未来に生まれる子供たちに是非観て欲しいファンタジー映画『ET』

 先日、40年ほど前に大ヒットした映画『ET』の続編ということで、ショートムービーが配信されていることを偶然知り、動画を開いてみた。お馴染みのETのテーマのメロディーとともに、突然現れたETに驚き、大きく口を開ける子供達、ETは「エリ.オット...」と懐かしい名前をたどたどしく口に出す。

 その後、数十年の時を経て、立派な大人に成長したエリオットが現れた。お互いに再会を喜びあう二人。思わずそのシーンに感動してしまったのだ。しかも、エリオットは本編と同じヘンリートーマスがそのまま演じており、面影が残っているのだから、さらに過去名作のイメージがそのまま維持されている。大人になるにつれ、残念な傾向になっていく子役がいるなかで、彼は健全に成長したまま、続編を残せたことは素晴らしい。数分のショートムービーだったが、懐かしさで感動をいっぱいにするには十分だった。これがきっかけで本編がもう一度観たくなり、早速DVDをレンタルした。

 宇宙船に乗り損ねて、地球に迷いこんだET。一部の人間に狙われるも、エリオット少年に発見され、匿われることになる。好奇心旺盛なETに、エリオットはたくさんのことをひとつひとつ教えていく。始めは警戒して彼に吠えまくっていた飼い犬とも、次第に仲良くなったほどだ。留守番中に、テレビの動きにびっくりしてひっくり返ったり、冷蔵庫のビールを飲んで酔っ払ったりとETの行動にハラハラさせられるものの愛らしさに笑ってしまう。その後ETとエリオットの二人はテレパシーで心が通いあうようになり、強い絆が結ばれていった。しかし、エリオットが「これは電話」と電話機のことを教えたのをきっかけに、ETも次第に「おうち、でんわ」と言葉を発し故郷を恋しがるようになる。エリオットは兄と妹の協力を経て、ハロウィーン祭りに紛れてETを森につれだした。様々な仮想姿のなかにスターウォーズのヨーダが登場したのはパフォーマンスだったのだろうか?

 森に到着して、ETが部屋にあった漫画をヒントにエリオットと二人で作った自転車に乗る二人。あの有名な美しいメロディーが流れ、空を飛び月を横切る名シーンには心が踊る。

 自転車が壊れてしまい、森の中で途方にくれる二人。せつなそうに

「おうち、でんわ」

とつぶやくETに、エリオットは

「すぐに宇宙船はこないよ。このまま、ずっと一緒に暮らそうよ。僕が君のこと守るから」

と伝える。そんなエリオットを、瞳を見開いて、せつなそうにみつめるETが、たまらなく愛おしい。

 その後、エリオットとETに異変が起き、様々なハプニングが生じるのだが、この先は完全なネタバレになってしまうので映画で楽しんで欲しい。

 ETがヒットしたのは、私がまだ小学生の時だ。正直、こんなグロテスクな怪獣が、どうして可愛がられて人気があるのか当時は理解出来なかった。しかし、映画を観るにつれ、ETのピュアな雰囲気、動きなどが次第に可愛く思えてくるのだから不思議だ。ギョロっとした大きな瞳は澄んでいて愛らしい。またETとエリオットの関係は、友情という枠に収まりきらず、兄弟のようなものではないかと思う。さすがは、名監督スピルバーグの手掛けた素晴らしい作品だ。

 今の若い方、お子様達にとっては、中年世代の古い子供向け映画かと思われるだろうが、是非、これからの若者達、未来の子供達にも観ていただきたい映画のひとつである。

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