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30代公務員が「自分業」を見つけるために考えたこと

最近読んだキャリアに関する本を紹介する4回目で、一旦最終回。
尾石晴さんの『40歳の壁をスルっと超える人生戦略』を紹介します。

この本は、40歳あたりでふいに湧いてくる、キャリアや人生に関する不安の正体と、それを乗り越える「自分業」という働き方の考え方が、尾石さんの実体験をとおして紹介されている本です。

私みたいに、キャリアの焦りから衝動的に的転職活動をしようとしていた人にとっては、「40歳の壁」と「自分業」というコンセプトを知るだけでも、不安の正体が言い当てられたようで、とても頭の中が整理されますが、本の後半で照会される自分業の組み立て方の視点は、本当に面白いです。
本の内容をざっくり紹介しながら、最後に中でもポイントだと思った3点についてご紹介していきたいと思います。

この本の概要

著者の尾石晴さんは、現在は執筆活動やヨガを本業としている二児の母。以前は、外資系企業に勤めながら子育てをされていましたが、40歳を前にして、ご自分の健康や子どもとの時間を見つめ直し、勤めていた企業を退職して、それまで副業として取り組んでいた執筆やヨガを仕事にされています。

早速ですが、この本の結論は、「40歳が見えてきたら「自分業」の種を蒔こう」です。
尾石さんは、小手先の時間管理術などでもなく、当面の転職活動でもない、人生を通して、健康的・経済に自立しながら人との交流も続けられるような、そんな人生を歩むための思考法が必要だと書いています。
そのキーワードとなるのが、「40歳の壁」と「自分業」です。

40歳にして迷う。「40歳の壁」とはなにか。

本でも紹介されていますが、40歳前後で転職や起業をする方が多いようですが、なぜ40歳で多いのでしょうか?
尾石さんによれば、40歳というのは、人生において次の二つの壁が迫ってくる時期で、この二つを合わせて「40歳の壁」として紹介されています。

  • 今の仕事や自分のスキル、健康、家庭に対する不安から来る「中年の壁」

  • それまで親以外でも担えた子どもの世話が、親以外に替えが効かなくなる「子育ての壁」

個人的に特に気づきが大きかったのは、子育ての壁です。
本には、小学校に上がっていくと、宿題のフォローや友人関係の悩みなど、子どもに関して親以外で代替できることが減っていくと書いてありますが、自分の子どもの頃を振り返ってみても、本当にそうなんだろうなと思います。
今の我が家の、夫婦二人でフルタイムという働き方は、いずれ続けられなくなる時が来るかもしれないと思いました。

幸せな人生を送るための「自分業」

では、この「40歳の壁」を超えるためにはどうすればいいのか。
尾石さんは、キャリアを主体的に選択する意識を持つことが大切だと書いています。
働くことで得られる「お金」「健康」「つながり」といった報酬を、40歳の壁といわれている健康や子育てなどの課題と紐づけて考えて、「40代からのキャリアは人生に併せて仕事をデザインする」という意識を持ち、
そのような仕事を尾石さんは「自分業」と呼んでいます。
尾石さんが提唱する「自分業」とは、次の条件を満たす仕事です。

  • 健康を維持し、つながりを満たし、お金をもらえる仕事

  • やりがいを得られる仕事

  • 自分が裁量権を持てる仕事

そして尾石さんが自分業のポイントしてあげているのが、一つの大きな仕事を作るというよりは、月10万くらいの収入を得られる小さな仕事を、複数持つことです。がむしゃらに働いて大きな仕事を狙っていくのではなくのではなく、幸せな人生を送ることに適した規模で、継続できる働き方を見つけることが重要だと書いてあります。

自分業の種まきを40代から少しずつしておけば、会社員の看板を外しても継続して仕事ができるようになり、変化の激しい時代において、今の本業が立ち行かなくなった時のリスクヘッジにもなるし、定年後の暮らしを支える準備にもなるということです。

個人的にポイントだと思った視点3選

では、そんな「自分業」をどうやってつくっていけばいいのか。
本で紹介されていることを自分なりに整理してみると、自分業を組み立てるステップは次の5つにまとめられると思います。

  1. 働くことの認識をアップデートする(人生の目的に合わせてデザインできる)

  2. 現状を把握する(これまでのキャリアの棚卸しをする)

  3. ゴールを設定する(自分にとっての幸せな人生に必要な要素を考える)

  4. 自分業の種を探す(キャリアの重ね合わせで自分業の種を探す)

  5. 自分業の戦略を立てる

この中でも、特に他の本には書いていない独自の視点だと思った「自分業の種を探す」「自分業の戦略を立てる」という部分について、その中から3つを紹介したいと思います。

お金と時間を使ってきたことから考える

1点目は、何を商品にするかについてです。
自分が提供する商品の「種」の見つけ方ですが、3つの中でも、この視点が特に目から鱗でした。
自分の中の何が商売になるのかというのはまず最初に悩む部分ですが、時間とお金の使い道というのは、普段の自分の行動から自然と出てくるので、感覚的にとても納得感がありました。さらに尾石さんは、「〇〇代を稼ぐための自分業を考える」のではなく、「〇〇代を経費にできる自分業を考える」ことで、自分業の収入の柱を立てすくなるとも書いています。

よく他の本などで紹介されているように、「好き」や「得意」なことを仕事にするという方法で自分も試しに考えてみたのですが、その時は「本当にこんなものが商売や仕事になるんだろうか」と、あまり実感が持てませんでした。
しかし、尾石さんの「自分の消費を経費にできないか」という考え方をしてみると、少なくとも自分という人間が仮想顧客の一人目にはなるということだからか、商売として考えるハードルが下がります。

尾石さんの場合は、本やヨガから着想して自分業につなげています。
自分の場合は、読書や音楽、ドキュメンタリー映画が好きでよくお金と時間を使います。そこで、まずは尾石さんを真似て、読んだ本のブログを書いてみることにしました。このnoteが、そういう「自分業の種まき」の一歩になっています。
また余談ですが、現在進行中の子育てや、以前行っていた海外旅行の体験から、特にパートナーが食に関する関心が高く、生きることと密接に関わる食の方が、自分業の可能性として大きいかもなとも思いました。

自分が付き合いたい人を顧客にする

2点目は「誰を顧客にするか」についてです。
自分業は、生涯現役で働くことを目指すものなので、そのためには自分業が自分にとって継続できるものであることが重要になります。
尾石さんによれば、継続するためにはストレスを減らすことが必要で、そのためには、自分が付き合いたい人を顧客にすることが大事だと書いています。

こう聞くと、「そんなことを実際にできるのは、人を惹きつける魅力にあふれた、アイドル性のある人だけなんじゃないの」とつい思ってしまいます。
でも、もし誰かに合わせてビジネスを考えると、応えなければいけない要求は無限にあり、自分業で対応できる範囲なんてすぐに超えてしまいます。
そうなるとビジネスは続かないでしょう。
一方で、自分にとってストレスなく付き合い続けられる人を顧客にして長く関係性を保つことができれば、安定した収入にもつながります。
理想のように思えても、月10万の自分業を組み立てるには必須の視点だと思いました。

人は変化にお金を払う

3点目は「どう売るか」についてです。
たしかに、例えば提供する商品が生活で必要なものでない場合、買い手にとってはそれを買う理由があります。その理由が、尾石さんによれば、「自分がこうなりたい」という「変化」だということです。
確かに自分も、本を買う時の理由というのは、「この本に書かれていることを吸収して、こうなりたい」という変化を求めていることが多いので、実感としても、商売として大事な要素だと思います。

一方で個人的に疑問に思ったのは、変化(の可能性)に対して対価を払うのであれば、1人と顧客については変化をし続ける可能性を提示し続けなくてはならないだろうし、そうでなければ、別な顧客を探し続けなければならないのかどうかということです。
ただ、変化の可能性を提供し続けることも含めて、自分業を、小さく適切な規模で設計して運営するということが必要なのかもしれないとも思いました。

まとめ

今回は、尾石晴さんの『40歳の壁をスルっと超える人生戦略』をご紹介しました。
勤め人ばかりしている身でとしては、自分の人生をベースにして仕事をデザインするという発想自体なかなか浮かびませんが、この本を読み進めるうちに、働くというのは幸せな人生を実現するめの手段の一部であり、企業に勤めて働くことも「働く」手段のさらに一部でしかないのだから、自分にはもっと選択肢があるはずで、視野を広げて働き方を考えてみようと思いました。

そして、今の仕事や生活をベースにしながら、次のことを自分なりにチャレンジしてみたいと思いました。

  1. 今の本業を自分業の条件に引き寄せる→特に不足している、人との「つきながり」「健康」を補うために、仕事での外出を増やしたり、子育てで少なくなっていた交友関係を復活させる

  2. 幸せな人生のために必要な要素を改善するために転職活動を進める→自分業の種を蒔く時間を確保するために、「時間の裁量権」のある働き方を求めて、転職活動をしてみる。

  3. 定年後も働き続けられる自分業の種を見つける→アウトプットとしてnoteを投稿し続け、誰かの変化になれるか試行錯誤する。

今回の記事はいかがでしたでしょうか。
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