白い影
夜の帳が下りる頃、アイツはやって来る。神出鬼没の白い影の中から現れるらしい。
人々は戸締りをし、消灯し、アイツが通り過ぎるのをじっと待つ。
瞬きするのも憚られる緊張感。アイツの気配は半端なく強い。その姿は不明。
長く閉じられたこの町で毎晩繰り返されてきた。フッと気配が消えるのをひたすら待つだけ。
白い影とは。アイツの正体とは。知る者は皆無。ただの伝承なのだろうか。
ある日一人の少女が白い影の中から現れた。
どこから来たのか尋ねると
「白い道から来た」と言う。
その道はどこか尋ねても、彼女は頭を振るばかり。ポツリと一言。
「白い影が」
その白い影の中の道はどこかに通じているのだ。閉じられたこの町にも必ず出口があるはず。少女が教えてくれた。
怯えるだけでは何も変わらない。
皆んなの気持ちをひとつにして、アイツの正体を突き止めよう。そうすれば白い影の中の白い道も、きっと捉えられるに違いない。
「さあ、皆んなで行こう。白い影の向こう側に」
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ちょっと比喩的なモノにしたかったのですが。難しいです、やはり。
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