たかちゃん

昨年グランドスラムを達成したランナーです。 今は投書,ロシア語,考古学を(ある程度)極…

たかちゃん

昨年グランドスラムを達成したランナーです。 今は投書,ロシア語,考古学を(ある程度)極めることが目標。

最近の記事

採用原稿から(K10)

 10月27日から11月9日までは読書週間である。勤務先では、仕事関係以外の本を読む人はあまりいないが、私は電車通勤のため、毎週1、2冊は読んでいる。読むのは主に小説、エッセーである。  「読書離れ」を指摘する声は以前からあるが、必ずしもそうではないとの見解もある。結局、読む人は読むし、読まない人は読まないということなのだろう。でも、本を読まないなんてやっぱり勿体ない。  先日読了した西村亨さんの小説「自分以外全員他人」に「他の人は皆、本を読まなくても生きていける人間だった。

    • 採用原稿から20240816

       毎年11月23日に開催される福知山マラソンの参加者が低迷している。そのため、今年は福知山城が見えるコースを取り入れたり、参加費を1000円値下げして1万1000円にしたりするなどの変更があった。  しかし、所詮は弥縫策であり、焼け石に水である。エントリーに1万円以上する市民マラソンも珍しくなくなったが、1000円値引きしたからといって、参加者が急に増加に転じることなど期待できないだろう。  コロナ禍を経て、高額な市民マラソンへの向き合い方を考え直したランナーは少なくない

      • ボツ原稿から20240807

         19歳から23歳までの4年間、毎日欠かさず日記をつけていた。SNSなどなかった時代、日記は日常を綴り、自分の心情を吐露する唯一の手段だったように思う。今となっては青春時代の貴重な記録ではある。  改めて読み返しても、他人に見せられるような代物ではない。しかし、学生時代の知人に昔あったことを伝える記録媒体としてはよく機能するため、「よくそんなこと覚えているな」と感心されることもある。  とはいえ、「終活」を意識するようになった今、当時の日記は邪魔な物であるとさえ思える。一

        • 採用原稿から20240707

          読売新聞「気流」欄に採用していただきました。 一部、編集時に添削されましたので、元々の原稿を掲載したいと思います。 「天野川の思い出」  10年前、大阪府枚方市に住んでいた時、近所の天野川という川で、七夕にランタン流しをしたことがある。短冊に願いを書き、ランタンに乗せ、川に流す。黄昏時になると無数の明かりに彩られ、幽玄な雰囲気に包まれた。  七夕だけに恋愛成就を祈願した人も少なくなかっただろうけど、僕は「マラソンを2時間50分以内で完走したい」と書いた。その後、その願い

        採用原稿から(K10)

          ボツ原稿から20240702

           書店で本を買うのは「推し活」のようなものだと思う。知らない世界の扉を開けてくれる「推し」の教えを請う。また、行き詰まった時には本から元気をもらう。何しろ、本は決して裏切らない。  若いころの「推し」は、数多くの恋愛小説を手がけた渡辺淳一さんだった。初期作品からベストセラー小説、エッセーまでほぼ全ての本を購入した。サイン会やトークイベントなどにも、足繁く通ったものである。  最近は本を買わないばかりか、読書を全くしない人も珍しくなくなった。一方で何らかの「推し活」をする人

          ボツ原稿から20240702

          ボツ原稿から(20240601)

           亡くなった祖父は終生、腕時計を大事にしていたと聞いたことがある。シベリア抑留時、身につけていた腕時計と引き換えにソビエト兵に銃殺されるところを危うく逃れたのだという。  事の真偽は確かめようもないが、そんなこともあったのかもしれないと漠然と考えてきた。「時は金なり」というが、祖父にとってその時を刻む時計は身代わり地蔵のような存在だったのだと思う。  1990年代にロシアのサハリンに行った時、通りすがりのロシア人から「今、何時?」と聞かれたことがある。体の大きな男性で、と

          ボツ原稿から(20240601)

          神、仏、そして金太郎手彫りの大日如来に祈る

          数年前、精神的不調から仕事で大きな失敗をしたことがあった。この時の周囲の反応が今でも思い出される。無視、無反応が多かったが、上から目線の慰めや同情、聞こえよがしの陰口もあった。 親しくしてきたつもりだった人たちも離れていき、社会の厳しさや孤独を改めて思い知らされたのであった。全ては自分自身が負うべき責めではあるけれど、そのままでは人間として落ちていく一方である。 その後、信頼を回復する上で心掛けたことがある。それは「小さな成功(体験)を積み重ねる」ということであった。締め

          神、仏、そして金太郎手彫りの大日如来に祈る

          ラジオ

          子供時代、我が家の食事時間にはいつも英語のラジオ番組が流れていた。私や弟のためではなく、もっぱら母が英語を習得するためである。物心がついた時から、母は英語に熱中していた。 英会話教室にも通っていて、そこで知り合った人々を招いてホームパーティーのようなものをすることもあった。人見知りだった私は積極的に彼ら、彼女らと交わろうとはしなかったけれど。 そういう母を見て、父は「英語にも方言や訛りがあるから通じるのか」と冷ややかだったことを思い出す。高卒の母に対して、父は四大卒だった

          わたしの標準ロシア語入門

            コロナ禍で在宅時間が増えたことをきっかけに、これまで何度も挫折してきたロシア語学習に再挑戦し、一定の成果が得られた。独習用テキスト「標準ロシア語入門」を最後までやり遂げることができたのである。  とにかくロシア語の独習は暗記である。基本例文、応用例文、練習問題、単語の暗記と忘却を繰り返す。苦しいけれど、最終43課まで到達した時には不十分ながらもロシア語の基礎が身についたような気がした。    アウトドアの趣味が多く、また飽きっぽい性格の私にとって、独学は鬼門であった。ま

          わたしの標準ロシア語入門

          歴史博物館

          先日、豊岡市歴史博物館で奈良時代の食事の復元資料を見学した。まず、庶民の食事は玄米あるいは雑穀の主食に塩が基本で、それに魚や山菜がつく程度の簡単なものだったという。 一方で、国司(高級官僚)の食事はアワビやウニ、アユ、鹿肉をはじめとする山海の珍味やデザートなど、なかなか贅沢なものであった。清酒もたしなみ、生活習慣病に悩む人もあったかもしれないという。 奈良時代といえば、国際色豊かな天平文化を想像するが、同時に現在の食事スタイルの基本はこの時代に定着したものだ。とはいえ、人

          歴史博物館

          ロシア語,そしてロシア語

          今日も,通勤列車でロシア語。 ロシア語3級を目指して,朝活中。「標準ロシア語入門」と格闘中だが,合格への道のりは長い。朝だけじゃ足りない。スキマ時間,それに夕活もロシア語,そしてロシア語。まるでロシア語という迷路の中をただ当て所もなく彷徨っているかのよう。 32課まで来た。あと11課だ。頑張れ,僕。 この本をまるごと暗記したら簡単なロシア語会話ができるようになるという。きっとその先にいる,素敵な僕に会いに行ってやろう。

          ロシア語,そしてロシア語

          映画館の思い出

          #猫を棄てる感想文  香櫨園の海岸までお父さんと一緒に自転車に乗って、一匹の縞柄の雌猫を棄てに行く。いささかショッキングで、猫にとっては残酷に過ぎる行為である。しかし、その後の予想外の顛末と村上千秋さんの安堵の表情を思い描くと何だか心が温かくなる。「にゃあ」としか言わない無邪気な猫にも癒やされる。お父さんとの思い出としては平凡であっても、忘れられない思い出だろう。  僕にとって、これに比肩できる思い出とは何だろう。終始反抗期だった子供時代を通じて、父との、心穏やかに共有できる

          映画館の思い出