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感情、思考及び表情

 さて今回はタイトルの通り、感情と思考と表情の関係についての記事になります。まずはその前に感情、思考と表情に関する基本的な位置づけを認知モデルで紹介します。ちょっと内容的には難しめになりますが、最後まで読んで頂けると嬉しいです。

認知モデルの紹介

 まず初めに、別の記事にも書いたのですが、アーロン・ベック博士の認知モデルについて紹介します。ベック博士はアメリカの医学者、精神科医で認知療法の創始者として知られている人物です。ベック博士の提唱する認知モデル(出来事に対して感情が生まれるまでの過程)を簡単に書いたものがこちらです。⤵︎

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少し図(認知モデル)について説明します。

①中核信念

 これはその人が生まれもった性格に育った環境や経験、学んだことなどが積み重なって形成された、その人独自の世界観と理解すると分かりやすいと思います。誰1人として全く同じ中核信念を持った人はおらず、個性の由来となる部分と言えます。概ね10代くらいのうちに、ある程度形が出来上がってきます。この世界や自分自身に対する概念のようなものです。

 例えばネガティブ思考になりがちな方の場合では、その方自身の中核信念(世界観)の中で、自分自身の位置付けが「力が足りない人」と認知されていたりします。

②媒介信念

 これは、中核信念を踏まえた上での自分ルールのようなものです。

 例えば、①の例のように自分の位置づけが“力が足りない人“と認知されている場合は、“(力が人より足りないので)自分は目立ってはいけない“、“(力が足りないので)うまくいかないのは自分のせい“というような自分ルール(=媒介信念)が形成されたりします。そしてこの媒介信念は無意識のうちに、常に外界からの刺激に対して反応します。

③自動思考

 これは出来事や人物といった外からの刺激に対して、②の自分ルールが反応した結果発生する、(その人の世界観においては)ごく自然な発想です。

 例えば、“チームで行ったプロジェクトが失敗した“という出来事に遭遇した時に、“うまくいかないのは自分のせい“という自分ルールが自動的に反応すると、瞬間的に「自分の力不足だ。自分のせいで上手くいかなかった。いつも私は能力が足りない。」という発想(=自動思考)が生まれます。これは、私達が頭で考えるよりも前に、半分無意識下で、不可抗力として現れるものです。そして私達が頭で考える、いわゆる“思考“はこの後に意識下で行われます。

思考、感情と表情の関係


 ここで前段の話は一旦脇に置いて、思考、感情と表情の関係を簡単に紹介しましょう。

❶思考は表情に対して強い

 私達は自分の頭で考えた怒りや悲しみ、喜びなどを表す様々な表情を、実際にやって見せることができます。

❷表情は感情に対して強い

 表情は感情に対して強く影響を与えることができます。例えばイライラすることがあった時など、敢えて笑顔を作ると怒りや悲しみといった感情が抑制されます。試しに色々な表情で同じ文章や動画を見たりして、自分の感情がどのように変化するかやってみると、実感しやすいかもしれません。

❸感情は思考に対して強い

 人はなにかを考える時、その時の感情に大きな影響を受けます。悲しい気持ちで考えるとネガティブな発想につながることが増え、逆に楽しい気持ちの時には色々な不安が減ったり、前向きな思考ができたりします。

このように、実は感情、思考と表情は三竦みのような関係になっています。

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 先の認知モデルでは、外からの刺激に対してその人自身が持つ独自の世界観(=中核信念)に基づく媒介信念(=自分ルール)で瞬時に評価を下し、外からの刺激に対して(その人にとっては当たり前の)発想が生み出される。という一連の流れを紹介しました。

 この時、感情と表情は自動思考に沿った形で現れます。前段の例ではプロジェクトの失敗に対して、「自分の力不足だ。自分のせいで上手くいかなかった。いつも私は能力が足りない。」という発想が生まれたわけですが、この時、この人は自責の感情を抱き、泣きそうな表情になることが想定されます。このように、通常は起こった出来事に対して、感情と表情の両方が同じ方向性で現れるため、嫌なことが起こると、ネガティブな感情とネガティブな表情が同時に現れ、この状態で感情をコントロールしようとしてもなかなか上手くいきません。

ここからが本題

 さて、通常はコントロールの難しい感情ですが、先ほど紹介した三竦みの関係を思い出してみましょう。思考は感情に支配されてしまうため、嫌なことが起こると思考を働かせてこの感情を沈めるのは困難であることがわかります。

 しかし、思考で感情を変えることは難しくても、表情を作ることはできるのです。つまり、嫌なことがあってとっさに暗い表情になった時、思考を働かせて敢えて笑顔を作ることによって、ネガティブな感情が和らげられ、思考が必要以上にネガティブになることを防げるのです。

 ただ、ネガティブな感情は元々自分の世界観に基づいて発生したものなので、残念ながらそう簡単に消えてくれることはありません。根本的には、自分を苦しめる出来事や人物から距離や時間をとって反応が和らぐよう工夫したり、認知療法の技術を身につけて自分の世界観を少しずつ調整するような努力が必要になります。しかし、そういった工夫をなるべく楽にできるようにしたり、時間が過ぎる間を少しでも心穏やかに過ごしたりする役には立つのではないかと思います。

笑顔チャレンジ

 そこで、昨日から笑顔チャレンジを始めました❗️これは“なるべく長時間笑顔を保つ“というシンプルな取り組みです。

 今回紹介した効果以外にも、笑顔の表情を作ることで得られるものは多くあります(免疫、老化による頬のたるみ防止、コミュニケーションの円滑化などです)。

 もしこの記事を読んで、自分もやってみようと思った方は是非、“スキ“やTwitterでの #笑顔チャレンジ のツイートで一緒に笑顔になりませんか😊❓

 貴方が笑顔でいると、周りの方もきっと嬉しいと思いますよ❣️

注記: 笑顔を作ることがストレスになる場合はお勧めしません💦無理やり笑顔を作ることはストレスにつながるという研究データもあるので、無理なくできるときにやってみましょう✨

 

 

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