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小川和紙、1300年の歴史の「起」へ

「和紙のふるさと 小川町」
観光や町のPRで埼玉県比企郡小川町は、「和紙のふるさと」と紹介しています。
では、みなさん!小川和紙の歴史は何年くらいあると思いますか?

もうタイトルで答えを書いてしもうた・・・(笑)
そう。実に『1300年』ともいわれています…。
8世紀頃にはこの地で、和紙が漉かれていたそうです。
と、いうことで…その起源、ルーツを訪ねてきました。


場所は、埼玉県比企郡ときがわ町。
小川町のお隣。ここに慈光寺という古刹があります。
慈光寺は阪東三十三観音霊場第九番札所で、開山1300年の歴史ある古刹。
国宝もあるお寺なんです。
県民の方、ご存じですかぁ~!
この慈光寺さんについては▼WEBサイトがございますので、そちらをご覧になってください。(凄い驚くばかりの歴史を持っているんですよ)

慈光寺さんが小川和紙の「起」…?


さて、何でこの慈光寺さんが小川和紙の「起」なのか…?
そこには、もう一つのピースが・・・それは「渡来人」
7世紀頃に高句麗などの朝鮮半島から、多くの渡来人が戦乱を逃れて日本にやってきました。彼らは時の政権のある西国でなく、東国(つまり関東)に広く住んでいました。その人たちらは、現埼玉県日高市に「高麗郡」というものがつくられ、集まっていたという背景があります。
(※日高市に高麗という地名があるのもそこに由来していますよ)
当然、彼らは様々な技術を日本にもたらしてくれました。
その中に「紙漉き」技術がありました。

そして、慈光寺の創建。
時は仏教伝来時期。
慈光寺を起点に、国分寺として多くの寺院が次々と建立されました。
そして慈光寺で修行する僧侶はもちろん、「写経」が行われていた訳です。
と・・・なると、紙と筆と墨が必要になる訳です。
慈光寺に近く、盆地で清流のあった小川町の地域、かつ紙漉き技術をもった渡来人もいたことで小川町の周辺地域で紙漉き=和紙づくりが盛んに行われるようになったといわれているのです。
なんか奇跡のようなお話ですよね。すべての要素が揃っちゃいました。
でも、奇跡なんでしょうか?
確かに、慈光寺が開山、創建されたことは大きな要因です。ですが寺院を造るための木材、和紙をつくるための清流、寺院を造る、紙を漉く技術を持った渡来人などこの地にあった資源をしっかり見極めたからこそ、求められるものが提供でき、産業にも発展していったのではないかと僕は思うのです。
7世紀頃では、やはり農業が生活基盤だったでしょうから、これは大きなイノベーションだったのではないかと思うのです。


まぁ、上記のことは、歴史の史実・ピースからの僕の見解、推察ではありますが、この小川町、ときがわ町、東秩父村のあたりの一帯の凄さを感じちゃう訳です。
和紙は明治の近代化:洋紙製造がされるまでずっとこの地域の産業として栄えていました。そして規模はかなり小さくなってしまいましたが、令和の今日までこの地域に継承されています。
埼玉県においても、手漉き和紙をつくっている一帯はこの地域のみ。
こんなストーリーがあることをぜひ、この地に訪れ、観て、感じてもらえると何か現代にも通じる再発見があるかと思います。


慈光寺が放つ佇まい


和紙について記しましたが、もちろん歴史好きの方、御朱印蒐集されている方、また神社仏閣が好きな方は、この慈光寺さんをぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
慈光寺は修験道場であるので山岳寺院(山の上あるお寺さん)です。
境内は広く、しかも山の中腹にある訳で、石段や仏閣の風情なども格別に良いのです。
華美ではありませんが、逆に自然の中に佇む荘厳さが感じられました。

ここからは、主観ですが、慈光寺さんの素敵な場所を少し記したいと思います。
 【門】
  本堂(阿弥陀堂)に入るための門が、吸い込まれるようなパワーを感じる

木々に囲まれ、石段から門へとつづく。奥に見えているのが本堂(阿弥陀堂)

 【般若心経堂に向かう石段】 
 ここの青石の石段が凄い/また般若心経堂手前のモミジと石畳も好き 

般若心経堂へ登っていくための青石の石段
こんな姿にも1,000年の歴史を感じさせられる

 【般若心経堂】   
 ここはぜひ中に入って観て欲しいところ 

奥にある建物が「般若心経堂」
ここへ向かう石畳とモミジ、静寂感がととも心地良い

 【観音堂】 
 般若心経堂から石段を登っていくと眼の上に枝の隙間から見えてくる観音堂がいい! そして観音堂の屋根と彫刻 

石段を上がっていくと目の前にチラッと見えてくる観音堂
明らかに荘厳さが近づく前から漂っている
観音堂の屋根 広がりと反り具体になんか心惹かれてしまった・・・
観音堂正面
正面から見ても歴史が語る荘厳さが向かってくる印象


 【山の風景】 
 観音堂を降りて、駐車場近くに地元の方がつくってくれた休憩スペースからの山の眺望

比企の山の眺望 5月が緑が深く自然のエネルギーが満ちている

今回は、時間の都合もあって本堂周辺しか歩けなったのですが、また何度と通いたい場所でした。
もっと境内全体「七井・七石・七木」もめぐってみたいと思っています。

クルマでも上がっていけます。駐車場に設置されている案内看板

小川町に移住して、地域おこし協力隊をさせてもらっていますが、この地域の歴史や文化、人の営みなどは現在の行政区での地図や境界線で分けられるものではなく、どちらの町に来ても、ぜひ足を少しのばして、この地域に受け継がれた姿や文化を感じてもらえればと思うのです・・・


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