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ダブり〜2限目〜A

陽が堕ちる夜の始まり・・・月はだんだん輝く。

でも月は太陽の光を浴びて輝いている。

もしも
月が自ら輝く事が出来たなら何か変わったのか?

月は輝かされるのではなく
自ら輝きたかったんじゃないのか?

それが、ほんの少しの輝きでも。


俺は・・考えていた。


人は、なぜ評価をつける。
人の基準を点数で決める。


俺は考え、闘っていた。


テストと言うやつと。


だが、なんてったって3度目だ。
人間ってのは、思い出を残すと言う立派な
スキルがある生き物だ。
いい事は、思い出として、
悪い事は、経験として、脳と言うHDの中の
ファイルに保存される。
俺は今、そのファイルの中から必死に答えを探している。

モトキタは
「はーいっ、そこまでっ」
「うしろの席から順番に前にまわして」

「そこっ!もう書かないっ」

今この瞬間に1学期の中間テストが終わった。


いるよねぇ〜こう言う奴。


「会長、テストできた?」
とエトウがどや顔で俺に聞いてきた。

俺は、そんな絶対にいる奴に向かって答えた。
「恐らく、ギリギリかな
        まー赤点は逃れたと思う」

「さすが、会長だね」
と笑顔で言うエトウに俺は
「まぁな」って答えた。

何が「さすが」で、「まぁな」かは謎だが
あの日以来、エトウは楽しそうにやっている。
今じゃ陸上でそこそこ活躍している。
実は野球より才能があったのではなかろうか?
そしてマネージャーも元気にしているようだ。

すると、
「まぁなって、赤点回避でしょ?」
「だから、勉強会しよって言ったでしょ?」

来た。
こいつが来た。
確かに、こう言う奴もいる事は確かだ。

俺は、気にせず帰り支度をしていた。

「会長、もし赤点だったらどうするの?」
「1学期の最初からギリギリじゃこの先
               しんどいよ」
「ほんと大丈夫なの?」以下省略。
               from 副会長。

あまりにも横でワーワー言うから
「まぁー終わったことをどうこう言っても
              しかたないだろ」
「とにかくテストは終わりだっ」
「帰って、次のLIVEの曲でも作るかっ」

エトウを登校させた事による恩恵で
英語と国語を気にしなくて良くなった俺は、
金は無いが、余裕はあった。

あと、時間も。

そんな中間テストあるあるをしていると、

「リョウ、リョウ」
と副会長のもとへ話かけて来た。

「ごめ〜んっ。
 今日急にバイトが入って、行けなくなった。」
と、クラスメイトのサワナカナナが手を合わせて
副会長へ言った。

どうやら、
2人はランチへ行き買い物をする約束をしていたらしい。

副会長は、
「そっかー。。仕方ないねっ。また、行こうね」
と笑顔で言った。

サワナカは申し訳なさそうに
「リョウ、ほんとゴメンっ!
        この埋め合わせは、絶対するからね!」
「あっ、もう行かなきゃ」
「ほんとごめんねっ」
「会長も、またねー!」
と言って、バイト先へ向かった。

俺は2年間こう言う事を経験したがここまで
慌ただしい光景は3年目にして初めてだ。

これも、バイトあるあるのようだ。


「さて、帰りますかっ!」
と、俺は席を立ち教室を出て、
階段を降り下駄箱で靴を履き替え校舎を出た。

校庭では、部活へ向かう生徒。

走るテニス部。

座り込みストレッチをするサッカー部。

キャッチボールをする野球部。

楽しそうに友達と話す生徒。

イチャつき歩くカップル。

そして、それを見守る教師。

まさに、学生を俺はしている。

そんな俺は横にいるJKにこう言った。
「でっ、どうしてお前が居るんだ?」

そのJKは
「居るんだ?って別に。。私もこの道だから」

俺はそのJKに
「そうか、そりゃーそうだな。
       じゃーお先に、どうぞっ。」
と言った。
するとそのJKは
「ねー会長、、、きょ」

俺は即答した
「無理っ」

「無理って、まだ何も言ってないでしょ」

「無理なんもんは無理」
と俺が言うとそのJKは持ってた鞄を地面に置いて
こう言った。
「はぁ?ひどくないっ、ほんとひどいよね」
「はい、わかりました」
と言うとスーっと息を吸い込んで

「みなさ〜んっ、この人、ポケットの中に、
      高校生が吸ってはいけない、、、」
俺はそれを止めて
「わかった。わかった。だから変な事を叫ぶな」
と、そのJKの話を聞く事にした。

「コニシっ、何かあったか?」
と職員室の窓から俺に向かって叫ぶ。

俺は、
「大丈夫っ!何もないっスから」
と手を挙げて返した。


「おまえなぁ〜」
「でっ、どうかなされましたかな?」
とJKに聞いた。

そのJKは
「お昼食べに行こうよ」
と笑顔で言った。

やっぱりな、そんな気はしていた。

俺は、
「わりぃ!!今日はLIVEの新曲を作るのにみんなと約束してるんだ。だから今日は都合が悪い」
と言った。

するとJKは、
「なーんだ、それならそうと最初から言ってくれれば良かったのにっ!わかった。頑張ってね」
と、すんなり引き下がった。

俺は、申し訳なさそうに
「お、おう」
と言った。

そんな学生生活を終わらせて校門へ向かうと


「ユウっ、お〜いっ」
と校門からこっちに手を振る奴がいた。

タイケだ。
「ユウ、今日は帰るのか?」

俺は
「おっ、おう」

タイケは横を見て
「おっ!どうも」

そのJKは会釈をした。

タイケは
「ユウ暇?」
「俺この後マキと一緒に昼飯食べるんだけど、
オマエもどうだ??あっ、良かったら」
と横にいるJKにも声をかけた。
タイケは続けて
「なぁー行こうぜっ」

俺はタイケにジェスチャーを送っているが
タイケはそれに気づかず
「おっ噂をすれば来た来た、マキーっ」
と、タイケが呼んだ先にササマキがいた。
ササマキは肩に掛けていた鞄をタイケに投げ
こう言った。
「駅で待ち合わせって言ってたじゃんっ」

タイケは
「ごめん、ごめん、つい来ちゃった」
と言った。

俺は
「何が、来ちゃった!」だと思った。

ササマキはそれに触れず
「テストできた?」
とJKに話かけた。

JKは頭の上で丸の形を作っていた。


俺には、挨拶ないのか!?
まー気にしない。
なんせ俺は、大人だから。


すると、タイケが
「ユウ、暇だろ?飯行こうぜ」
と言った。

俺はずぅーとタイケにサインを送っている。
だが奴は気付かない。

ドッキっ!とした俺の背後で何か視線が感じる。

するとそのJKは
「今日、会長さんはこの後バンドのみなさんと、
集まって、次のLIVEの曲を作らないといけないみたいですよ」
と、タイケに言った。

「おいっ、、」
と俺が止めようとすると

「はぁ?なんだそれ??
       そんな話俺、聞いてないぞ」

俺はタイケに向かってウィンクをした。
やっと俺のサインに気付いたタイケは、
「あっ、そう言えば、、、」
とフォローをするのか?と思いきや

「イサカも、今日は用事があるって言ってたし、
ウエイもバイトだろ?、ナカヒロは知らんが」
と言って俺にウィンクを返してきた。

背後から冷たい視線がさらに刺さる。

俺は、とぼけた様子で
「・・・・あっ、そうだったけっかな?」
「おかしいなぁ?今日って言ってなかったか?」
と言った。

もう、意味がないがこう言うしかなかった。

すると、ササマキが
「てか、嘘ついたよね?」
「ユウっちっ、嘘ついたんだぁ〜」
「可哀想(きゃわいちょう)だね」
「こんな可愛い子に嘘つくなんて、最低ぇ〜っ」
と言ってそのJKをヨシヨシと抱きしめていた。


その抱きしめられた隙間から見えるJKに
視線を向けるとその目はとても冷たい目だった。

俺は、副会長が
こんな冷たい目をするんだって知った。

結局俺達4人は、ランチへ行くことにした。

これはこれで、あるあるだなっ。

2限目Bへつづく









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