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過労自殺するだけの余力があるならば

 就職したのが90年代。
 昔から過労自殺はありました。
 しかし、当時はほとんどニュースで耳にしたことがありません。
 私自身TV見ている時間がなかったから、新聞見ることもなかったので、知らなかっただけかもしれませんが、ネットでも見た記憶がないのです。

 ところが、ここ15年くらいで、じわじわとその手のニュースが取り上げられてきており、ブラック業界で3Kどころか4K6kと増えていくIT職種の過労自殺は、当たり前にように見聞きもしてきました。
 勿論、他の業界でも起きている事です。

1.IT業界の自殺と過労死

 当時は2chで、噂か本当かはわかりませんが、その手の話はよく載ってました。
 2000年代頃だと、YRPの携帯事業あたりは、壮絶な状況というのを見ております。当時は、携帯電話事業の競争が激しく、ITエンジニアでのその手の募集ばかり目についてました。

 それ以前となると、まだネットがこんなに公の場になかった時も、自分の身の回りで、過去あったような噂を聞いた事があります。
 ただ、過労というのもあったでしょうが、責任者として全うできなかった事での責任自死と言う方が多かった気がします。

 また、ブラック業界でもあるわけで(今でもそう思ってます)、過労自殺の前に、朝起きてこない、道端で死んでいたという話も何度かその後の転職先で、同僚があるプロジェクト先でご一緒に作業された方が、そうなったという過労死を聞いた事もありました。

2.私自身

 私の場合は、新人時代の20代で、過労死間際を1回経験した事があります。
 とんでもないプロジェクトで、2日に1回4時間ほど寝る事ができるようなもので、完全にフルフレックス状態のものでした。
 3・4か月そうだったかなと。最終月は450超えており、ギブアップ宣言して、やっと抜ける事ができました。時期的にも、請け負った工期が、その月で収束していたこともあります。
 ちなみに、完全に助っ人で入ったプロジェクトで、本来所属部署が請け負う作業ではなく、事業所全体が、メーカSierの要請で狩り出されたものでしたが、最もひどかったのが私だったわけで、他の者達は、部署内でグループで入って、1・2ヶ月で抜けて行ったため、誰も私の状況を知らないという有様で、後から武勇伝のように聞かされて、未だに腹立たしく感じてます。ちなみに彼らは、300時間もしてないです。

 その後の転職先でも過労続きがありましたが、その時以上のほどではなく、死ぬほどではありませんでした。
 しかし、帰宅が不規則で、タクシー代やホテル代を自腹で、手元に5万しか残らず3ヵ月と言う時もありました。

3.人それぞれ耐久性は異なる

 ある日、起きてこない。
 過労死でよくある結果です。

 人それぞれ耐久性は異なります。
 同じ時間働いたとしても、同じ仕事とは限りませんから、ストレス度合いも異なります。
 「あなたは平気だったかもしれないけど、同じ環境での仕事でない以上、あなたの定規で計るのはおかしい」。

4.管理者の管理能力が問われない

 そして、「言って(ギブアップ宣言)こなかったから」というのは、管理者としての管理責任能力が問われる事でもあります。
 「本人が好きでしていた」と言うのも同じですし、時間効率を無視した働き方をしていることにもなるわけで、やはり管理者の能力を疑いもします。
 
 結局の所、年功序列や家族がいるという理由で家族手当の代わりで昇格させる日本の組織概念から、管理能力のない者が管理者になっているのが問題かとみております。

5.過労自殺してしまうのは

 あくまでも私が感じた事として、過労で自殺する場合、まだ生きるだけの余力が残っているはずかと
 でも、自殺してしまう。。。。

 そこには、選択肢が残されておらず、そういう気持ちになってしまうのかと

 いくつか考えられる事を挙げてみました。

 1つは性格
 自分で自分を追い込んでしまうというもの。
 プライド的に、今の状態で締めくくりたいという意識から来るのかもしれません。 

 あるいは、多方面に考える力が残っていないのかと。
 1つの事しか見えなくなってしまっているわけです。
 四面楚歌の状態。

 2つ目は、相談できない環境、逃げられない環境
 相談できないというのは、上司や客先、あるいはSESや派遣だと営業とのフランクな話ができない権力的な環境。
 信頼関係と言う言葉もありますが、信頼の前に、話しが出来る環境かと言う事です。
 逃げられない環境ってのも、今はないのでしょうけど、ホテルに軟禁状態で、仕事終えるまで帰してもらえないというプロジェクトはあったりもしました。

 また、責任者だと上申する相手は、取締役になってしまうケースもあります。
 そうなると、個人レベルの相談ではなく、会社経営上の問題にもなるわけです。
 いずれにしても、相談できる相手がいないのです。

 3つめは、休職させてくれない
 案外、休職をさせてくれない企業はあります。
 大手だと普通なのでしょうけど、中小ともなれば、退職勧奨されますしね。

 4つ目は、逃げる術を知らず、逃げた後の行動を知らないと言う事。
 自分が危ないと思えば、人間普通は回避するものです。
 ところが、仕事となるとできない。
 責任感と言う言葉がありますが、上位の管理職ならわかるのです。
 ですが、過労死の多くは非管理職ではないでしょうか?。
 逃げ方を知らない。
 1つは、保証人制度みたいな事で締めつけられている事かと。
 逃げれば会社への損失とみなされて、逃げられないというのもあるでしょう。

 あるいは、周りからの強要や期待
 親の勧めで入ったとか、「折角就職できたのに、折角大手に入れたのに、なぜ辞めるのか?」といったような、周りが助けてくれない環境というのもあるかと。

 また、IT業界人なら、ネットで転職は当たり前の知識ですが、他業界だと未だに知らない40代50代はいるものです。
 前職では、20年近く勤務して支店長まで登った方が、過労か責任負わされたかで、10年ほど前に退職しましたが、その後の再就職先が弁当屋の店長と聞いて驚く前に呆れたほどです。
 そういった、探し方を知らないというのもあるわけです。

6.決めるのは自分

 今は、昔と違って転職し易いです。
 しかし、大手から大手への転職は、募集もそうなければ、敷居も高いですから、一旦コケレバ転がり落ちもします。
 転職面接でも、過労は退職理由としてネガティブにとらえられてしまう問題もあります。結局日本の企業は、過労を良しとする風潮なのでしょう。
 転職し易くとも、折角のチケットを途中下車で無効にしたくないというのもあるでしょう。
 辞めて、良い会社人生が送れるとも限りませんしね。

 このまま、居残り続けて自分を殺めるか、生きるために別の道を選ぶかです。
 せめて、選択できる余力が残っていればいいのですけど

 ですが、サラリーマン家庭はサラリーマンとしての生き方しか知らないものです。周りの同級生や知人もサラリーマン家庭だと、完全に他の生き方を知りません。
 私がそうですし。
 余力が残っていても、選択して「生き残れる道」を、我々はあまりにも知らなずぎるのではないでしょうか?。



 

情報提供や考え方、そしてこれまでの苦々しい経験での対価として、ありがたく頂戴致します。