【読書記録】2021年4月(前半)

ごきげんよう。ゆきです。

今月は「学校が舞台orメインの登場人物が学生」という基準で選書しています。1ヵ月間で小学生〜大学生の主人公ものを満遍なく読めそうな予感。まずは月前半の読書記録です。

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夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた! この”世界”ではいったい何が起きているのか!?

私的「幾度となく書店で見かけて気になっていたのに読んでいなかった小説No.1」のこちら。最近最新刊が発売されたようで、分厚い単行本が平積みになっているのをよく見かける。このきっかけを逃したらもう読めない、と思い選書。

面白かった。が、中学生の頃に読んでいたらもっと楽しめたと思って後悔した。やはり本は気になった時がいちばんの読みごろだ。中学生当時に読んでいたら、私の本棚を綾辻行人が占拠していた事が容易に想像できる。

学園もののホラー×ミステリー。ホラーとはいえそこまで怖いわけではなく、どちらかというと不気味。謎解き要素もあってミステリー好きも楽しめる。ラストで真実が明らかになる場面では「おお、そうだったのか」と素直に驚いた。読みながら感じていた違和感が綺麗に回収され、読みごたえも抜群。本書だけを読んだところで内容の核となる現象の根本的な解決には至っていないので、元から続編を考慮しての出版だったのだろう。スピンオフも書きやすそう。

アニメ化、実写映画化、両方とも既に行われている。しかし何故これを映像化したかな……。読了後に両方軽くチェックしてみたが、特にアニメは結構アンフェアな仕上がりのような。絶対に読んだ方が面白いことは保証するので、気になった方はまず本書から手を付けてみていただきたい。じゃないとこの作品の面白さは半減してしまう。

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神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通う探偵少女、剣崎比留子とともに曰くつきの映画研究部の夏合宿に参加することに。合宿初日の夜、彼らは想像だにしなかった事態に遭遇し、宿泊先の紫湛荘に立て籠りを余儀なくされる。全員が死ぬか生きるかの極限状況のもと、映研の一人が密室で惨殺死体となって発見されるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。――たった一時間半で世界は一変した。究極の絶望の淵で、探偵たちは生き残り謎を解き明かせるのか?! 予測不可能な奇想と破格の謎解きが見事に融合する、第27回鮎川哲也賞受賞作。

2018年このミス大賞受賞作。瞬く間に実写化され、読もうか迷っていた心がすっと離れたのを憶えている。実写化されるとなんだか萎えてしまうのだ。しかし最近文庫化され、それが創元推理文庫だったので結局気になって即買いした(私は創元推理文庫に全幅の信頼を置いている)。並べてみると『Another』とどことなくカバー似てるな。

……非常に面白かった。実写化さえしなければもっと早く読んでこの感動を味わえたのに。まだ前半だけれど、本書が4月のハイライトでほぼ確定。

著者のデビュー作らしいが、文章の読みやすさ、キャラ立ち、想像だにしなかった展開のエンタメ性、これでもかと敷き詰められ綺麗に回収されていく伏線、全てがすでに最高峰。事件解決パートでは、全ての事象が1本の線で繋がるってこういう感じか!と鮮やかさにただただ感動した。いやー、久しぶりのこの全力の満足感。

上で「想像だにしなかった展開」と書いたが本当にその通りで、本格ミステリーだと思って読むと途中で「えっ?!」となる出来事が待っている。全くそんな展開は予想していなかった。SNSが普及し、嫌という程ネタバレがはびこる現代において、そんな展開を全く知ることなく私が本書に出会えたのは、これを読んだ全読者が「この展開を知らない方が楽しめるはず」とその部分のネタバレを控えたからではないだろうか。と考えるとすごくないか?読者の一体感が半端じゃない。その判断をしてくれてありがとうございます読者のみなさん。おかげで最高に楽しめました。

多分この展開が苦手だったり、思っていたものと違うという裏切られ感から評価を低くする読者もいるのだろう。作品が好きかどうかは人それぞれ。未読の方は色々予想しながら手に取ってみてほしい。至上のエンタテインメントが待っている。

やっぱり創元推理文庫、信頼度高いな〜!

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自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?

またすごい本に出逢ってしまった。中学生、大学生ときて、本書の主人公は小学生。だが内容のしんどさは現時点でトップ。

読み始めたときは「あ、子どもでも読めるように書いたミステリーなんだな」と思ったし、あらすじを読んでも青い鳥文庫に近いものを感じていた。「神様が出てくるのか。ちょっとファンタジー要素が入っていると読みやすいしな」くらいに思っていた。とんだ間違いだ。絶対に子どもに読ませたくない。

簡単な言葉でさらっと惨たらしい描写が度々登場するし、普通に難解な密室殺人事件だし、基本的に関係してくるのは小3~中2の少年少女だし、最後は本当に救いのないイヤミスだし。読了後「うわぁ……」しか言えなかった。ミステリーは大好物だが、幼すぎる主人公だとここまでしんどくなるのか。

暗い気分にはなったが、事件解決パートは鮮やかで理解しやすくて満足度は高い。また、エンドの考察もきっと人それぞれで、何が真実だったのかを各読者が考えられるように内容に余白が与えられているのも個人的に好き。ネタバレになってしまうからここで私の解釈は述べられないけれど、ぜひとも他の読者と各々の見解を共有してみたい。

文庫にして200ページほどの中編。サクサク読めるので、覚悟したうえで休日に浸ってみるのはいかがだろうか。

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満足度で言ったら過去最高レベルの半月でした。4月後半も選書基準は変わらないので、今から学生ものを漁るのが楽しみです。

”学生”というのは基本的に誰しも通ってくる道なので、感情移入も設定の理解もしやすくなりますよね。それを舞台に書かれたミステリーなら、面白くないはずがないと思っています。

私は学生の頃からミステリーばかり漁ってきたので、既読の本の中でも紹介したい学園ものの本がたくさんあります。近々それらをまとめて「【読書記録】番外編」でもやろうかなと企画中。学校が舞台の物語は世の中にごまんとあるので、読んでも読んでも終わりが見えません。幸せなことです。

今回もお付き合いいただきありがとうございました。

またお会いしましょう。ゆきでした。

See you next note.

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