ボツ原稿から20240807

 19歳から23歳までの4年間、毎日欠かさず日記をつけていた。SNSなどなかった時代、日記は日常を綴り、自分の心情を吐露する唯一の手段だったように思う。今となっては青春時代の貴重な記録ではある。

 改めて読み返しても、他人に見せられるような代物ではない。しかし、学生時代の知人に昔あったことを伝える記録媒体としてはよく機能するため、「よくそんなこと覚えているな」と感心されることもある。

 とはいえ、「終活」を意識するようになった今、当時の日記は邪魔な物であるとさえ思える。一体、自堕落な生活や好意を寄せていた女の子の名前を他人に知られるのを想像して、平静でいられる人がいるだろうか。

 そんな訳で、いつか裁断しなければ…と考えていたものの、思い切れないまま数年が経ってしまった。恥ずかしさとかけがえのない思い出たちとのせめぎ合いの中で、結論は先延ばしにされるのだろう。


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