高校三年生の夏休み、初めてKENさんと酒を飲んだ。竹ノ家という居酒屋だ。その晩、KENさんの家に泊まりにいった。もう、40年以上前だからメンバーは忘れた。総勢、5人だったかな。
KENさんの家は、昔からの農家風の家だった。屋敷の東側には、厠と馬屋が並んでいた。馬屋の2回がKENさんの部屋だった。幾分、天井は低いが二部屋を使っていた。当時、お世話になった週刊プレイボーイがあったような気がする。
遊びに行った日、夕方6時頃に竹ノ家に行った。なんで、そこへ行ったのかは覚えていない。また、どうして、支払うお金を持っていなかったのかな。偶然に偶然が重なった"お酒デビュー"だったわけね。つまみは何を食べたのかな。なんか、女将は高齢だった。ボク達以外には、数人の客が出入りしただけだ。
ボク達は、日本酒を飲んだ。2合か1合か忘れたが日本酒だった。まずはビールなどというセオリーさえも知らなかった。
今思いついたが、竹ノ家へ夕飯を食べに行ったような気がする。夕方までは、進学についてKENさんが話してくれていた。まったくその気のないボクに情報を与えてくれたと思う。
彼は高校三年生にして、明確なビジョンを持っていた。好きな陸上競技を大学でやる。教職を取り先生になるか公務員になるかを決める場にすると。無駄な時間や親からお金で迷惑をかけないために、通える私立大学を中心部に受験校を決めていた。少なくとも、東海大学へ行くと言っていた。その時、そのことを知ってカルチャー・ショックである自分は恥じた。
何かのつまみで、KENさんとサシで飲んだ。1時間ぐらいして、皆はお茶漬けを頼んだ。その時、女将が心配そうに見ていた記憶がある。店を出たあと、酔ったKENさんのおどけた話は今もはっきり覚えている。まっすぐ歩けないとうことだった。その2週間後に、合宿初日の練習中に逝った。
KENさんの人となりは、母校の伝説の人として語り継がれている。校内には石碑がある。KENさんはボクの誇りだ。明日は彼の命日。だんだん顔出しが減っているようだ。ボクは、20分もあれば行けるので、毎年のように行く。
進化するオッサン(Le progree)は、お世話になった友人を忘れない。KENさんは英雄だ。
かわせみ💎