⑨HACCP記録表の記入の重要性
今回は、食品安全のHACCP記録表の記入の重要性についてです。
今回の内容は、これからHACCPに取り組む食品工場の方に向けた内容で投稿します。読みやすいように用語解説も少し入れながら書いていこうと思います。
結論として、
HACCPに関わる記録表の記入は、実施記録を証明するものです。
適切な作業を実施していても記録で証明がなければ「実施していない」という扱いをされてしまいます。
≪記録表を記入する目的は?≫
HACCP記録表は、
・適切な管理を行なって安全な食品が製造されたことを証明する。
・異常発生時に出荷製品から受入原材料まで記録表をさかのぼって該当範囲を特定する、記録表に基づいて異常原因を究明する。
これらのことを目的として記入します。
◆仮に適切に記録表が記入できていなかった場合
◇「適切な管理を行なって安全な食品が製造されたこと」が記録表で証明できない
⇒実際に適切な作業を実施していても「実施していない」という扱いをされます。大規模な食品事故が発生した場合は、経営層や工場責任者の方は重大な処罰を受ける可能性もあります。
◇「異常発生時に出荷製品から受入原材料まで記録表をさかのぼって該当範囲を特定する」「異常発生時に記録表に基づいて異常原因を究明する」が初回生産から当日まで生産した
⇒過去生産分の全て(初回生産から当日生産分)を商品回収して廃棄するという可能性があります。
また、原因究明ができない場合も同様に、膨大な範囲の生産分に対して処置をしなければいけない可能性があります。
≪会社としての目線≫
会社としては、上記のリスクを回避するために適切に記録を残す必要があります。
≪従業員としての目線≫
作業している従業員の方としては、異常発生時に自分の作業不備を疑われることがないよう、正しい作業していることを証明するために適切に記録を残す必要があります。
会社のために記録表を記入するのではなく、「自己防衛のために記録表を記入する」という認識を持っていただいたほうが適切に記録していただけることもあるので、ルールが正しく運用されない場合は状況に応じてアプローチの仕方を変えたほうがいいかもしれません。
≪何の記録表が必要?≫
記録表は以下のものが必要になります。
・通常の衛生管理に関わる記録表(一般衛生管理の記録表)
→洗浄記録、健康確認記録、冷蔵庫冷凍庫の温度記録 ・・・など
・HACCPの記録表(CCP整理表で定めた記録表)
→加熱の記録表、金属検出器の記録表、中心温度計の校正記録、微生物検査の記録表・・・など
*状況によっては上記以外でも記録表が必要になる場合はあります。
≪まとめ≫
HACCPに関わる記録表の記入は確実に記入する必要があります。作業記録を記入して残すところまでHACCPで求められています。
言葉にすると簡単ですが、正しく記入できるように現場で運用するのは意外と上手くいかなかったりします。
一歩ずつ改善を繰り返しながら取り組んでいく必要があります。
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