スイーツのツンデレ女王
スイーツと言えば、僕の場合洋菓子系に限られる……(アンドーナツは例外)、もとより女子に比べればそんなに詳しくもないのだが、一つ挙げろと言われれば、「サバラン」と答えることにしている。
サバラン? 個人的には超有名な定番スイーツと心得ているのだが、この名を知らないという友人もいる。
ためしに、検索してみてもベスト30位にも入っていない。
実際、僕もこのところ見かけることもないのだが、子供時代はかなり頻繁に食っていた記憶がある。たぶん、不二家あたりの大衆的なやつだと思うのだが、ラム酒をたっぷり含ませたブリオッシュとかいう菓子パンの上にクリームが乗っているという奴だ。かなりシンプルである。お酒が入っているのだから、当然大人向きのはずで、ちょっと酔っぱらった気分にもなったが、禁止された覚えはない。とにかく紅茶との相性は抜群である。
スイーツにもこれまでいろいろとブームがあったようだ。
……ティラミス、カヌレ、エッグタルト、パンケーキ等々……
とはいえ、サバランが脚光を浴びたことはなかったはずだ。シュークリームやモンブランと同じく定番と信じていたのは、僕の錯誤だったのだろうか?
確かに、その食味を思い出してみると、かなり好き嫌いが分かれるかもしれない。ラム酒の染み込んだ感触を「ベチョベチョ」ととらえる人もいるだろう。アルコール感に、違和感を覚える人がいてもおかしくはない。
明らかに、「二度と食いたくない派」と「やみつき派」に分断されるけはいはありそうだ。
もとより、僕は「やみつき派」である。とはいえ、コンビニあたりで手軽にゲットも出来ないのだから、最大公約数的嗜好からは外れているのだろう。案外、僕と類縁関係のひねくれものスイーツと言えそうだ。
当然、ちょっと足を伸ばせば、それなりの洋菓子店では売っているのだろうが、当面、最後に食べたホロ苦い日々に思いを馳せるにとどめたい。
染み込んだラム酒の大人びた冷たさと、クリームの優しいぬくもり……
世間からは無視され続けてきたかも知れないが、この誇り高きスイーツを、僕は次のように命名したいと思う。
「スイーツのツンデレ女王」 と、……
この記事が参加している募集
貧乏人です。創作費用に充てたいので……よろしくお願いいたします。