私はファンアートが描けない

 好きな有名人を応援する方法。色々あるけどそのうちの一つに「ファンアート」がある。その有名人の絵を描いて、SNSにアップしたりするのだ。私はこれができない。

 理由は簡単で、絵を描くことが苦手なのだ。子どもの時から絵に触れてこなかったのもあって、下手だし、何より絵を描くことが好きではないのだ。


 数年前、絵の練習をしていた時期がある。ファンアートを描くため、ただそれだけの理由で描き始めた。最初は自分の実力の低さに気付かず、純粋な気持ちで楽しく描いていた。でも、徐々に周りとのレベルの違いに気付いていったのだ。

 プロでなかったとしても、絵が上手な人はたくさんいる。私がいくら努力しても、この人たちには届かない。

 絵が好きな人なら、きっともっと努力できたのだろう。私にはそれができなかった。頑張ることに疲れた私は、ファンアートを描くことをやめた。

 それからしばらく、コンテンツを受け取ることに専念していた。ツイートにいいねをしたり、本が出版されたら購入したり。自分の無理のない範囲で応援して、ほどよく楽しんでいた。絵が描けない悔しさなんて忘れたつもりだった。


 ある日、応援している有名人が、Twitterで自分のファンアートを紹介していた。引用リツイートを使って、「このイラストすごいから見て!」と。

 絵のクオリティはとても高く、私も感激した。でもその直後、ふと自分の無能さが心を貫いた。

 私は何もできていない。

 彼のためになること、彼が喜ぶこと、私はできているのだろうか。所詮は、何万個とついた"いいね"のうちのただ一つ。自分の不甲斐なさに涙がこぼれた。

 絵が下手だからと言い訳をして、努力をやめた自分が悔しかった。

 頑張ることができない自分が嫌になった。


 これがさっきまでの自分だ。

 少し塞ぎ込んだあと、『"私に"できることは何か』を考えた。落ち込んでいたってしょうがないのだ。自分の好きなこと、得意なことを活かせたら。

 今までの私は、視野が狭くなっていた。自発的な応援の方法は、なにもファンアートだけじゃない。

 たとえば、私は歌うことが好きだ。

 それを活かす手段として、カラオケで彼の曲を歌えばいい。カラオケは歌われると印税が発生するらしいし、友達と一緒にいるときに歌えば布教にもなる。自分も楽しいし一石二鳥だ。

 それから、掃除も好きだ。

 彼の仕事場は公表されているので、近辺のゴミ拾いをするのもいい。清掃のボランティアを募集しているところもあるから、参加してみよう。

 徐々に筆が乗ってきたぞ。

 最近はnoteを書いているから、彼の記事や本を紹介するのもいいな。

 もちろん、日頃から規則正しい生活をしたり、勉強を頑張ったり、ファンとして胸を張れる行動をすることもとても大切だ。


 いま、この文章を書いていて、私はとてもワクワクしている。さっきまで落ち込んでたのにね。

 でも、やりたいこと、できること、いくつも見つかった。小さいことだけど、続けていけばきっと何か、彼の力になれるはずだ。そう信じる。

 自己完結してしまって申し訳けど、これを読んでくれたあなたも、何か自分にできることを見つけてくれていたら嬉しいです。

 自分の"好き"を信じましょう。それでは。

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