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子無し希望の婚活経験

今でも不思議なほどあの時の光景をよく覚えている。

中学生の時。美術室や保健室、職員室のある校舎1階の廊下を友達と歩いていた。
何かの拍子に、出産の話になった。

「子供かあ〜わたしは産まないかなあ。想像できないもん」

みたいなことを、わたしは言った。
実際子供に全く興味なく、かわいいと思ったこともないし、歳の離れた下のきょうだいとも仲がいいとは言えなかった。
そもそもまだうちら中学生なのに出産とかって、考えたことなくない?ぐらいのぼやき。

でも友達はものすごくキョトンとして、「えっ、子供欲しいって思わないの!?」と言った。

衝撃だった。

中学生からごく自然に子供が欲しいとはっきり言える彼女に、すげえなとも正直マジかよとも思った。

それから何年も、それこそ10年ではとてもおさまらない時間が経過してもその時のことははっきりと覚えている。
そしてその時間を経てしても、わたしの考えは変わっていない。わたしの人生に子供は必要ない。

もしかしたら、女性は本能的に自然と「子供が欲しい」と思うのが当たり前なのかもしれない。そういう性なのかもしれない。
わたしはどこかおかしくって冷たいからそう思えないのかもしれない。
そう思ったこともあったけど、仕事場の先輩がまっすぐな背筋で「ちょっと前まで彼氏がいたけど、子供が欲しいって人だったから別れちゃったんだ。わたしはどうしても自分に子供がいるビジョンが見えなくてさ。」と言っていたのを聞いて、ああ、わたしのこれも正解なんだ。と腹落ちした。

そして自分にはあなたと同じビジョンが見えない。と判断して彼との別れを選択した先輩は心底カッコいいと思った。
わたしなら、もしかしたら彼と別れたくないがために本当は欲しくもないのに子供を望んだかもしれない。そして取り返しのつかない後悔をしていただろうから。

自分は欲しくもないのに相手にせがまれて子供を望む例、これはだれも公に言わないだけでゴマンとあるパターンなんだろうなと思う。
身近なところでは縁を切った実の母親がそうだったんだろうなと今は思う。父親(わたしの祖父)がアル中モラハラDVの、綺麗なまでにパターンに当てはまるアダルトチルドレン。自覚は今もしてないし、していても今更どうにもならないと思う。
共依存の母親(祖母)からは正しい愛情を学ばず育って、当然のなりゆきで娘のわたしにも素直に正しくない過干渉をほどこし、結果わたしもりっぱなアダルトチルドレンになった。

尚わたしはアダルトチルドレンを婚活と夫によって克服したと思う。今は昔ほど生きづらくないから。


話が盛大に逸れたが、現代は選択肢が増え多様化がうたわれ、結婚出産のありかたを自由に発信したりしているけど
それこそ昭和平成の適齢期世代は当たり前に「適齢期=結婚=出産」がガッツリ3セットパックになっていたので
子供は欲しくない、なんて該当世代に言おうものなら信じられない!と一蹴されていた。

そのソースはなんとわたし自身である。

当時の交際相手の母親がなかなか結婚しないわたしたちに業を煮やしたのか
わたしと二人きりのときに「あんたたち、さっさと子供でも作っちゃいなさいよ」みたいなことを言ってきた。それだけならまだしも、妊娠にいいらしいわよ♡と謎にどでかい生姜を持ってきた。(しかも中国産。アッそこケチるんですね→即ゴミ箱ポイ)

辟易しながら
いやー。わたしは子供は要らないんです。ともごもご言うや否や

何を言ってるんだ!女は子供をうむもんだ!

と、すんごい剣幕で怒鳴られた。ポカーン( ゚д゚)である。

今思えば、いや今思えばだが
遠方の初孫になかなか会えなくて暇だったんだろうし、そしてわたしたちのゆく末をその人なりに案じてくれていたんだろうなとは思うけど、
この時代にこんなこと「彼ママにこんな事いわれましたァァァァ泣」なんてSNSでつぶやこうもんなら大炎上必至である。

今の時代になってかなり、子供は要らない派はずいぶんと息をしやすくなったなと感じる。
仕事場でも子供のいない夫婦が多数だったり、事実婚も多かったり。それを堂々と人に話せるようになってきた。

今でも子供に興味はないし、心から愛する人と出会って結婚して数年経過しても考えは変わらない。

なお婚活で出会った夫には子供を望まないこと、考えはきっと変わらないことを最初に念押しした。
それどころかアプリのプロフィールにもバッチリ「子供は欲しくない」と明記していた。

婚活においては不利になるかもしれないけど、なんならアプリを始める前婚活パーティーで出会った人に「えっ、じゃあなんで婚活なんかしてるの?みんな子供が欲しくて婚活してるんだよ!」と言われても
ここまで子供は要らないです公言を徹底するのは、前の交際相手が絶対俺子供欲しい!派だったから。
最初交際相手はわたしの子供要らないです。というのに同意してくれていたが、あるとき急にひっくり返された。やっぱり子供欲しい。と神妙に切り出された時は裏切られた気分だった。

そのままその後出しジャンケンが不信感にかわり、その交際相手とはほどなくサヨナラしたが、こういううすらコスイ男、実はけっこう多いんじゃないだろうかと思っている。

自分には子供のいるビジョンが見えないから、と交際相手と別れたわたしの先輩と逆で
女とは別れたくないから最初は調子を合わせておいて、そうだよね〜タイミングとかあるよね〜とかお茶を濁しておいて、逃げられなくしてから俺はやっぱり子供欲しいと意見をひっくり返して
なし崩し的に子供を産ませるみたいな男。

家事も最初は分担しようねという意見に同意するふりして、段々なし崩し的に女に押し付ける男が多いと聞き及ぶから
子供のこともそうなんだろうなと想像に難くない。

それとそこまで悪意がなくても、「今は子供が欲しくなくてもそのうち考えが変わっていつかは授かれるだろう」と漠然とした希望を持たれていることも多いだろう。

そういう人もいるかもしれないが、わたしはそれでは困るのだ。

確実に「その日」はやってこないから。
もしかしたら若いうちなら子供絶対欲しい!という嘘をつき、相手を選ばなければすぐ結婚はできるのかもしれないけど、本当は作る気ないのにそんな詐欺みたいなことをしても誰も幸せにならない。
それこそなんのために結婚するんだ?という話である。

ゆえに、わたしは婚活を通して子供要らない公言を徹底し
夫との交際の打診のときもその後もしばらくしつこい程に確認した。
夫は、産む産まないはあなたが決める事。あなたが欲しいなら俺も欲しいし、あなたが要らないなら俺も要らない。あなたが決めることですから。と一貫していた。

それでも疑い深くてかわいくないわたしは、「他界する直前とかにやっぱり子供が欲しかったー、なんて言われたくないんだけど?」と夫を試すような意地悪を言った。(ごめん)

夫は笑いながら、しぬ直前に後悔するほどのことなら今やるよ〜。とからっと言っていて、わたしは「そっか。」と腹落ちしそこで納得した。
この人はけして後出しジャンケンするようなずるい人じゃない。と確信したからだ。

そうか。産む産まないってのは女が決めるものだ。
いやー、わたしは欲しくないんですけどねえwと濁してへらへらするんじゃなくて、先輩のように、わたしは子供要らないんです。と背筋をのばして堂々と言おうと決めた。

やっぱり子供は嫌いだし、もし関わることがあっても仕事だからと割り切ったりする。
はしゃいだ時の特有のあの笑い方が1番うるさくて嫌いだし、泣き叫んでるときの金切り声には耐えられる自信がない。

でもその反面、子供が欲しいと望む人には安心してがんがんどんどん産める社会になってほしいなとも思う。

令和にもなったのだから、社会全体で多様性多様性とうたうならそれぞれがそれぞれの立場を尊重するべきである。
わたしがこうだからあなたもそうでしょう!こうすべき!というのは間違っている。そこの意識が昭和的感情論のままではいけないと思う。

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