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3便に乗って〜八丈島旅行①〜

今年の夏も世間一般からは少し遅れたタイミングで4日間の休みをとった。僕と妻は俗に言うエッセンシャルワーカーなので、お盆休みの期間に休みを取る年は社会人になってからは一度もない。
お盆特有の混雑さが少し落ち着いてから休みが取れるので僕はこの休みの取り方が気に入っている。

今年は次男が「沖縄に行きたいなー」と常々言っていたのでその希望を叶えたいと思っていた。例年旅費を抑えるために、貯まったマイルで交通費を抑えている。今回も溜まったマイルを使おうとサイトにアクセスした。
すると保有しているマイル数に比べて沖縄に行くマイル数の方が高く、マイルだけではいけないことがわかった。子ども達も料金がちゃんとかかる年齢になったことを忘れていた。
そしてそもそも僕たちが行こうとしている日程は全て埋まっていることもわかった。(後でわかったことだが、沖縄で行われるバスケットボールのワールドカップの日程とかぶっていたのも理由の一つだったようだ)

次男の沖縄に行きたい気持ちを叶えてあげることはできなくなってしまったが、どうにかしてそれに代わる場所を探したい。
そう思って見つけたのが八丈島だった。以前から友人や職場の同僚から旅行に行った話を聞いていて気になっていた場所でもあった。無事に4人分の飛行機の搭乗チケットを取り、3泊分の宿の確保をした。

今回は金曜日と月曜日に休みを取ったので土日合わせて4日の期間が旅行に使える。妻と二人や一人旅の時は現地での時間をなるべく多く取りたいという想いから、初日は朝早くの便、最終日は遅めの便にすることが多かった。
子どもが産まれてからは初日はお昼以降の便、最終日は早めの便で夕方には家に着いているようなスケジュールに変わっていった。焦らず楽しく機嫌良く過ごすためにはとても良い時間調整だと思っている。
この旅行も初日は16時羽田発、最終日は9時八丈島発というフライトスケジュールにした。

空港へはリムジンバスを利用することにした。幸いなことに家からの最寄り駅にバス停があるので、まずは家族と荷物を車に乗せてバス停へ向かう。降ろした後僕だけ家に戻り、自転車に乗って再出発。契約している駅近の駐輪場に停めて合流という流れだ。

無事にバスに乗ることができ、11時頃に出発した。今回の旅行ではそれぞれ読みたい本を一冊持っていこうということを子ども達と決めていた。長男はポケモン図鑑、次男は月刊のおもちゃの雑誌、妻は僕が本当は持っていくはずだったが読み終わった幡野広志さんの新刊、僕はスティーブンキングのスタンドバイミーというラインナップ。その持ち込んだ本を読んだりクイズやしりとりをしながら過ごした。2時間ほどで羽田空港に到着した。

事前にスマートフォンでチェックインを済ませていたので、荷物を早々に預けて身軽になった。一昔前に比べて格段に手続きが楽でスピーディーになっていて有難い。その後は昼ごはんを済ませて保安検査場を通過した。
「小さいお子様をお連れの方はこちらへどうぞ」
羽田空港のホスピタリティーに感謝しっぱなしの時間だった。

久しぶりの4人での飛行機への搭乗時間になった。長男が2歳、次男が0歳の時に沖縄に行ったぶりの家族みんなでの飛行機なのでほぼ二人とも乗った記憶はない。
少し怖がったりするかと思ったが、二人とも終始興奮して楽しそうだった。
羽田ー八丈島間は約290キロで55分くらいで着く。未就学児の息子達にとっては無理なく過ごせる程よい時間だったかもしれない。機内でも自分達が持ってきた本を読んだり、機内の安全確認の冊子を見たりしていた。途中、CAの方がくれたおもちゃや飲み物もとても嬉しかったようだった。

ほぼ定刻通りに八丈島に到着した。預けた荷物を引き取って空港を出た。予約していたレンタカー屋の人がすぐに迎えにきてくれた。乗せてもらい空港を後にした。車内で道沿いのお店の情報や島の気候のこと教えてくれた。
「この道はハイビスカスがずっと車道の傍に咲いているんだけど夕方頃までには全部落ちてしまうんです。次の日また朝咲くのは新しい花。そうやって繰り返し新しい花が咲く花なんです」
ハイビスカスが朝顔と同じ一日花ということを初めて知った。明日の朝その様子を見るのが楽しみになった。

レンタカー屋へ到着した。用意してもらっていた車は軽自動車でカーナビがないタイプのものだった。
「この島ではカーナビは島民以外だと危険な道を案内してしまったり、今はないお店や道路を示してしまったり、あんまり意味ないんです」
と言いながら地図を広げながら説明を始めてくれた。穴場情報が多く、道路の工事事情も詳しく丁寧に教えてくれてかなり参考になった。

その後はホテルに行きチェックインを済ませて夜ご飯のためにすぐに出た。ロビーではたまたまフラダンスのショーをする団体が準備をしていてなんだか歓迎されてるような気分になった。

先程レンタカー屋で教えてもらった地元のスーパーに行って島の郷土料理の島寿司を買って今日はホテルでゆっくりしようと話していた。
旅先のスーパー巡りはなんとなくその土地の雰囲気を感じることができて楽しい。

スーパーに着きお弁当、お惣菜コーナーに行くと…その棚には何も置かれていなかった。みんな考えることは同じなのか完売していた。

近くの食べ物屋さんを検索するとラーメン屋が出てきたのでそこに決めた。
流行っている店らしく少し待つことになった。そのうちに後からも客が入ってきた。父親と娘2人の家族だった。雰囲気から島民の方に見えた。僕が外で周りの写真を撮っているうちに妻と後から来たお子さんが仲良くなっていた。妻も僕も割と知らない人に話しかけられやすい質なのでよくある光景だ。
「東京の人ですか?」
小学生くらいの女の子が聞いてきた。
「僕たちは神奈川から来たんだ」
「ふーん、飛行機は何便で来たの?」
「えーっとね、N何便だったっけ?」
「違うよ、空港は毎日、朝昼夕方の3便しか出ないんだよ。1便が朝、2便がお昼
、3便が夕方」
「じゃあ3便に乗ってきたってことになるのかな」
旅行の出だしからこんな会話ができて嬉しくなった。
ラーメンはさっぱりしていて美味しかった。何よりこのちょっとした出会いがすごく良い気分にさせてくれた。

食事を済ませて店を出ると、辺りがとても静かで薄暗い。そして涼しい。
ここが東京都だとは全く思えない。車のナンバープレートに書いてある品川ナンバーの文字が浮いて見える気がした。

ラーメン屋で出会った家族とはその後も少し話をした。明日から一泊のキャンプに行くらしい。
帰り際
「月曜までいるならまたどこかで会えるかもしれないね!またねー!」
と女の子が見送ってくれた。

島寿司を買うことはできなくて残念だったが、それ以上に良い出会いがあった旅の初日になった。帰ってホテルのウェルカムドリンクのビールを飲んだら強い眠気が襲ってきたのでその日はあっという間に寝てしまった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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