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【ひきこもり】 生きているだけで。

「ひきこもり」には合理的な理由づけが必要だよ。
まずは病気かどうか調べてもらおうか。

彼を病院へ連れて行きたかったため、そんな説明をすると、すんなり検査入院に同意してくれました。
大人の発達障害を診断する検査入院は約3週間。さまざまな身体検査と脳検査、臨床心理士のカウンセリングなどがセットになったプログラム。主治医は精神科の有名な先生です。

彼が居ない間、これ幸いと壊れたベッドを処分し、部屋を片付けました。ゴミ部屋だったので。そこで見つけてしまったのが・・・

1)「完全自殺マニュアル」という書籍。
2)耐荷重100kgの突っ張り棒
3)ロープ

突っ張り棒の存在は知っていました。彼の部屋の中には突っ張り棒を使える場所はないため、宅急便を受けとったときに、「これ、なにするんだろう?」と思っていたので。
でも、「自殺マニュアル」のタイトルを見て、「あっ」と叫び声をあげました。
そして、ゲームソフトを収納しているケースに、その部分だけ丁寧にスペースをあけ、コンビニ袋に無造作に入れたロープを見つけた時には、手が震えました。

3点が繋がってしまった。
彼は死にたいのかーーと。

慌てて、彼の担当の臨床心理士さんに電話をかけ、状況を説明しました。
彼が退院後の自分のスケジュールを見て、長期に家を離れる予定がないかどうかを確認して、1泊2日でも、どうしよう・・・と悩みました。
彼がもし自ら死を選んでしまったら・・・と想像すると、眠れなくなりました。

衝動的に、すぐに本と突っ張り棒は隠してしまっていました。
パラっとめくれた本の冒頭に、ーー最も手っ取り早くて確実なのは「首吊り」ーーとあり、「これ以上読む必要ないじゃん」と思ったのを憶えています。

結果としては、入院中に臨床心理士さんが「自殺企図の傾向はないので大丈夫」という連絡をくださり、彼が「持っているだけで安心できる」と話していたと教えてくれました。この時は本当に本当に、ホ〜〜〜ッとしました。
現在に至るまで、ゲームをしている時や何やらしている時には大きな笑い声が聞こえてくるし、睡眠(昼夜は逆転しているけど)も食事もとれているので、あまり心配はしていません。

でもね。生きる意味と死ぬ理由は紙一重じゃないかと・・・
これは私の考え方ですけど。

彼は何をするにも、合理的な理由を求める面倒臭い人間です。右脳優先で生きている私とは、本当に何もかもが違います。
もし、この先、ずっとこのままの状態が続いて、「生きる理由が見つからない」と言われたら、どうしたらいいんだろう。

「あなたが生きているだけで、生まれてきてくれただけで、私は幸せなんだよ」。なんて言ったところで、「それは自分には関係ない」と思うだろうな。彼は動かないよね。当たり前すぎて。
私はどうしても情動的で頭が悪い。うまい言葉なんて思いつきません。

彼が家から出たくない理由。頑張りたくない理由。楽して生きていきたい理由。
この全部がわからないと、解決できないのかな。難しいな。

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