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大きいノートが似合うね。

「大きいノートが似合うね。」
と言われて枕は缶コーヒーを啜った、にやつく顔を隠す為だった。

ここ数日、他部署の業務支援をしている。
普段はフロアやカウンターでの接客が仕事だが、支援先はデスクワークだ。
枕の仕事は店内を歩き回る事も多い為、ポーチに収まるメモ帳を使っているが、支援先に持って行くのを忘れてしまった。

代替案で常に持ち歩いているA4のアイデア帳をデスクに持って行った。
シンプルな紺のノートカバーを付けてあり、体裁は辛うじて整っていたが、内側は種々雑多なステッカーだらけである。

「大きいノートが似合うね。」
仕事内容をメモする枕に先輩はそう仰った。
「普段はアイデア帳として使っているんですけど…」
なんて言っていると
「そういうの背伸びして使っている人とかいるけど、枕さんは背伸びしている感じないよね。」
とまで言って下さった。

昔から賢い人に憧れた。
二次元や作中の登場人物で推しになる同性のキャラクターは総じて賢い。
みんな一様に大きいノートが良く似合う。
毎日のように社会で浪費されながらも、賢くあろうと未熟なりに精進しているつもりだ。

そんな大した進展の無い日々が少しだけ報われた一言だった。

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