えられなくなる。息子本人は誓約書にサインもしてしまった。だからといって何もしないのは心苦しい。そんなときに耳に入ったのはおそらく「結婚について悩んでいた」という息子の同僚の言葉。ともすれば、息子の怪我の原因は会社ではなく恋人で、筧まりなへのあたりが強かったのも納得です。
息子同様無理をして働いてしまうタイプだったかもしれません。父親もまた、誰かに助けを求める前に無理が祟ってしまったのでしょうか。


松本家

舞台挨拶で安藤玉恵さんも言っていましたが、松本家3人は他のキャラクターたちとは少し違う位置にいて、映画を見ている我々に近い。何がと言われると、なんだろう。ポジション? 立場? 環境? まあともかく、お話の中心に深く関わるわけじゃないけど、大事なポジション。
娘二人がお母さんの誕生日プレゼントに買ってたとは思わなかったーーーーしかも冒頭のあれーーーーーー!!!!!! すっかり404の数字に引っ張られてました。やられた!!!!!! 終盤はもうドッキドキでしたが、404は“間に合う”という意味だったのかもしれません。安心と信頼の404……!!!
妹ちゃんが1人で宅配ボックス前にいたのびびりましたけどね。私も(まさかベランダから落ちてないよね?)って思いました。朝ベランダにいたから………見事なミスリード………いや充分危険ですから気をつけるべきだしお姉ちゃんにも見ていてほしかったですけどね。でもお姉ちゃんはお姉ちゃんで、姉(面倒を見る側)の役割を押し付けられてもな……って気持ちになっちゃってたかも。難しい。
今思えば妹ちゃん、あれは配達を待ってたんでしょうね。部屋を抜け出して1階までいく根性というか度胸というか、こっちも行動力がすごい。

配達した荷物のことで息子が松本家についたけど不審者扱いされているシーンは見ているこちらが仲介に入りたくなる勢いです。でも佐野父が表れて「羊急便です!」と言った時にすんなり信じてもらえたのは、きっと普段から佐野父が丁寧に荷物を届けていたからで、これまでのやり方にも意味があったんだと嬉しくなりました。

最後エレナが持ってきた商品を佐野親子に渡すのよかったですね~~~~~。良いとこどりしないで、いつも配達してくれてる人に託すのが、とても。松本家は家族3人川の字でハッピーにすやすやしてくれ。


八木さん(羊急便)

八木さんは、パッと見はそこまで可哀想というか、末端的な立ち位置には見えない。実際役職にはついてるし。がしかし、デリファスに依存している現状を嘆く姿や自棄になった様子で寝タバコをしながら電話する姿は実に苦しい。上からも下からもデリファスからも挟まれていつ潰れたっておかしくない。
昔は自分も運転手で、胸張ってやってて、でも今その仕事は安い単価でやらされるわりに忙しいクソみたいな仕事で、考えるだけでも辛い。客へ荷物を届ける最後の区間、ラストマイルを担当している運送会社や運転手は大切な存在のはずなのに、どうしてだろう。

でも多方面からの電話やらなんやらで忙しい中、電話越しに言ってやった八木さんはかっこよかったですね!!! そしてクマさんからの一言「相手社長です!」
「………伝言の手間が省けた!」
相手まさかの社長だったね。でもズバッと言っててかっこよかったよ。なにより相手が社長とわかっても離し方が変わらないのがいい。へりくだることなく最後まで信念を辛い抜いた姿が最高でした。

エレナからの電話で「ご自分が来たらどうですか」って言ってたら本当に来て驚いてはいたものの、同時に少しうれしかったんじゃないかなぁ。きっとこれまでは言っても実際来る人なんてまずいないから話にもならなくて、でも今回はエレナが来てくれたから互いに話ができて、最後にはストライキの提案までしてもらって。
八木さんが提案しても良かったでしょうけど、これまで自分たち弱い立場の人間を脅して使っている側だったエレナから提案したというのがいいですよね。

日本ではなかなかストライキの話は聞きませんが、最近だと北海道の業務スーパーでありましたね。
生活がかかっているからこそ放置せず動かなければならない。簡単なことではないけれど、でも頑張って、思い切って動いたおかげで交渉できたし社長部長も現場に引きずり出せたし、よかった😭😭😭


他作品からの出演

『アンナチュラル』
白井くん
白井くん!!!!!! あの時高校生だった白井くん!!!!! バイクに乗って大切な荷物を運んでいるんだね白井くん!!!!!!
君が出てきた瞬間泣きそうになりました。「僕だけが生きてていいのかな」と涙を流していた彼が、今を一生懸命に生きている姿が見れるなんて思いもしなかったので。
久部くんのところに無事届けてくれてありがとうね~~~!!!!

木林南雲
木林!!! 木林じゃないか!!!! 情報解禁のときにいたことをすっかり忘れてて試写会で飛び跳ねそうになったよ!!! 相変わらず胡散臭いメガネしてて安心した!!!!! その眼鏡が似合うの世界中探しても片手に収まる人数しかいないと思う!!!!!!! 似合ってるよ!!!!!!!!!
あの登場量だけだと『アンナチュラル』を観ていない人には彼がいったい何者なのかわからないのもいいですね。下手に説明がない。でもどうやら仲間っぽいことだけはわかるという。

坂本誠
「ラストチャンス!」っていいながら棚開けてんの可愛くないですか?? 何探してたんだろ。久部くんに聞かれたやつかな。
クソって言いかけた中堂さんへの表情が最高ですね。「クから始まる言葉が出てこないんだ!」ってきゃっきゃしてたのもまた可愛い。6年間で強くなったなぁ……。楽しそうかつお元気そうでなによりです。

中堂系
ギリギリでクソと言わなかった。バレてるけど誤魔化そうとしてクから始まる言葉を考えた結果ミコトの「来る」をもらってるのかわいい。「来る!」ってまあまあなボリュームで叫んでましたね。
燃えた筧まりかの左手の薬指に触れた時、そこに指輪があるのを見た時、夕希子さんのこと思い出したりしてたかもしれない可能性に心臓が痛くなりました。
彼は結果的に復讐を成し遂げられなかったわけですが、筧まりかは自らを犠牲にしてでもやってのけようとしたわけで。だからこその「たいした根性だな」なんでしょうね。

三澄ミコト
6年経ってるんだよね???? 石原さとみさんが変わらず美しい&可愛いでびびりました。全方向美女。
「ここ病院じゃないし」の言い方好きです。「なんで坂本さんが(リモコン)持ってるの」も好きです。
予告で彼女が黒いものを手にしているのは気づいていましたが、それが遺体の頭部だなんて誰が思いますか。
無理心中に巻き込まれて死にかけたミコトにしてみれば、罪を償わせるために世間を巻き込んだ筧まりかの“根性”は本当に「なくていい」と心の底から思うものなのでしょうね。

東海林夕子
市川実日子さん大好き過ぎる。舞台挨拶の衣装良すぎ。𝓛𝓸𝓿𝓮。衣装決めた人とハグしたい。
もしかして撮影係を兼任してました? 久部くんが研修医になってから新しいアルバイトの応募は無いんですかね。
UDIは存在し続けているものの、ギリギリの状態であることに変わりはなさそうです。
コピー用紙疑ってごめんね。

久部六郎
立派になって…………
舞台挨拶で市川実日子さんがややネタバレしちゃってましたけど、まさか404の2人と絡むとは!!! うれし~~~!!!
実際の医療現場でも運送会社からの配達って結構あるんですかね。メーカーから直接買ってメーカーが配達、とかじゃなくて。
してるか。そんな近所の薬局とかで売ってるようなものじゃないし、ものによってはその方が安くなったりするかもしれないですしね。
仮にメーカーから直接買って配達されるのが一般的だったとしても、結局は配達要員が必要なわけだから、やっぱり運送と無関係に生きている人間はいないんだなぁ。

神倉保夫
星野源のマイメンで今は監督しながらご飯食べているであろう松重豊さんは相変わらずおちゃめで可愛くていい演技をしますね。大好き。
警察?から歯型の資料をもらってましたね。『アンナチュラル』で話していた歯科カルテのデータ化が叶ったということでしょうか、そういうことですよね? やったーーーーー!!!!!! よかったね神倉さん!!!!!!!!!
焼死体(筧まりか)が「親族は受け取り拒否をしているので、このままだと無縁仏行きですね」と言われたときの表情が切ない。第2話「死にたがりの手紙」に出てきたミケちゃんを思い出してたのかな。彼女は家族の元に帰れたんでしょうか。帰れていたらいいな。

毛利忠治
かっっっっっっっっこいいですよね…
エレナがヤマサキって言ってるのを聞き漏らさず「濁ってなかったですね」って言う瞬間めっっっっっっっちゃかっこよくないですか!?!?!?!!?!?
礼状出す時に少し気まずそうというか、嫌だな…みたいな顔してたのがちょっと意外。刈谷さんほどではないにしても、捜査のためなら仕方がないと割り切れるタイプかと思ってました。まあ3億種類(3億個だったかも)あるから探すのが面倒で嫌だなぁ…って思ってただけかもしれないけど。
最後エレナを起こすのに優しく呼んだり突っついたりしてるのが可愛すぎましたね。

向島進
田島さんは年下上司なのかも? 
タメ口きいて「だってさあ??」と圧強めに言われるシーンは笑っちゃいました。もしかして向島さん、年上部下。
毛利・刈谷ペアがシリアス担当なら、田島・向島ペアはややほんわか担当って感じですね。
でも終盤、最後の爆発物であるぬいぐるみを見つけて検査機のところに運んでくる姿や毛利さんと「走るなって!」とかのやり取りしている姿がやっぱり1番好きだなって思いました。可愛いですね。


『MIU404』
ぶっちゃけ最初のメロンパン号に騙された人私以外にもいるますよね???? 志摩ぽい人いませんでした???? 気のせい?????
生き残ってて嬉しかったけど、大きい荷物運ぶのに便利な車扱いされてるのはなんか面白い。

404の2人がメロンパン号じゃなく普通の車でびっくりしましたが、そういえば最終回で既にそうでした。
ナンバーはわかりませんが、ひらがなが「み」だった気がする!


伊吹藍
舞台挨拶で「今回彼を演じるのがラストかもしれないので」って綾野剛さんが伊吹のメガネしてきた事実に吹っ飛びそうになりました。てか吹っ飛んだ。綾野剛さんには一生勝てない。でもラストかもとか言わずにこの先何度でも演じてください。あぶ刑事の2人みたいに定年退職どころかその後の話まで見せてください。よろしくお願いします!!!!!!!!!!!!!

MIU404の頃からラストマイルの話をぼんやり聞いてて「じゃあメガネとか衣装とか取っておかなきゃと思って」って言ってましたよね? ってことは全部買い取ったってこと???? ま????? 普段使いしてんの????? それとも思い出を取っておいただけ???? それ以外の理由???? いずれにしてもありがとう

あ〜〜〜〜〜〜相変わらず全身白い服が恐ろしく似合う〜〜〜〜〜〜〜
志摩に「(手袋)持ってきた?」って聞かれてニヤっとしながら取り出していたのを見逃しはしない。幻覚だったらごめんなさい。あと「持ってきた〜」って言ってませんでした? 言ってたと思う。可愛い。幻聴だったらどうしよう。

山崎の部屋で「良い服もってんじゃーん」って言ってたの、最初は自分もこだわりあるからかなーとか思ってましたけど、それもあるんだろうけど、山崎の収入の良さをちらつかせてたり……? 長く勤めてたからそれなりに昇進もしていたんでしょうけど、めちゃくちゃ残業もしてたでしょうから貯金だけは貯まってたのかな……

きゅるっとした匂いて。
流石の志摩も説明しにくそうでしたよ。わかってくれる仲間で本当に良かったね。


志摩一未
山崎の家で伊吹に「(手袋)持ってきた?」って聞いてたのを私は聞き逃さなかったし見逃さなかった。飼い主どころかママ。
もしかして予備持ってたの?? あの時???

「爆弾なんて、目的はなんだ」って、爆弾を用いて事件を起こしたことを非難するとかでなく冷静に理由を探している姿が元捜一を感じさせる。いや警察って普通にそうなのかもしれないけど。

「おそらく、女性の匂いかと」があまりに翻訳家すぎる。こんなん見せられたら人事も2人のコンビ解消させらんないよ。「キモくてすいませーん」が完全に飼い主視点だったし、きゅるっとした匂いの話で勝俣くんが「説明しようがない…」的なこと言った後に「だよね!?」って食い気味で言ってて笑った。苦労してる。悪いけど一生404しててください。

陣馬耕平
元気な姿が見られて嬉しいです!!!!!!
思えば『MIU404』最終話では元気ではあるものの松葉杖をついた状態で完治はしてませんでしたから、完全復活している姿が見れたのが嬉しすぎます。
まだまだ新人なのであろう勝俣くんをがっちりと支えてくれてました。嬉しい。どっかで勝俣くんのこと「かつ!」って呼んでませんでした? 気のせいかな……?

桔梗ゆづる
相変わらずかっこいい&お美しい……
今の桔梗さんの立場で4機捜の人事に口出しできるのかわからないけど、引継ぎの時に「あの2人はセットの方がいい」くらいは言ってそう。そして周りはその言葉を身をもって体感してそう。あの2人を強く叱って言うこと聞かせられるのは陣馬さんか桔梗さんくらいなもんですよ……ぱっと見普通そうな志摩も大概ですからね……

勝俣奏太
情報解禁でトップレベルに嬉しかった人のひとり、勝俣くん。虚偽通報事件を起こした1人だけど、白井くん同様、彼らが今何をしているのか、続きを見せて貰えたのが凄く嬉しい。
組んでる相手が陣馬さんなのも最高。また若手とですね陣馬さん。てるの上手そうだもんな〜〜〜〜〜。特に九ちゃんと組んで以降は。劇中でも結構陣馬さんに背中押してもらったりとかしてて、良いな~とにっこりしちゃいました。

刈谷貴教
カタカナ言えてなくて面白かったけど多分私も言えません。
今回は毛利さんとのペアでしたが2人ともえっっっぐい足長くてスタイル良いので並んでると惚れ惚れしてしまいますね。
昭和っぽさが残っているキャラクターだけど憎めない不思議な人。センターに入るためのパスもらってないので強行突破しようとしたのが1番好きです。ちゃんとパスもらいましょうね。毛利さんのこと待ちましょうね。
あとエレナのことを「タフな姉ちゃんだな」って言ってたのも結構好きです。生意気だとかそういう言い方でなく、褒めている感じもあって。
1番ドラマとのギャップがあったかもしれません。ドラマだと志摩にめちゃくちゃ絡んでてイラッとさせる演技が印象的でしたが、今回は比較的そんなことはなく進んでいたように思います。……もしかして、捜一時代の志摩が本当に嫌な奴だった説。

田島雄介
情報解禁でトップレベルに嬉しかった人のひとり、田島さん。
演じている永岡卓也さんは2023年に俳優業を引退されてるので、もしかしたら映画では最後の作品になるのかしら。ギリギリ引退前に撮影した作品だったってことですかね。
MIU404では刈谷さんとの名コンビが光ってたけど、今回は向島さんとのペア! こっちもよかったですね〜!!!

小田島さん
好き。え、良くない? めっさ良くない? 正直めっちゃ好き。多分妻子いてめちゃくちゃ愛してると思う。幼稚園に通ってる娘に剃ってても頬ずりすればバレる顎髭を嫌がられてて欲しいあと思春期の娘と息子もいてほしい。
爆弾の説明も処理の仕方の説明もわかりやすかった〜〜〜〜的確かつスピーディ、でもエレナへのフォローも忘れない。しごできってやつですか、これが。ほあ~~~~~~~~頼れる上司すぎ。
『MIU404』からの登場とのことですがどこにいた……?! もしかして久住が車に仕掛けた爆弾で怪我した人の中にいたのかな…………悔しい……探してきます……

主題歌よ

がらくた、やっっっっっっっっばい。毎度ありがとうございます当代米津玄師氏。
映画を観る前は歌詞の意味がよくわかりませんでしたが、観終わった今ならわかります。これは山崎佑と筧まりかの曲であり、また現実世界で辛いながらも生きる我々への曲でもあるのです。

例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても
構わないから 僕のそばで生きていてよ

がらくた/米津玄師

どんなにぼろぼろで、からっぽで、人らしくなかったとしても、死なずにそばにいて欲しかった。大変じゃないとは言えない。でも、生きてるだけで、それだけで幸せに思えることも、たくさんあったはずで。きっと山崎、まりなも、どちらも同じことを思っていたんじゃないかな、と思います。
何度も聞いていくうちにまた印象が変わるかもしれませんけどね。
MVの解釈も色々あって面白いです。姉と私だけでも全然違う解釈をしているので本当に面白い。

主題歌「がらくた」が収録されているアルバム『LOST CORNER』は映画公開日より少し前の発売となったわけですが、限定デザインの箱があり、配達員の箱の扱いに対する色々な意見をSNSで見かけました。映画の内容を踏まえると笑えない話ですが、これを狙っての発売日設定なのだとしたら、身をもって理解した・理解させられた人も多いのではないでしょうか。


それでも日々は続く

己の身を犠牲にして全身が燃える痛みと苦しみを味わったって、あれだけの爆発騒ぎがあったって、大規模なストライキをしたって、世の中はそう簡単に変わらないし、日々は続いていく。
あれだけの事件があっても、きっと1ヶ月もせずにまたいつもの日常に戻る。それが生きるということで、嫌でも時間は進むし生活を送らなければならない。
あくまでも『ラストマイル』はフィクションだけれど、1つひとつのことは決して他人事ではなく、今もどこかで起こりうること。
知って、考えて、動いて、変わる。
それが当たり前の世の中になればいいし、自分もそんな人間でありたいと思います。


ぜひ映画館で、と思いつつも

どの作品でも言っていることですが、この作品は特に、ブラックフライデー前に見たほうが自分たちの生活に響くだろうなぁと思います。これからどんどんいろんな通販サイトのセールが来ますしね。
ただ、生活に馴染んだものが題材だからこそ見ていると辛くなってくる人もいるかもしれませんので、そこは無理なさらないように。

エンドロール後「この作品はフィクションであり、実在の人物、団体、事件とは一切関係ありません」というお決まりの言葉の後に追加されていたもう1文が、この映画を通して1番伝えたかったことだと思います(音声ガイドでもしっかり読み上げられていたそうです)。
辛いときは1人で無理せず、救いを求める手を、素直に伸ばせるようになりたいですし、同時に救いの手を取れるようにもなりたいですね。

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