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ほしかったラブレター(バレンタイン特別企画)

私の初恋は、中2の時。
同じクラスのヨシ君。
幼稚園、小学校は同じところに通ったのに、同じクラスになったのは初めてだった。
けっして、カッコよくもない、ひょろっとした男の子。

「あの人が好き」って言ったら、聞いた女の子達が「ええ〜!」っと、のけ反った。
どう言う意味だったのか、未だに分からない。

彼はスポーツ万能、テニス部のキャプテン。
しかも成績は学年で一位二位を争う秀才。

なぜ、私が彼を好きになったのか。ある事がキッカケだったのだと思う。

「ねえ、めいの好きな人だれ?」
女子トークが始まる。
「おらんとよ」
するとその子は言った。
「ほんなら、ヨシ君にし」(しは、福岡弁でしなさい)

アホらしいと私は思った。
が、それから、どうもヨシ君が気になり始めた。ふとした時、目が合うとか、廊下ですれちがうとか。そんな時ドキドキして思わず目を不自然に逸らす。何なんだ、私!どうした私⁈ 
私は気が小さくおとなしい女の子だったので、気軽に男子と喋れない。彼とはなんの接点も無く、なんの進展も無かった。
二年生が終わる頃、彼は突然転校して行った。
私の初恋はあっけなく終わった。

でも私は知る事ができた。胸がドキドキする、彼の事を思うと涙が溢れる。そんな感情は初恋ならではだったと思う。

彼は読書家でもあり、図書室に置かれている彼のたくさんの図書カードはそのまま残されていた。
私は、意を決して彼に手紙を書いた。
書いたのはただ、図書カードを記念にくださいと言う事だけ。それだけの事が私には大ごとだった。

返事は来た。
手紙には『君に差し上げます』とだけ書いてあった。


私は多分、別の展開を期待してしていたはずだ。少女漫画のようにはならなかった。それでもあの時、一歩踏み出す事ができた自分が愛おしい。


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山根あきらさんの バレンタイン特別企画 
に参加させていただきます。よろしくお願いします。

地味な女の子の地味な初恋。私の初恋、とんでもなく昔の事ですが、オバアになった今でも時々、お元気だろうかと思ったりします。

今思えば、この業務連絡のような私の手紙が、私の人生で最初で最後のラブレターだったような。

山根さんのお返事ラブレター、楽しみにしています。めい(ヨシとめい でお願いします)