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定時(140字小説)

子供の頃、家で近所の方々がお喋りで盛り上がっていた。一人が「主人が定時に帰ってくるから」そう言って帰られた。

私は母に定時とは何かと尋ねた。
「ご主人が決まった時刻に帰宅されるのよ。夕食の支度を急がれるの」
「ふーん、うちのお父さんは?」
母はため息。
「うちも定時よ。毎晩、深夜だけどね」

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そう言えば、子どもの頃は晩御飯の時に父がいない事が多かった。
労組の活動に力を入れていた父親。時代だなあ。まあ、それなりに出張、深夜活動が華やかであったと思われます。

小さい頃は父の出張帰りのお土産は本だった。
私が本が好きになったのは父のおかげかな。
甘いものが好きでなかったから、買ってもらえたみたい。


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