三者面談指南書 笑いを捕らえよ!#11

学校には、「三者面談週間」と称して親を学校に呼び出し、成績表を見せるという古くからの習わしがある。

僕の学校も、期末考査からアクセル全開ノーブレーキで面談期間に入ったわけだが、僕の面談は何事もなく終わった。

三者面談で怒られる人なんているのだろうか。

そんなことを思っていると、なぜか級友の顔が数人浮かんできて僕を睨みつけている。

なんとも不思議である。

閑話休題。

僕が定義する「三者面談」とは、家族からの刺客「親」と、学校側から派遣された「担任」に加え、その二者の間に挟まれ黙り込む「自分」の3人で構成された、国家機密の極秘meetingである。

このmeetingから逃れ、いかに早く学校から脱出できるかは、自分の時間を確保するために重要である。

そこで今回はある秘策を用意し、本番で秘策を使うことに成功した。

ここでその秘策をふんだんに織り込んだ「三者面談指南書」を出版し、全国の少年少女から厚い人望を買い、ほぼ全員の大人を敵に回し、それでも全国の学生のために闘う、というシナリオもありだが、そんな役回りは妄想で十分だ。

しかし、今回の面談でそんな秘策は不要どころか、ちゃんと面談を受けたほうがいいという結論に達した。

おい!急に真面目になるな!

大丈夫。これには理由があるのだ。

まず、面談を早く終わらせて得られる時間は多くて10分。

秘策を考えるのに1時間。

生産性のせの字もない。

それであれば適当に受ければ良さそうだが、それも得ではない。

ではどうするのか。

answerは、「秘策を考える」だ。

それはさっきダメだと言ったじゃないか!

否。

今回の秘策は、面談を「早く終わらせる」秘策ではなく、面談を「盛り上げる」秘策である。

盛り上げたら長引くじゃないか!

否。

結果的に、時間が増えるのだ。

なぜなら、面談を盛り上げることで、自分をアピールできる。

それにより、先生が自分のことをわかってくれる。

それにより、家での親からの口出しが減る。

→自分の時間が増える!

こうなるからだ。

石ころ以下の価値だと思っていた面談期間が、ビッグチャンスに変わるとは!

三者全てが得をする。

だから三者面談があるのか、と妙に納得してしまった。

でも、その意義を親や先生が忘れてしまうこともある。

そうなると、本来の三者面談の意義は薄れていく。

この意義を三者が理解すれば、極秘meetingは生徒にとって憂鬱なものにはならないのではないか。

そんなことを考えると、やはり学校に反旗を翻して「三者面談指南書」を刊行しなくてよかったと安心するばかりであった。


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