君たちはどう生きるか【解説・感想】

オランダで上映が始まったのは知っていたジブリ作品。
とうとう見に行ってきました!
難しいとか、何が言いたいか分からないって感想が多かったから身構えて見たけど、私的にはいつも通りのジブリだった
以下ネタバレあり感想です

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宮崎駿の引退作って聞いてたけど、ほんとに宮崎駿が作りたいものを全部詰め込んで、その後に物語的に辻褄を合わせたって印象。

既視感のあるシーンがたくさんあって、宮崎駿ってこういうシーンとかシチュエーションが好きなんだなぁって、なんだかプライベートな日記を読んでるような「こんなの見ちゃっていいの?」って気まずさが少しあった笑

たとえば、
・ 最初の水辺に建つ塔は思い出のマーニー
・ ワラワラはもののけ姫の木霊
・ 草原に流れ星が落ちる場面はハウルの動く城
・ 大叔父さんが積み木を積み上げてた、だだっ広い石造りの空間は千と千尋の神隠し
・ ひみの家はハウルの動く城の、ハウルがソフィーを喜ばせるために作った出口
・ 大叔父さんのパワーの源がある岩のそばの草原は風立ちぬ
・ 大叔父さんの世界のキリコは、千と千尋のリン
・ アオサギが頑張って翼を羽ばたかせて真人やひみを持ち上げるシーンも千と千尋の神隠しの「坊と鳥の変身させられた後の姿」
・ ひみと真人が並んで大叔父さんの前にいるシーンは、天空の城ラピュタのバルスシーン
・ 大おじさんの元まで行く途中の森に飛んでる虫は風の谷のナウシカの蟲の小さい版

他にもあったけど忘れちゃった。
私はジブリ全作見てないけど、きっと全部見たら他にも似てる場所を見つけられると思う

大叔父さんの作り出した世界の岩の塔の中でインコは増えすぎて、世界の全てをインコのものにするように大叔父に直談判しに行く

これは【直談判】という平和的な方法だけど、行われてることは風の谷のナウシカやもののけ姫やハウルの動く城で描かれている【戦争】と一緒

そして、大叔父さんは宮崎駿本人なんだと思う
「この世界はあなたたち若者が、これからいくらでも平和的で穏やかなものに作りかえることが出来る。そこで君たちは何を考えどう生きるのか」
これは、宮崎駿監督のジブリ作品でよく取り上げられているテーマ。

そんな宮崎駿が作品を通して伝え続けているメッセージを、引退作で大叔父さんとして映画に出て直接伝えたんじゃないか

「この世界を真人に引き継いで欲しい」「もう時間が無い」というのは、宮崎駿の【引退と跡継ぎ】というプライベートな問題について話しているんじゃないか。

真人が断って世界が崩れていった時、「本当に引退するんだ」って思った

ここまで書いたのがこの映画の1つの物語で、もう1つは主人公真人が「どう生きるか」っていう成長の物語

母親を子どもの頃に亡くして、父親が母親の妹と再婚。昔の時代は普通のことだったのか?よく分からないけど赤の他人が母親になるより、親戚が母親になる方が気持ちを整理するのに時間がかかる気がする

父親とその母親が親しくしている場面を見て気まずいと思うくらいには気が使える年頃の子供には特に。

なのに、父親は「なつこの具合が悪いから、あまり心配をかけるんじゃない」とか、最後になつこと真人が現実世界に帰ってきた時も「なつこ!まひと!」となつこの名前を先に呼ぶっていう。

家庭にも居場所がないし、学校にも居場所がない。心配してもらおうと怪我したのに、「なつこに心配をかけるな」と言われる。

その真人が大叔父の世界で【なつこを「お母さん」と呼び】、【頭の傷は自分の醜さだと告白し】、【アオサギを友達と呼ぶ】までの成長。
正直、私はそこの真人の心の動きがまだいまいち分かってないから、Netflixに出てきたらもう1回見たいな

それ以外にもまだよく理解出来てない点はこれ
・ なぜアオサギなのか
・ 吉野源三郎作「君たちはどう生きるか」という本を読んでいるシーンの関係性
・ なぜ最初に偽物の真人の母親を見せたのか。なつこに会う前、大叔父の世界に行く前に、死んだ人間は絶対に帰ってこないという事実を分かってもらうことが大切だった?
・ なつこが「あなたなんて大嫌い!」って言った心情
・ なつこと大叔父世界のひみ(真人の母親になる人物)がなぜ姉妹同士だと【なつこが】理解しているのか
・ 大叔父世界のキリコやヒミは、宙に飛んで現実世界に生まれるワラワラとは別の方法で大叔父世界に生まれて成長したのか?でも、時の回廊から現実世界に戻る(生まれる?)と真人の母親になる。

最後に、大叔父世界でのことを全て覚えていた真人にアオサギが言う「そのうち徐々に忘れていく。それでいい」って台詞

これも、引退されたらいつか宮崎駿自身(思い出)は忘れ去られるけど、宮崎駿監督の作品(真人が持って帰ってきたお守りと石)は残り続ける、それでいいってことなんじゃないか

1番最後の「僕達は東京に戻った」ってシーン、あっさりすぎて正直よく見てなかったんだけど、あれはとりあえず映画を終わらせるためにつけただけで、宮崎駿が言いたかったのはその前で全て終わってたんだろうな

主題歌が米津玄師の地球儀だったのがめっちゃ意外で、でもすごいマッチしてて良かった

そういえば、次見る時にはアオサギの心の動きも注意して観たいな

そして映画を見た帰り道、ネットニュースで見たんだけど宮崎駿引退しないらしいじゃん!
めちゃめちゃ引退する映画だったけど、まだ駿監督の映画見れるなら嬉しいよ!!


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