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新婚旅行は地球へ
「ねえ、新婚旅行は地球にしない?」
「ちょっと遠いし、住んでいるのは野蛮人だって聞くよ、それで良いのかい」
「その野蛮人っていうのを見てみたいのよ。あなた、興味ないのね」
彼女の機嫌が悪くなりそうだ。
やっと彼女を射止め、結婚の約束まで漕ぎ着けるのにどれほどの時間と真心をささげた事か、思い出せば涙が溢れる。
「勿論興味津々さ、ただ君に万一の事があれば、僕は生きていけない」
「あなたが私を守ってくれると信じているわ」
幻のようなオーラを放つ彼女。
そして、僕らは新婚旅行は地球に決めたのだ。
そもそも、我が星『ドラファ」には、新婚旅行という概念は無かった。
地球に行った偵察隊が帰ってきて、さまざまな土産話しが披露され、地球と言う星に注目が集まった。
その中で一番人々の注目を集めたのが新婚旅行と言うものだ。
自分達も取り入れて方々の星へと、新婚旅行に出かける新婚ペアが最近増えてきている。
結婚したばかりの二人だけの甘く素敵な旅行を、なぜこの星の人々は思いつかなかったのか。
他にもなかなか面白いイベントがあり、地球人は、遊ぶ事や楽しみ事を考える事に秀でているようだ。
だが、科学はかなり幼稚。野蛮人と呼ばれるのはそのためだ。
一番懸念されるのは、地球が平和な星だと認定されない事。
なので星としてのランクはレベル4だ。
決して良くは無い。かなり下のレベルだ。
科学は平和の為に使えと、我々は、幾度となく地球に平和の為のメッセージを送ったが、彼らは気づきもしない。
気づいたところで、解読が未だに出来ないと思われる。
このままだと、地球はランク5に指定される。そうなると私達一般人は、地球に行けなくなる。
そうだ、僕達の新婚旅行は急いで決行した方が良さそうだ。
と、そうこうしている間に、とうとう地球はランク5に指定されたではないか。
心配は現実のものとなった。
彼女は地球に行けないなら結婚する気は無いと言って来た。
新婚旅行なんて、知りたくなかった。
知らなければ落胆度もこれ程では無かったかも知れない。
地球人よ、どうしてくれる。
お前達のせいだ。
美しい星に住む地球人よ、レベル6など存在しないのだ。
と、言うことは…。
レクイエムが君達のために流れる事になる。
地球人よ、最後のチャンスを逃してはならない。
レベル5のうちになんとかしろ。
そう教えてやりたいのだが。
残念だ。
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