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音楽の旅 #3

今回の旅は、1980年のウェールズの炭鉱町から始めましょう。当時、サッチャー政権の下、イギリス国内で多くの炭鉱が閉鎖されていました。ロンドンから遠く離れたそんな町で、ヤング・マーブル・ジャイアンツは、ひっそりと結成され、そしてこの1枚のアルバム「COLOSSAL YOUTH」を残し、あっけなく解散しています。ではこの唯一のアルバムから聴いてみましょう。
簡素なギター、原始的なリズムボックスの音、隙間の多い空間に、静かで飾り気のない透明感のあるボーカル。どの曲も短く、突然終わります。
パンクが持っていた攻撃性、スピード感はここには全くありません。 
 では次に、ディスチャージの「HEAR NOTHING SEE NOTHING SAY NOTHING」(1982年)を聴いてみましょう。
ディスチャージはピストルズの次の世代のバンドで、ハードコアパンクの代表格と言われています。ピストルズの曲より速く、切迫感があり、これでもかとメッセージを叩きつけてきます。 
 ヤング・マーブル・ジャイアンツとは対極にある音ですが、両者に共通するものは、手垢のついていない純粋な音楽である、と言う事でしょう。  
この2枚のアルバムは、自分達がやりたい音楽、目指す方向性を極限まで突き詰めた結果の、奇跡的なアルバムと言えます。 
 そしてもう一つ。両アルバムには、他人と同じ事はしない、言いたいことは言う、自分等で何とかすると言うパンクスピリッツが宿っています。     
 それを可能にしたのは、インディペンデント・レーベルの存在でした。ヤング・マーブル・ジャイアンツはラフ・トレードに、ディスチャージはクレイに所属していました。 
 こう言ったレーベルが無ければ、世の中に出なかった可能性もあります。
 当時、様々なインディペンデント・レーベルがありましたが、音楽性は違っても、自分達の手で、自分達が認めたバンドを何とか流通させる、と言う気概は共通していたと思います。 
 インディペンデント・レーベルを巡る旅も魅力的ですが、それは又次回にしましょう。 
ではまた今度。 








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