Time Machineにのせられて

Time Machine聴くと、ザワザワしない?

いや、好きなの、めちゃくちゃ好き。最初の、掌で、の歌声の響きなんて、あの一言だけで大切に歌ってることが涙が出そうなほど伝わってきて、一生懸命だったからこそ辛くてもどかしかった懐かしい時間が一瞬で頭の中に浮かんできて。ふわっと心がほぐされる感じがするの。だからかな、その後のちょっと不思議な機械的な音に、ガードの下がった柔らかい心がグイッと引き込まれて、歌の世界に連れていかれる感じがするんだよね。なんかさ、一番大変だったけど、一番大切なものと向き合ってた時の自分に声が届きそうな気がするの。

歌詞で語られてるストーリーは自分には全然当てはまらないのに、不思議とイメージがスッと馴染んで。夜寝る前のウトウトしてるときに聴いたりすると、本当に過去の自分と会ってるみたいな気持ちになる時があるの。

そういう時思い浮かぶ場面は2つあって。ひとつ目は、本当に1人で始発から終電までがむしゃらに研究してた頃。やってもやっても終わらなくて。一日中誰とも口をきかないで、食べないし、何も楽しくないし。ガリガリになっていた背中に声をかけてあげたい。その結果は無駄にならないよ、先輩の助けになるだけでなくて、後輩たちに沢山のものをあげられるよ、って。あの頃はよくわかってなかったけど、私、本質的に自分にあんまり関心がないんだよね。だから多分、あの頃周りの先輩とか先生から言われていた、良い経験になるとか、このデータであの学会出ようとか、そういう励ましの言葉って全然励みになってなくて。大好きな先輩が体調崩して研究がままならなくて、それを助けたかっただけだったんだよね。だからさ、ちゃんと助けになるよ、って教えてあげたい。

ふたつ目は、あの水曜日と木曜日と金曜日。あの3日間の私に声をかけたい。変な意地張らないで、自分の直感をちゃんと大切にしてって。心配ならちゃんと動いてって。もしかしたら、間に合うかもしれないから。助けられるかもしれないから。1番大切な相方を。でもさ、ここまで考えていつも思うの。タイムマシンが出てくる物語ってさ、大抵、タイムトラベルする主人公は何かを変えたいと思ってるじゃない?変えたい何かがあるから、時間を移動する。じゃあ、タイムトラベルした先でその「変えたい何か」を取り除いてしまったら?そうすると今度はそのタイムトラベルが起こるきっかけがなくなるから、矛盾が生じて結局大きな流れとしては同じことが起きるって。何が言いたいかって、だからそんなに直接私にアドバイスしても結局何も変えられない可能性があるのかなって。彼を助けられない、ってことは必ず起きてしまうのかなって。で、どうしたらいいのかを考えるとさ、もう思い切って全然違う何かを引き起こすしかないのかなって。例えば、私が大怪我するとか。そう、あの3日間の前に、私が大怪我してみたら、色んなこと変わると思うの。どうかなこのアイデア。やめて、そんな顔しないで。タイムマシンは無いんだからただの冗談よ。

ほら、全然Time Machineの物語と違うこと考えてるでしょう?でもね、本当にこの曲聴くと、タイムマシンで過去の自分に声をかけにいくのに成功した【誰か】がいるんだって自然に感じるの。それくらい、ものすごくイメージが湧く曲ってことよ。だからね、もしタイムマシンがあるなら、私ならどう使おうってつい考えちゃうの。過去の私に見せれる綺麗な朝を私は持っていなくて、むしろとてもじゃないけど見せられない土砂降りの真夜中って感じだから励ますのは無理。変えれるものなら変えたくなるの。今の私が、夜明けの一縷の望みをかけて過去に遡るの。

歌声に酔うってこういう感じなのかもね。グルグルと熱い頭で、タイムマシンをどう使えばこの受け入れ難い今を変えられるのか。ズブズブと深みに嵌っていくように際限なく考えちゃうの。そうやって視界や世界が閉じかけた時に、最後の開き直ったかのような毅然と立ち向かう歌声が心の底まで届くんだよね。そんなこと気にすんな、晴れていくから、って。なんか、自分の考えてたことと繋がりがあるわけじゃないんだけど、この最後の歌声聴くと、背中をトンと押されて我に帰る感じがするの。ほらいいから深呼吸して、って言われてるような気持ちになって、急に呼吸が楽になって自分の輪郭を取り戻すの。

そっと語りかけるような最初の歌声に誘われて、あっという間に過去に遡ってしまって、もうダメかもって思うギリギリのタイミングでグンっと引っ張り上げてもらえる感じ。本当にタイムマシンに乗せられて、時間を旅してきたような心地になる。初めてのモノに出会った時の、はーなんかすごかった‥みたいな疲労感と充実感。1曲聴いただけとは思えない高密度な体感があるのよね。だからこのTime Machineって曲は大好きで少し怖くて、でも力をもらえる大切な曲なの。

♬掌で抱え切れぬ涙流した教室はセピア色で 背伸びさえ出来ぬままに誰にも言えなかった夢は 今輝いて

♬真夜中のグラビティ抜けて このTime Machineで このTime Machineで

♬困難や葛藤・ジレンマ 存在の証明も運命も そんな事 気にすんな Good bye 晴れていくから

Time Machine / 松尾太陽

この曲を聴くとあまりに沢山感情と考えが頭の中を巡って、うまく言葉にしきれない。なのでそのまま語るように、喋りかけるように物語にしてみました。

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