指示・提案・お願い~注意欠陥の思考と指示~
おはようございます。いよいよ8月に入りました。梅雨明けの雰囲気もあり今日は朝からじりじりと照り付ける太陽を受けながら作業をしています。
ついこの間誕生日だったのですが、以前までは梅雨から夏への移り変わりがさほど大差ないものと考えていました。
でもじめっとした天気が回復して暑いといえど太陽の光を浴びるのは気分が良いものですね。
今日のテーマはどのように学習を誘導するか、についてです。はじめにご覧になっていただきたいのがこちら。
1.注意欠陥優位は指示先行型が良い。
2.多動性優位は提案先行型が良い。
3.自閉症スペクトラムなどのこだわり優位はお願い先行型が良い。
これは私が100名以上の軽度知的遅れ、発達上の課題を有したお子さんとの体験をベースにしておりますので100%ではありませんが、参考にはなると思います。
というわけで今回は1の「注意欠陥優位は指示先行型が良い。」についてまとめてみます。
そもそも注意欠陥多動性障害(ADHD)は注意欠陥(AD)/多動性(HD)の2つの傾向が組み合わされた言葉です。だからADHDとひとくくりに捉えようとすると実は理解できないことの方が多いのです。
そこで私は注意欠陥優位と多動性優位に分けて考えるようにしています。
注意欠陥はおおむね下記のような傾向がありますね。
1. 忘れ物が多い
2. ぼーっとしている(ように見える)
3. 細部までに目が行き届かない
4. 文章の読み違えが目立つ or 読み込むまでに時間がかかる
5. 約分や因数分解などあと1つのところで解答を終える
例えば「82個のリンゴを9人で均等に分けたい場合、何人に分けることができますか?また、いくつ余りますか?」という問題があった場合
A:82÷9=9あまり1
ではなく
A:82÷9=9あまり2
A:82÷9=9あまり
となることが多い。これを忘れっぽいとかケアレスミスが多いといえば確かにそうなのですが、若干異なって「物事の最後まで到達しない」と考えた方がしっくりくることの方が多いです。
先ほどのAでは9あまり2となりましたが、実際本人に「どうして2と書いたの?」と聞いても即座に計算間違いとは言わず「いや、1って書こうとしたはずなんだけど・・・」と返答されることが多いのです。
プライドがあるときはもっと分かりやすいのでそうした点は考慮していません。また、計算能力はあります。
この「1って書こうとしたはずなんだけど・・・」にはパターンがあって
(1) 計算間違い
(2) 前出の「82」の「2」に引きずられている
(3) 頭の中で「82あまり1」と唱えた=書き終わったと思い込んだ
とありますが(2)(3)が多いです。先の見通しが立ちにくいために最終型をイメージしづらいのですね。
したがって計画的に最後まで取り組むことに弱いということが考えられます。
こうした場合自発的に試行錯誤を繰り返すよりも与えられた型に合わせて対応していく方が得意なので、「指示先行型」の方が学習しやすいのです。
実際にどのように学習に反映させるかは別記事にまとめますね。
さて、「指示先行型」といっても「計算しなさい。」とか「きちんと問題を読むように!」という抽象指示、そして命令ではありません。
指示とは具体的に細かく区切られた型を順に与えること、もしくはそれらの型を参考にしながら取り組むことです。
先の例題で言えば「はじめに割り算をします。」「次に計算した答えを書きます。」「9で割って92になる数はないね。」「一番近い数は91だね。」「でははじめに近い数字を出せる9を書いておきましょう。」「1つ余分ができたね。」「これは『あまり1』と書こうね。」といったように細かく具体的に誘導してあげます。
さらにこうした計算練習は繰り返しを要します。でも毎回この作業を行うのは指導する側も大変なので、似たような形のテンプレートを作成し手元に置いておいてあげるのです。
そもそも計算や漢字練習をする際に「1回教えたから後は自力で」という考え方は古い。むしろ「しっかり解き方や考え方を参考にしながらたどりつく。」力の方が重要なので安心して参考学習を行ってほしいと思います。
こうした指示の仕方は日常生活においても同様ですが、これは自発性を奪うことにはならないので大丈夫です。むしろ自発性を引き出すために重要なステップアップであると考えてください。
添えておくとすれば「自発性とは内的動機に基づいて行動しようとする力」です。これらは命令や抽象論による抑圧によって失われるので明確に記しました。
最後になりますが、独り言のように問題の過程や生活習慣の流れを喋っていたとしたらぜひ温かい目で見守ってあげてくださいね。
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