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【キャリアを考える】 偏見を捨てて向き合う

私が最初に学んだスーパーバイザーはとても厳しい方でした。
個室で二人きりになる相談業務。そこで向き合うとき、ある意味、キャリコンは命がけかもしれない。と言われたことはよく覚えています。

その際、あらゆる差別も偏見も、持ってはダメだとも言われました。
クライエントが殺人事件を起こした元犯罪者だったら? それを告白されて態度を変えるようなことも、「あってはならない」と。

そんなとき、メール相談でしたが、私の元に届いたのが、元ヤクザだったという男性からの相談でした。
全身に刺青があり、ワイシャツを着ると見えてしまうし、刺青を知られてしまうと、どこにも雇ってもらえないと。

雇ってもらえない理由が理由なだけに、雇う側の偏見は十分理解できました。面接で刺青がチラチラ見えたら…まあ、いろんな考え方の人がいるでしょう。
彼もそれを十分わかって受け入れていて、でも真面目に働いていきたいのだという真摯な気持ちも伝わってきました。

結局、数回のメールのやり取りで、私はなんら解決策を提案できることもないまま、彼も「ここに相談したってダメだ」と諦めたのだと思います。
でも、最後のメールには、こんな相談を真面目に聴いてもらえるとは思っていなかったので嬉しかった、感謝したい、と綴られていました。

どんな仕事であっても雇われる限り、職場に理解してもらうことが必要なことって多々あります。
彼には、「いいよ、いいよ、そんなの気にしないよ」と言ってくれる、堅気の経営者が必要でした。
でも、そんな経営者に出会えるまでに、どれだけ傷つき、過去を悔やんでしまうことか。想像すればするほど悲しく、自分の無力さにも失望しました。

小さなことでも感謝し、丁寧にお礼を言える、彼はきっと誠実で人間味のある人でしょう。それだけでも大きな価値ある人材になるはず。

誰にだって、人生をやり直したいとき、それを温かく迎えてくれる場や支援が必要です。
今回の場合、彼は犯罪を犯したわけでもないのに、いろんな偏見から、やり直すチャンスさえ手にできず、とても難しい課題だと思いました。

キャリコンは自分の力量不足で歯が立たない相談には、別の支援機関を頼ったり、紹介したり、さまざまな情報や知識がなければなりませんね。
クライエントが最善な支援を受けられるためにも。

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