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イギリスのらりくらり 幸せな通勤路

ボランティア先に行く道なので、ほんとうは「通ボラ路」。


朝、9時40分。
そろそろ家を出ようか。

家を出てすぐ、唯一の信号機を渡り裏道に入ります。
左手にはパブ、図書館、劇場、またパブ…
右手に続く大小ふたつの公園の脇を抜けて、少し行くとテムズ川に出ます。
石畳で自転車がガタガタするので、お尻を浮かせながら自転車をこぎこぎ。
見晴らしが良くなって気持ちがいいなー。

やがて川沿いの遊歩道に繋がります。
川べりの傾斜に設けられたベンチ。
鳩や人が思い思いの場所で日向ぼっこしてます。
彼らを横目に進んでいくと、今度はボートの列。
今はオフシーズンなので、貸しボート屋さんがせっせと手入れをしています。

木製のボートも多い

石造りの橋の下をくぐり抜け、大木の陰を抜けると、
まぶしさで一瞬目がくらみます。
目を慣らしながらゆっくり進んでいくと、次は芝生ゾーン。
あちこちに犬がいます。
走り回っては飼い主を振り返り、また走る。
外国の犬は何だか大人な感じがします。

川沿いの芝生

そこも通り過ぎて少し傾斜を上ると、まもなく柵に囲まれた牧草地が広がります。
今は冬なので牛はいません。うんちももう、土になっている頃。
すぐに牧草地に入ってもいいんだけれど、最近のお気に入りのルートは、しばらくテムズ川沿いに進むルート。
牧草地のはじが見えたところで、ゲートを開けて中へ突入します。
毛足の長い牧草に車輪を取られつつも、何となくできた轍を立ち漕ぎで進みます。
ぬかるんでいる日はまともに轍を行くと泥が跳ねるので、轍を避けて草の茂った上を進むのがポイント。しんどいけど。

夏の間は牛がいる


その間、犬は侵入禁止

ちょっと暑くなってき始めた頃、再び柵が見えてきます。
今度はゲートはありません。
柵を跨ぐための木の段と、掴まるための杭。
自転車を担いで最後の難関を超えたら到着です。
ぴったり10時。
今日の作業が始まります。
とりあえず、まずはコーヒータイムから…


家からたった20分の自転車の旅。
今は2月、朝10時にもかかわらず早朝のようなすがすがしさがあります。
毎回ちょっとずつ変化している気温、空模様、空気。
ボランティアも楽しいけど、朝の自転車もずいぶん楽しい。

そういえば、沖縄に住んでいたときも、仕事へ行く車の中で「なんかしあわせな感じ」をしばしば噛みしめていたことを思い出します。
視界いっぱいに広がる景色、季節の変化。
ストレスフリーな交通手段。
遅すぎも早すぎもしない、私の速度。
そして、これから一日が始まるという期待感。
そういうものをいっしんに感じる時、「しあわせ…」と思います。

日本から遠く離れた地でもそんな気持ちになるなんて、渡英半年にしてちょっと感動しました。


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