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憧れていた湘南に移住した

2023年8月。
ずっと憧れていた湘南に移住した。

湘南は身近な存在だった。
鎌倉や七里ヶ浜、江ノ島が好きで20代は時間や機会があれば行く日々だった。
サーフィンをコロナ前から始めたことも重なり、海や緩やかな時間、古都はより身近な存在となった。

いつか住みたいと憧れて、1ヶ月のホテル生活もしてみた。
朝起きて海の近くを散歩する。
食事の調達のために近くのスーパーに買い物に行く。
休みの日に朝からサーフィンに出かける。

ちょっとした期間だったかもしれないけれど憧れが日常になった瞬間だった。

その後、友達の家に転がり込むこともあった。
一緒に美味しいお店の散策や朝のモーニングで話すような日々。
仕事と休みのメリハリがついたことと
移動時間がそのまま地元を味わう時間となったことで
白黒で淡く、曖昧な線で描かれた自分の理想が、時間と共に描写の線が太くなり色が濃くなった。理想のピントが合ってきた感覚だった。

その後、憧れている場所へ遊びに行くことはあっても移住するという選択肢を選ぶことはなかった。

都内を転々とし、仕事に没頭したいとできる限り近い場所を意思決定する。
もしかしたら今は優先順位が違うのかもしれない。
そんなことを思いながら移住したいという憧れた気持ちを6年抱えていた。

そして転機が訪れた。
パートナーと婚約することを決めたのだ。

なぜか2人の代名詞となる海鮮系の朝までやっているチェーン居酒屋で2人で話して決断し、その日の帰り道に結婚を決めた時に読むと言われている雑誌を初めて買った。

その後は入籍や婚約、親との挨拶の日程とイベントごとを決めた。

家の引っ越しもすることにした。
家の更新タイミングで自分の家に転がり込むというベタで典型的な同棲スタート。
家は2人が住むには狭すぎた。

今回は広めの部屋をとさまざまなところに内見に行っていた。
しかしどこも部屋の割に賃料や物件価格が高く、どうも住むことまでを想像できないところばかりだった。

知り合いから紹介された不動産の営業の方ともお話をしていても現在考えている範囲でも検討までは乗ることはできなかった。

そんな時にふと聞いてみた。
「藤沢周辺で物件とかってありますかね?」

聞いた営業の方はいつもと同じように調べた。
そして1件だけ最初に決めていた条件に見合った物件が見つかった。

運が良く内見の時間も早めにおさえることができた。
あれよあれよと当日になり、内見の時間が近づいた。

実際に見てみると良すぎる物件だった。
ホワイトを基調としてアイボリーやライトブラウンの家具。
欲しいと思っていたバルコニーからは江ノ島と富士山が見え、
海までは車で10分ほど。
ちょっとガレージとなりそうな車庫や
元々使っていたチェーンのスーパーやショッピングモール。

仕事場までの時間や多少の騒音等デメリットもあったが
憧れていた湘南の生活が手の届く範囲で目の前に現れてしまった。

いろいろなことを理由に断ることもできたのかもしれない。
だが、断る理由が自分の中から一つも見つからなかった。
もう家を買うのではなく、
自分の夢で憧れだった生活を買うという買い物に変わっていた。

即決で申し込みをし、その後は住宅ローンの契約をした。
(色々とあったが今となってはいい思い出ばかりの期間だった…)

そして契約日。
さまざまな書類にサインをする時間。
人生でこれまでもそしてこれからもこんなに自分の印鑑を押すことはもうないだろうと思えるくらい、自分の右手は朱肉と書類を行ったり来たりしていた。

そして最後の書類にサインをした後
前に住まわれていた方から鍵を受け取った。

すべての手続きが終わり、パートナーと車で移動して購入した家へ。
シャッターも閉まって、カーテンもついていない家だったが、
入った時に自分が家と憧れていた生活を買ったのだと実感した瞬間だった。

その後は引越し業者にも頼み真夏の熱い炎天下の引っ越しは終了。
家の装飾にもこだわり家具も新しく買えるなど賃貸ではできなかったこともやり始めた。

マンションでは絶対に飼えない猫を招いたり。
賃貸では壁に穴を開けられないけど、ブラインドをつけるために穴を開けたり。
下の階を気にせずふざけたり。
契約した駐車場ではできない、自分のガレージをサーフィングッズを置く倉庫にしてみたり。

生活では
朝早く起きてとれたての魚を使ったモーニングを食べたり。
知り合いとサーフィンに出かける週末を送ったり。
休みの日に鎌倉野菜を購入しに行ったり。
海まで本と椅子を持って夕日を見ながら読書をしたり。
都内ではみれないくらい綺麗に見える星を見ながらお酒を飲んだり。

ありとあらゆる想像で止まっていた生活が
色帯びて少しずつ現実になっていく。

憧れで止めていい理想なんてなく、叶えていいからこそ夢なのだと。
そう思える経験となった。

また新しい理想を日々膨らませて。
次は何を叶えに行こうかな。

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