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包丁を振りまわす

私のお父さんは、アルコールを飲んで帰ってくると暴れる人だったの。子どもの時はそれが怖くて、アルコールを飲んで帰ってきた日は、怯えていた。

お父さんが、アルコールを飲んで帰ってきたある日、包丁を持って、叫んでいた。

もちろん怖かった。

怖かったけど、包丁を持っているお父さんは人を刺したいから持っているんじゃなくて、たぶん、それくらいお父さんの心は悲鳴をあげてたんだよね。

もちろんね、アルコールを飲んで暴れるとか、
包丁を振り回すというのはダメな事だよ。

でもね、アルコールを飲んで暴れるのが良くないとか、包丁を振りまわすのが悪いことなんて、充分わかってると思うの。

でも、どうしても、アルコールを飲まずにはいられない事があったんだよね。悪い事だと思っていてもそれをやめる事ができなかったんだと思う。

きっと飲んで暴れた次の日は後悔したんだと思う。そんでもって、もうやらない!と決意するんだけど、それを上回る最悪な事があったり、嫌な事が続いて、、、アルコールを飲んじゃう。そんな事を繰り返して、取り返しのつかない事になってたんだろうね。

人生って、落ち込む時がある。
闇に堕ちる時がある。

そんな時に誰か支えてくれる人が周りにいる人は幸せな人で、苦しい時にひとりぼっちの事って多い。

そんな時は、どうすれば良いんだろうね。

私は誰にも相談できない時は、
ノートに書いていた。

誰にも相談できないから、
本を読んでいた。

探せば何かあるのかもね。

お父さんが弱い人だなんて、今も思えない。
だって優しかったんだよ。

そう、優しかったんだと思う。
だから、たくさん傷ついたんだと思う。

たくさんの言葉で傷ついたんだろうね。

お父さんに直接会えないから、
お父さんに直接優しくはできないけど、
回り回ってお父さんに優しさが届きますように。

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