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オーバーリアクションで子どもに真意を伝える方法

オーバーリアクションとはその反応を大げさにすることです。ただしこれは身振り手振りだけを大きくすることではなく、その真意や意図を細かく具体的に説明したり、眼をしっかり合わせてあげるなどの動作も含まれます。

オーバーリアクションが必要である理由

ある特定の子どもたちは表情を察しづらい、相手の言っている言葉の意図を理解することが難しいなどの理由から、コミュニケーションに難しさを感じていることがあります。それらは空気が読めない、と考えられがちですが、そもそも空気を読むということは適応能力が働くかどうかということです。適応能力というのはその場の他者の表情や身振り手振り、そして集団の中で暗に認められている文化的な振る舞いや態度に合わせていこうとする力のことです。そのため見る力、聴く力、感情の変化を受け入れる力が必要となります。私たちは相手の動きや考え方を真似ることによって自分を高めようとすることがありますが、他者の表情と場面を一致させ自分に転化することが苦手なため、自分を上手に創りかえることが難しい場合があります。
また、漫画やアニメの世界で行われている反応がそのまま現実でも起こりうる反応と捉え、他者とのコミュニケーションがうまくいかない場合もあります。会話が不自然だったり不思議な返答が返ってきたりするときはもしかしたらアニメや漫画の世界をそのまま投影しているかもしれません。
ただし特に重要になってくるのは「困惑している」「不思議に感じている」そして言っていることの裏にある皮肉や暗喩を理解しづらいところにあります。
私がこれまでに関わってきた生徒の中にもコミュニケーションの微妙なニュアンスが理解できず困っている子がいました。その生徒は客観性を持ちづらい為に話が合わせられなかったり、話の切り出し方に困っている生徒でしたが、練習を重ねていくうちに、今はこういう前提を置いた方が良い。ということが理解できるようになったようです。
 

オーバーリアクションの効果
 私たちは自然体でも結構大きな口をあけて笑ったり眉間にしわを寄せていたりと極端に感情を表情で表しています。ですからこれらの表情は比較的そうした子どもたちにも伝わりやすいのです。
問題は微妙なニュアンスが混じった表現や皮肉に代表されるような、言葉通りではない違う意図が含まれている場合です。
 これらの場合は後になってしっかり説明してあげることも重要ですが、特に大事なのは「人間には自分の本心を言わずに遠回しに伝えたり、言葉遊びで相手との会話を楽しんだりすることがある。」ということを伝えることです。もちろんその意味が理解できるようになるためには、自身の会話が相手とうまくいっていないかもしれないということを少しでも経験することが必要かもしれません。しかしこうしたやり取りの工夫は私たちが日常的に行っており、また失敗していることもあるはずなので、当たり前にできていることも実は後から身に着けたことと考えるのが良いでしょう。
以上のことからオーバーリアクションは、本来微妙なニュアンスであることを分かりやすくするために活用すると効果的であることが分かります。
分かりやすい場面では「ケーキをもらったが実は好きではない。でも厚意を否定はしたくないのでせめて感謝は伝えよう。そしてせめて一口食べてみよう。」というような場面です。
後になってもらった人に対してあなたならどう答えるでしょうか
きっと多くの人は「ありがとう!この間のケーキ、ごちそうさまでした!」と答えるでしょう。しかし内心は「困惑」しているはずです。だってこの感謝は完全に本心ではないですから。
本心と違うかもしれないけれど、大事なメッセージがあることを伝え、それに合わせて表情を変える。これが私たちの考え方です。
しかしこうした判断がうまくできないと「せっかくもらったけどもういらないよ。」ということを直接言います。もしかしたら「おいしかったよ!ありがとう。ただ、実は甘いのが苦手なんだ。」と言えたかもしれません。
この場合後者は練習を重ねることによって獲得できます。そのためには「本心では○○」「でも相手の意向や考え方を踏まえると△△にすると良い。」ということを繰り返す必要があります。
すると徐々に本心を伝えるための方法を学ぶことで、関係性を良好に保つこともあると理解が進むのです。

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