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昔話 チャラくないクラブ

 今は昔、Twitterで「クラブはチャラい場所じゃないというのを広めたい」と宣う当時のフォロワーが、私をクラブに連れてってくれたことがあった。

 クラブに着くとフォロワーは「ヤバ、元カレいる。前行って!」と言って私の後ろで踊っていたが、30分もしないうちに気づくといなくなってた。そのうち戻ってくるだろうと、私は1人で初心者の挙動をしていたら、知らない人に話しかけられた。普通の人に見えたのでそのまま会話を続けていたら、突然腕を引かれて壁際にあるロッカーの隙間に押し込まれてしまった。

 キスしよーよと繰り返し迫る知らない人と、無理無理と抵抗する私。これからどうしようかしらと思っていたところに、運良く大学OBを名乗る2人組とすっかり打ち解けて談笑するフォロワーが通りかかった。フォロワーは「酔っ払っていちゃこいてる男女がいちゃってるわ笑」くらいの気持ちで見てたら、その片方が私だったことに驚き「何やってんの〜!」とデカい声を出して腕を引っ張って知らない人から助けてくれた。私はその後「本当になにやってんの!」とフォロワーに繰り返し怒られるわけなのだが、私は文字通りクラブがチャラくない場所だというのを広まりに来ている気分だったので、(これって本当に私だけが悪いんですか?)みたいな顔をして流した。

 こうして私はフォロワーと再開したが、フォロワーの大学OBを名乗る2人もなぜかずっといて、クラブを出て代官山を散歩することになった。OBを名乗る2人は繰り返し「家近いから一緒に映画見ようよ」と誘い、フォロワーは「そういうの絶対ヤるから無理!マジで無理!」と跳ね除けていた。

 結局なんだかんだその4人で始発まで一緒に夜の街を歩き回り、おそらく中目黒にたどり着いた我々は多分ARURIで柚子の風味がするラーメンを食べて始発で解散した。

 駅のホームで寝過ごしてしまったらしく、無事に自宅の最寄駅に着いたのは朝の10時をすぎていた。スーパーが開いてることに気がついた私は寄り道をして、文房具売り場のシャボン玉とお姫様の塗り絵を購入して家に帰ったのであった。

めでたしめでたし

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