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中小企業の社内SEに転職しない方が良い話

 安寧を求めるITエンジニアの楽園に見えてしまう社内SEですが、全ての中小企業に合致はしないと言えど、中小企業に転職するのは、経験上止めた方が無難です。

理由1.情報システム部門がない

 ある所なら、儲けもんです。
 ほとんど無いに等しいです。
 あったとしても、システムのお守り役かもしれませんし、行き場のない窓際族や精神疾患者のような方の集まり部署のケースもあります。

 情報システム部門は、間接部門です。
 会社としては、利益を生まない部門ですから、あまり人を置きたがらない部門になります。
 中小ともなれば、経費削減が命題にもなりますから、極力置かない方向であり、当然に採用もまず出てこないか、出ても契約社員や派遣で賄っているケースもあります。

 とは言え、労働法をきちんと守っている企業ならば、簡単に首切りはしないわけで、そういった利益を生まない方は、間接部門行きとなり、システムの知識はそう簡単に身に就くわけではないので、そういった方が行きつく先だったりもするのです。

理由2.理解ある経営者以前に上司がいない

 そういった様相ですから、経営者や経営陣に理解されない部門でもあります。
 「ヒト、モノ、カネ」で成り立っていると昔から言われており、これに「情報」が加味されて久しいですが、それでもないがしろが普通です。

 つまる所「わからない」経営者が多いのです。
 わからないような人が頭に居る集団ほど、居続けても何の得もありません

 そして、IT系企業とは別に、一般の企業には、業界分類があります。
 つまり、どういった事業の会社か?と言う事であり、かなり左右されると思います。
 会社の事業で、どれだけITに依存しているビジネスを展開しているか?と言う事です。
 ITでなく「機械」といえばしっくりするかもしれません。
 ほぼ、その会社の事業に機械作業者がいない中小ともなれば、システム導入もチープと言えるでしょう。

 とは言え、多くの企業の経営陣が、会社の全てを把握しているわけではないでしょうし、それぞれ得意な分野があるはずです。
 ITに理解ある経営陣がいればいいのですが、中小にはやはりいないのが多いのではないでしょうか?。
 ならば、間を取り持ってくれる上司が理解あればいいのですが、こちらもそういう上司がいないのが普通ではと感じます。
 間接部門扱いですから上司は総務や経理畑となり、知っていると言っても家庭のパソコンとルータのセットアップ程度しか知らないものです。
 プロジェクトの取り扱いもわかっておらず、引っ掻きまわされるのが常でしょう。そういうところに行っても、面白くないで人生終わってしまいます。

理由3.キャリアがストップ

 そういう集団組織なので、当然にSEとしてのキャリアはストップします。
 雑用扱いです。
 総合職と言う区分けがある会社だと、一般職扱いです。
 これまでIT系企業に勤務していた場合、大抵総合職扱いなはずですが、一気に逆転することになります。

 情報部門もなく、雑用扱いとなれば、上に上がる事ができませんから管理職になれません。
 間接部門として総務部付みたいな感じであり、総務職や経理職がメインですから、そういった職種でない以上、上がれないのです。

 でも中にはそうでない人もいます。
 彼らが何やっているのかというと、誰も触れる事が出来ないことをいいことに、自身のチープな技術でこねくり回して、誰も目をふさぐような状態にしてしまって、「自分以外触れる者がいないようにしてしまう」のです。
 ある種の確信犯です。

理由4.年収も上がらない

 そういったことで、年収は上がらないか、上がっても微々たるものです。
 つつましやかに過ごしていくしかありません。

 また、定年も60歳が普通でしょう。とても70まで雇ってくれる会社はありません。
 だって、雑用者で終わってしまうのですから。

 だからこそ、できれば、部門が存在するか、あるいは経営層直轄とかの会社に行く事をお勧めします。

理由5.必ずしもSEとして全うできるわけではない

 ジョブローテーション有りきでの採用になりえると言う事。
 最初は、エンジニアの経験を買われての採用であっても、内実ジョブチェンジ考慮としてということがあります。
 中小ですので、人が不足してます。

 ジョブチェンジがなくとも、間接部門の職種兼務で働くと言う事も大いにありえます。
 その時点で、エンジニアとしてはキャリアストップであり、キャリアパスもチェンジせざるを得なく、市場価値は一気に下がります。
 むしろ、総務職や経理職をしていて、社内SEをしたという人の方が、市場価値は高いように思えます。
 中小ですから、何でもできる人が喜ばれるわけであり、会社の裏方根幹である総務や経理職経験者の方を好むのです。
 と言う事は、情報部門がないような企業では、社内SEは片手間の窓口業務であり、ほとんどの中小がそうであれば、当然にSE専属経験者より、総務系や経理系の方が採用は多く、「システムも見ていたのですね」という付加価値で好まれるわけです。
 ソフト会社やSier経験からすれば、SEには程遠い方達ではありますけど、中小ではそれでまかり通っていたりもするのです。ノー技術経験者であってもです。

 それを見越して、SE経験以外の事も経験し、別の企業に転職と言う事も考えられますが、IT企業と違って、年功序列が厳しい事で、年齢制限や転職回数ではじかれるため、最後の砦的な転職になりえてしまい、身についても、次につながるかと言う要素が無くなる率が高くもあります。

理由6.都心だから安心と言う事はない

 都心の企業だから大丈夫と言う安心はありません。
 地方のほうが、企業数は少ないのですから、募集も少ないわけで、目を向ける事はあまりないかもしれません。
 結果として都心に目を向ける事になるわけですが、「募集が多いな」と思えても、やはり中小の募集は経理寄りであったり、「そんな年齢で、こんなにできる人いないだろ」「こんなチープな技術しかないのか」という企業がとても多いです。
 募集を出している担当者が、わかってないからです。

理由7.仕事内容はIT介護と根回し

 大手であれば組織化されて、人も多いでしょうが、中小は逆です。
 その為、技術寄りの仕事に没頭できなくなります。
 更に、ITに詳しい社員はほぼいません。
 結果として、パソコンのITヘルプが多く、IT介護の様相となります。
 これに多くの時間をさけるかと言う事になります。

 また、仕事内容も根回しが必須であり、それまでリーダやマネージャ経験がないエンジニアは、かなり辛くなります。
 ずっと机にしがみついて仕事していたのが、営業的管理職的な動きを求められるからです。人付き合いが嫌いな方は、まずやっていけないと思います。
 大手のように採用試験がしっかりしているわけでもないので、社員の質はかなり悪いです。付き合いづらい社員は、どこにでもいますが、輪をかけて何かがおかしいという社員がおり、聞きわけないのないお局がいたりします。とにもかくにも面倒な社員がおり、キーマンだったりするのです。

最後に

 中小でもしっかり組織体系が取られていて、情シス部門があり、取締役にIT出身者がいる企業もあります。
 しかし、その上司の出自において、自身とのマッチングを図る必要はあると感じてます。
 大手Sier出身者の場合、プロジェクト管理がメインとなりますので、技術に詳しいとは限りませんし、余りにも年長者ですとIT業界の知識はかなり古いままです。
 他方、元々派遣で入ってきたという方の会社もありました。
 アプリ畑かインフラ畑かでも大きく変わってくるでしょうし、今欲しがっているITエンジニアが、アプリ寄りかインフラ寄りかで、部内活動のスタンスが大きく変わってきます。

 大手だから安心とは言えませんが、中小だからこその危惧はあります。
 一旦これまでのITエンジニアキャリアを捨てて、年収もほとんどあがらないけど残業もないまま過ごしたいというのであれば、中小はいいでしょう。
 ただ、ITエンジニアの中には、社員旅行やイベントだらけの社風は遠慮したいという方もいるかと思います。
 間接部門ですので、そういった事に駆り出される率は高くなります。仕事の内容も、周りとは全く違うのに一緒の扱いをされます。
 私の場合、結局他業務も兼務させられるようになり、本来の仕事は定時後と休日出勤で残業代無しで対応してきました。
 

情報提供や考え方、そしてこれまでの苦々しい経験での対価として、ありがたく頂戴致します。