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子育ての科学〜子育てはここまで解明されている〜

子育ては情報戦争である。

▼お受験
費用は自家用車1台分
保育園だとお受験に不利らしい
親の学歴や職業が合否に影響・・

▼英語教育
小さいうちに始めればネイティブ並みになれる?
純ジャパニーズでもインターナショナルスクールに通わせたい
10歳までに始めなければ高い英語力は身につかない?
意識の高い家庭は親子留学をしているらしい

▼AI時代
ChatGPTって子供に使わせていいのかな?
お隣さんはPythonやってるんだ
子供にパソコンを使わせるには小1からがいいんだって?
うちの子が大人になる頃はAIやロボットに仕事を奪われるのかな

子育てに関する情報は無数に存在しますが

親として本当に望んでいることはなんでしょうか?

世界のどこに行っても、AI失業の時代になっても、たくましく自立して生きていってほしい

AI時代に「世界で食える子」を育てるためにどうすればいいか、一緒に学びましょう!

「害になる早期教育」がある

「三つ子の魂百まで」というように脳は3歳までの間に急成長すると思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに脳の重さというのは1歳で大人の約70%、3歳で90%になると言われています。

この時期に早期教育するのはたしかに良さそうですね 

ですが、早期教育に効果があると思われているものの中には、有害性が疑われているものもあるようです

それは知育用の動画です

知育動画を長時間見るとむしろ言葉の発達が遅れたという研究があります

Zimmerman,Chistakis,Meltzoffの2007年の研究結果をもとに作成

米国小児科学会の親への提言
・2歳以下の子供がメディアを視聴することは推奨しません
・理想的な視聴は保護者が子供と一緒に見ることです
・子供の寝室にテレビを置くのは控えましょう

出所:米国小児科学会「POLICY STATEMENT Media Use by Children Younger Than 2 Years」

早期教育用に開発された動画を見せるよりも、親とのやり取りを通して言葉を学ぶ方が重要です。

英語は「早いほど身に付く」の嘘

日本経済は先行きは暗そうだし、うちの子には海外でも働けるようになって欲しいから、早くから英語を始めることが重要なのではないだろうかと考える人も多いのではないでしょうか。

小学校3年生になると英語教育が始まりますが、小学校に上がる前に英語を始めている子どもは3人に1人程度います。

出所:明光ネットワークジャパンの2017年の調査

外国語を学ぶのは早いほどいいという素朴な信念が広まっているけれど、実は科学的には疑わしいということがわかってきています。

英語圏に移住した子供の英語力を見てみると移住年齢がやや高い方が早く英語を習得していました。

Cummins&Nakajimaの1989年の研究

学生の中には以下のような子もいました

3歳11ヶ月から15歳までの11年半の間、ハンブルグで過ごした帰国子女です。週5日の現地の学校と週1日の日本語補習校という生活を送りましたが、一度もドイツ語を自由に使えたことはなく、高学年になるほどにその不自由さは増した。

「子供のみている世界」内田伸子著より要約抜粋

では、日本語にある程度習熟してからの方が、英語を習得しやすい?

▼カミンズの二言語共有説

表面上は2つの言語はまったく異なって見えますが、抽象的思考力やメタ言語能力など真相では共通している要素があるという説です。

つまり、日本語と英語という2つの言語の間にも共通する要素があるから、母語である日本語の読み書き能力をしっかり身につけた子供の方が短期間で英語を習得することができると推定できるということになります。

抽象的思考力:
論理的に分析し、類推・比較しまとめる力
メタ言語能力:
文章構造や文脈をつかむ力

AI時代こそ「いいしつけ」が重要

最近話題のChatGPT、仕事の役に立ちそう
でもAI時代が本格化したら価値がなくなるスキルもあるだろうな

AIに置き換わる主な仕事
・事務補助
・法務
・建築・エンジニアリング
・ライフサイエンス
・ビジネス・財務業務
ChatGPTのような生成形AIに25%の仕事が何らかの形で代替される。

出所:ゴールドマン・サックス「The Potentially Large Effects of Artigicial Intelligence on Economic Growth」

じゃあAI時代に、子どもはどんな能力を身につければ生き残れるの?

シンプルに、AIにない能力を育てること

▼AIに代替される能力
・論理力
・計算能力
・知識の暗記能力
→IQ・偏差値で表現できる能力

▼AIにはない能力(今は)
・新しい価値を創造する能力
・他者に共感し、他者と付き合う力
・目標を達成する力
→非認知能力

非認知能力とはこんなものです
・自信がある、やり抜く力がある
・やる気がある、意欲的である
・忍耐強い、根気がある
・意志力が強い、精神力が強い
・自分の状況を把握する
・リーダーシップ・社会性がある
・すぐに立ち直る、うまく対応できる
・創造性がある、工夫できる
・誠実、協調性がある、好奇心が強い

この非認知能力を育む上で重要なのが共有型のしつけです。

▼強制型のしつけ
・考える余地を与えない接し方
・指示的で過度な介入、トップダウン型
・3H(褒める・励ます・広げる)の言葉かけが少ない

主体的に探索せず、他律的に行動する子になる

他律とは:
自分の意志とは関係なく、他人や企業からの命令、・強制に基づいて行動すること

https://job-support.ne.jp/blog/hr/autonomous-heteronomy


▼共有型のしつけ
・子供に「考える余地」を与える援助的な接し方
・子供に合わせ柔軟に調整する
・3H(褒める・励ます・広げる)言葉かけ

主体的に探索し、自立的に考えて行動する子になる

難関を突破した子は共有型のしつけで育っている

出所:内田伸子氏らによる2013年のインターネット調査の結果

難関を突破した子の親が意識的にしていたことは・・
・幼児期に思い切り遊ばせた
・遊びの時間を子供と過ごすことが多かった
・趣味や好きなことに集中して取り組ませるようにした

難関を突破した子の親が毎日していたことは
・子供と一緒に話す
・子供と一緒に遊ぶ
・絵本の読み聞かせをする

結局シンプルなことが大事なようです。

▼ペリー就学前プロジェクト
貧困家庭の3〜4歳の子供に「質の高い就学前教育」を実施し、その効果を約40年にわたり追跡調査した。
すると以下のような結果が生まれました。

そして、頭の良さの差は5歳程度で消失しました。

では、IQが変わらないのに人生が変わった要因は?

人生の成功は性格特性に依存しているようです。
誠実さ、忍耐力、社交性、好奇心が重要

経済学者はこれらを無視してきましたが、心理学者はこれらが意味のある人生につながるという証拠を示している。

科学的に実証された情報を知り、子供としっかり向き合って育てていきたいですね。



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