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⑧「HACCP」のCCP整理表作成の進め方

 今回は、食品安全のHACCPのCCP整理表作成の進め方についてです。
 「CCP整理表」とは、「CCPの管理方法を整理してまとめた表」です。
 今回の内容は、これからHACCPに取り組む食品工場の方に向けた内容で投稿します。読みやすいように用語解説も少し入れながら書いていこうと思います。

結論として、
CCP整理表を作成するためには、
≪ステップ①≫
 食品安全の合格基準を決める
(許容限界の決定)
≪ステップ②≫
 合格基準を満たしていることを確認する方法を決める
(モニタリング方法の決定)
≪ステップ③≫
 合格基準を満たさなかった場合の対応方法を決める
(是正処置の決定)
≪ステップ④≫
  「確認方法が適切」ということを確認する方法を決める
(検証方法の決定)
≪ステップ⑤≫
 確認したことを記録する方法を決める
(記録文書の決定)
  という流れになります。

≪用語の解説≫
◆「CCP」とは?
HACCPにおける「重要管理点」の別名です。
「重要管理点」とは、食品安全に影響を与える危険なものや、危険を引き起こすものを取り除く製造作業です。


【ステップ①】
≪食品安全の合格基準を決める≫
(許容限界の決定)

 CCP整理表を作成するためには、まず、食品安全の合格基準を決めます。合格基準を決めるときは、以下のようなものを参照して決定します。

≪参照例≫
・食品衛生法などの法令基準やガイドライン
・業界団体の指針
・社内の検証データ

 一般的には食品衛生法で定められている法令基準を合格基準としていることが多いです。

≪合格基準の例≫
・【加熱】中心温度75℃以上で1分間以上加熱する。
・【金属検出器】Fe○○サイズ、Sus○○サイズのテストピースが排除される。

【ステップ②】
≪合格基準を満たしていることの確認方法を決める≫
(モニタリング方法の決定)

 合格基準を満たしていることを確認する方法を決めます。確認方法は以下のことなどについて設定します。

≪設定事項≫
・だれが
  (例:加熱作業者が)
・いつ   (例:1時間おきに)
・何を用いて(例:中心温度計で)
・何を   (例:製品の中心温度を)
 *例は加熱をCCPとした場合のものです。

【ステップ③】
≪合格基準を満たさなかった場合の対応方法を決める≫
(是正処置の決定)

 合格基準を満たさなかった場合の対応方法を決めます。100%安全というものは存在しないためHACCPではトラブルやミスが起きる可能性を考慮して、失敗した場合の対応をあらかじめ決めておく必要があります。
 すぐに行わなければならない応急処置と、根本的原因を取り除く再発防止策を、製品と設備などに対してそれぞれ設定します。

≪設定事項≫
【製品に対する処置】
 ・該当品の範囲を確定する(応急の処置)
 ・該当品の出荷を停止する(応急の処置)
 ・製品由来の原因究明(再発防止の処置)
  *原因究明の例:加熱不十分だった場合に製品が大きすぎて中心部まで加熱できなかった可能性がないか?

【設備などに対する処置】
 ・設備の異常箇所の復旧(応急の処置)
 ・設備由来の原因究明(再発防止の処置)
  *原因究明の例:設備メンテナンス手段が不適切だった可能性などがないか?

【ステップ④】
≪「確認方法が適切」ということの確認方法を決める≫
(検証方法の決定)

 「確認方法が適切」ということを確認する方法を決めます。「確認方法が適切」ということを確認するためには以下のようなことを行ないます。

≪確認方法≫
・CCP記録表の責任者チェックをする
 (CCP手順やCCP実施結果が適切であるか確認する)
・CCP測定機器が正常であるか確かめる
 (中心温度計や金属検出器が正常であるか確認する)
・微生物検査をする
 (定めた通りに作業して想定した菌数になることを確認する)

【ステップ⑤】
≪確認したことを記録する方法を決める≫
(記録文書の決定)

 確認したことを記録する方法を決めます。記録する方法を決めるということは、記録書面を決めるということです。
 
≪記録書面の例≫
・金属検出器の記録表
・加熱の記録表
・中心温度計の校正記録
・微生物検査記録
   などがあります。

≪まとめ≫

CCP整理表を作成するために基本的には、
≪ステップ①≫
 食品安全の合格基準を決める
(許容限界の決定)
≪ステップ②≫
 合格基準を満たしていることを確認する方法を決める
(モニタリング方法の決定)
≪ステップ③≫
 合格基準を満たさなかった場合の対応方法を決める
(是正処置の決定)
≪ステップ④≫
  「確認方法が適切」ということを確認する方法を決める
(検証方法の決定)
≪ステップ⑤≫
 確認したことを記録する方法を決める
(記録文書の決定)
   の流れを順番にやっていくことになります。

 細かい注意点等はありますが基本的にはこのような考え方になるので、まずは上記のステップを知っていただければと思います。
 
 HACCPを学んでいなくても、「食品の危険な病原微生物を取り除くために焼いて食べる」などは経験的にこれまでやってきたことだと思います。HACCPで求められる基本的な考え方は難しくはありません。
 ただし、文書で明確にして第三者に取組み内容が明示できるようにすることがHACCPでは重要になります。感覚としてHACCPができていても文書で第三者に明示することができなければ十分な取り組みとは言えません。


◆CCPの作業記録を残すために必要な情報
・ CCPの作業記録を残す≪ゴール≫

  ↓
・「CCPの作業記録を残す」ために
  CCPの管理方法を決定する ←最終的に"食品危害を取り除くためのCCPを実施"ために今回はCCPの管理方法の決定についての話でした。
  ↓
・「CCPの管理方法を決定する」ために
  ハザード分析をする
  ↓
・「ハザード分析をする」ために
  製造工程を書き出す
  ↓
・「製造工程を書き出す」ために
 【製品情報を書き出す】 
  ↓
専門知識をもったHACCPチームをつくる

◇用語の説明
ハザード分析 ⇒ 食品の危険なものを調べること
CCP(読み方:シーシーピー) ⇒ 食品の危険なものを取り除くこと

≪具体例(ハンバーグの作り方)≫
ハンバーグには○○という菌がいるか調べてみよう ⇒ ハザード分析
○○という菌がいるから焼いて食べよう      ⇒ CCP



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