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難民親子とのリアルな物語(15歳のダーシャとシングルママ)

ダーシャとママと初めまして

親子との初めての出会いは3月25日。ワルシャワセントラル駅近く。私は当時、翌日のヘアカット生配信のために、ワルシャワ内で人気な美容室を探すための聞き込み調査をしておりました。
そんな時に声をかけた相手がダーシャとママ。その日の気温は暖かく、パーカー1枚でも汗をかいてしまいそうな気温。それにも関わらず、ママは裏起毛のムートンブーツ、ダーシャは黒く汚れ今にも破けそうな靴を履いていまいした。
「この辺りでおすすめの美容室を知っていますか?」と質問をしました。すると、「2日前にウクライナから逃げて来た。このあたりの事は何もわからない」とママが答えてくれました。(この時のダーシャは人見知りをしていたようで、クールで無表情な様子でした。)

会話の最後に、私の活動を伝え、「私に何かできる事はありまか?」と聞いたところ、ママが「この靴とても暑い。ウクライナから急遽逃げてきたから他の靴を持っていない」とのこと。大、「だったら今から靴を買いに行こう」と提案して、靴を買いに行きました。「他には大丈夫?と大がダーシャに聞くと、「サングラスが欲しい」とのことでサングラスも買いました。

買い物も終わり、バイバイをしようとすると、ママが「あなたの髪の毛、私が切ってあげる」といってくれました。彼女はウクライナの個人事業主として小さな1人美容室を営んでいるとのこと。「わお!!!じゃあお願いします」と言うと、ママは「じゃあ明日ね。場所はあなたの家ね」とのことで翌日に私の自宅にて散髪をしていただくことに決まりました。これが親子との出会いです。

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上の画像は、ショッピング後に撮影したものです。この時に履いている靴が当日に買ったものです。ママは靴を試着している時に靴の履き心地が良いあまりに喜んで、少し踊っていました。それに対し、ダーシャはクールな様子。このようにして私とダーシャ、ママは出会いました。

2度めまして(散髪編)

私と親子との再会は初めて会った日の翌日。当時10時に、初めて会った場所で待ち合わせ。私は時間通りに待ち合わせ場所に着きましたが、親子は30分遅刻です笑。これは事前に予測していたことなので、全く気にしません。日本人の「10分前行動マインド」がスゴいと再認識。

待ち合わせ後は私の自宅に移動しました。自宅に着いた後、彼女たちに飲み物と軽食を提供した後、早速散髪に移ります。ママから事前に「出来上がりイメージの写真を送って」と言われていたので、詳細なカウンセリングはせずにすぐに散髪を始めました。ちなみに、事前に送ったイメージ写真は下記です。

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「イケメン外国人風になりたい」と思い、色々と写真を探していました。そしてウクライナ人と馴染みのあるゼレンスキー大統領を選びました。
一応、ビフォーアフターを乗せておきます(需要が皆無なのは存じてます。。。)

ビフォー

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アフター

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散髪中のダーシャは人見知りということもあって大人しく携帯を触っていました。どこか寂しそうな表情が私をなんとも言えない気持ちにさせます。「何か少しでも彼女を笑顔にしたい」とエゴがでてしまいます。

散髪後、タバコ休憩(ママは喫煙者)をしながらママの話を聞いていました。ママはダーシャが幼少期の頃に元旦那さんと離婚しました。以来、ママは一人でダーシャを育てています。少しでも良い教育を受けさせてあげるために、1日16時間も働いた日もあるとか。そのプレッシャーやストレスでタバコを始めてしまい、やめれなくなってしまった

私は父親ではありません。正直、「親という職業」がどれだけ責任感を伴い、「大変な仕事」かを理解することは到底できません。ですがこの記事を読んでくれている方の中には「お父さん」「お母さん」も多いのではないでしょうか。中にはダーシャのママ同様に「シングルマザー」の方もいるかもしれません。みなさまには、彼女の気持ちを深く理解できるのではないでしょうか。少しでも彼女たちの幸せを願ってくれると幸いです。

また話が少しそれますが、この記事を読んでくれている世の中の「お父さん」「お母さん」いつも子育てお疲れさまです。そしてありがとうございます。息子さん、娘さんは日頃は口に出さないかもしれませんが、絶対に皆様に感謝しています。小さなお子さんもいずれ大きくなって皆様に感謝する日が来ます。私もそうだったように。もしかすると、私のお父さん、お母さんもこの記事を読んでくれているかもしれません。24年間育ててくれて、ありがとう。

話をもとに戻します。そんなこんなで散髪も終わり、その日は彼女達とバイバイをしました。こんな感じで2度めの会も終わりました。

3度めまして

ダーシャとメッセージをしていたある日、「先日、ママの誕生日だったの」「今までコツコツ貯めてきた貯金を使ってプレゼントを買ったよ」とメッセージが来ました。「なんて良い子なんだ」彼女は年頃の女の子です。「メイク道具、服、ピアス、欲しいものいっぱいあるよな。それを我慢してママの喜ぶ顔を選んだんだな」と考えると涙が出ました。その思いに少しでも協力したいと思い、「一緒にバースデーパーティーをしよう」と提案しました。ダーシャも喜んで賛成してくれました。 

「ママの好きなものは何?」と聞くと「ママはお寿司が好き。私は食べたことがない」とのことで、一品目はお寿司で決まり。もう一品はお好み焼きを作ることにしました。(日本食を作ってあげると以前約束していたため)

「ダーシャは何を食べたい?」と私が聞くと、ダーシャは「ママが喜んでくれたらなんでも良い」「私はなんでも嬉しいよ」と。ここでもまた涙がポロリと…彼女はまだ15歳。母国が戦時下、友達とも会えていない、ストレスも相当溜まっているはず。そんな状況で「こんな言葉を言える15歳がいるのか」複雑な心境になりました。また同時に、こんなに心が美しい幼い女の子をこんな状況に追い込んだプー◯ンを心の底から恨みました。

パーティーの日時も決まり、当日は前回と同じ場所で待ち合わせ。例のごとく彼女達は遅刻です笑。ですが、もうこれはこっちではお決まりのことなので全く気にしません。彼女達を迎えに行く前に、寿司の予約(私も渡航してからの初めてのお寿司なので楽しみ…)、お好み焼きの準備、ケーキを買いに行きました。お家に着いて親子をみんなで笑顔で迎え、早速パーティーを始めました。

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当日の写真です。お好み焼きを準備中の合間の1枚。ダーシャはこの日が初めてのお寿司。お箸もほとんど使ったことがないとのことで練習中。

この日の私の目的は2つ。ママの誕生日を祝うこと。2人を少しでも笑顔にすることです。ご飯を食べながらざっくばらんに話をしました。(その内容は次章に)2人ともお寿司、お好み焼きを「美味しい、美味しい」と喜んで食べてくれました。食事中はダーシャとママも笑顔がたくさん。私も嬉しくなりました。

食事も終わり、少し休憩した後にケーキの時間です。以下の様子が誕生日ケーキを出す時の様子です。


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その時のケーキの上のチョコレートの写真です。こっちのケーキ屋さんを複数回ったところ、ケーキの上に名前入りのチョコプレートを乗せてくれるサービスは提供していないとのことで、自作で作りました。ウクライナ語難しすぎて。
ママが「これみんなに自慢したいから持って帰っていい?」といってくれた時は嬉しかったです。

パーティー中のダーシャは終始笑顔。ここに載せたいダーシャの愛くるし笑顔の動画もたくさんありますが、noteの仕様上、動画は載せることが不可能っぽいので、ダーシャの他の動画がみたい方は、配信中にコメントでもしてください。こんな感じでパーティーは大成功。

ダーシャとママの今の状況

「不安定」これが現在の状況をひと言です。色々な側面から見て親子の状況は非常にまずい状況です。現状の親子は特に金銭的に不安定な状況です。ママのウクライナでの職業は美容師です。一見、「手に職があって安心」と思うかもしれませんがそうではありません。

現在のポーランドには大量の美容師も難民としてウクライナから逃避してきております。そのため、数が限られた美容室(需要)に対して美容師(供給)の数が多すぎるため、美容室が雇用できない。つまり、供給過多になっております。(雇用主と雇用される側、雇用の問題は産業でも起こっております。)

そのため、ママも同様の問題に直面しております。ウクライナからの渡航直後に美容室を10件以上飛び込みで周ったが、「もうこれ以上採用できない」と断られました。現在も働き先を探しているが全く見つからず、毎日、不安を感じているそう。今は知り合いの紹介ベースで訪問美容で日銭を稼ぎ、その日暮らしに近い生活をしているとのこと。ママの月ベースの給料を表すと「日本の高校生のアルバイトより少ない」です。ポーランド政府からの支援は9000円。そんな不安定な生活を送っています。

2人は簡易的な狭い激安ホステルに10人で住み、家賃を全員で割り勘している状況です。そこには赤ちゃんも住んでおり、赤ちゃんの定期的な鳴き声でダーシャは全く寝れていないとのこと。

ダーシャの状況も同じく「不安定」です。15歳で急に異国へ出てきたこともあり、ママいわく、現実を全く受け入れていないとのこと。「毎日ウクライナに帰りたい」と就寝前に願っている。「新しい友達も欲しくない。ポーランド人の友達もいらない」「ウクライナの友達にだけ会いたい」と。ポーランドの学校にも行きたくないとのことで、今はウクライナの学校のオンライン授業を受けている。

最後に

今、これは今ポーランドで実際に起きている問題です。夢ではありません。この現実を一人でも多くの方に知ってほしい。この記事を見て一人でも何か行動をすることで救われるウクライナ人がいることを信じています。
そのため、皆様の「スキ」「フォロー」「おすすめ」をお願いします。結果的にnote内でこの記事が読まれやすくなるからです。また、この記事の「サポート」はダーシャとママを金銭的にサポートするために使わせていただきます。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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