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22卒 コロナ禍での就活大戦争


気づけば最初の企業にエントリーし始めてから、2ヶ月が過ぎようとしていた。エントリー数8社。内定数ゼロ。周りにはSNSで終活とつぶやく声もちらほら聞こえてくる。大学に行けば、目に入ってくる文字はキャリアセンター、就活、22卒、内定…。

第1志望だと思い込んでいた企業から、お祈りメールがつい先日届いた。呆気なかった。昨年の11月から説明会、インターンシップ、合同説明会、エントリーシート、一次面接、二次面接…。順調に進んできたはずだった。キャリアセンターに足を運び、面接練習までして頂いた。自分一人で練習もした。しかし、どこかしら自分のやりたいことじゃないかもしれないという思いはあったかもしれない。それでも入社してみないと分からないという葛藤と、周りからの評判の声、自分の直感を信じて、自分はここに行くんだという気持ちでいっぱいだった。その企業からのお祈りメールを見た瞬間、時が止まったように感じたが、不思議と落ち込むことは無かった。二次面接の時間が30分の予定だったが、15分に切り上げられたのも、何か意味があったのかもしれない。自分の手応えは割とあった方だった。上手くいったかもしれないという気持ちに相反するような形で届いたお祈りメールだったが、それに対しての気持ちは、さほど沈まなかったということだ。それに、最終面接まで漕ぎ着けた企業が1つ残っていて、2つの企業から内定を貰うことが出来たら、どちらに進もうか迷っていたくらいだった。お祈りメールが来たのは、ある意味選択肢を絞るいい機会だったのかもしれない。むしろ、最終面接まで漕ぎ着けた企業こそ、私が行くべきところかもしれないとさえ思い始めていた。その企業は、本社以外にも、多くの支店を持つ名の知れた企業である。本命は本社だったが、他のいくつかの支店にもエントリーをすることが出来ることを知り、物は試しだと、軽い気持ちでエントリーをしていたのだった。そのうちの1つがたまたま最終面接まで私を迎え入れてくれたというわけである。自身が強く行きたいと思っていた企業よりも、何気なく応募した企業の方が、案外上手くいくこともあるかもしれない。

そして今日、ついにその最終面接の結果、つまり、内定を貰えるかどうかが決まる日である。現在の時刻は、朝5時を過ぎたところだ。結局、全く眠くならなかった。今日、もし通知が来なかったら明日にでも来るのだろうか。考えれば考えるほど不安は募る一方だ。

昨日は母の日だったが、何もプレゼントをあげることができなかった。『来年に期待しとくからね。』母の声が耳の奥で木霊のように聞こえた。 (次に続く→)

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