⑧母の本心は、
母の本心、分からないなぁ
と、思った事がある
母が足の関節が痛くて
大きな病院で見てもらった時
手術しないと治らないし
年齢的にも今なら、
またリハビリで歩けるようになる
と、言う事で手術する事になった
その頃父は、田舎に1人で住んでて
用事が無いと帰って来なかったので
連絡はしたけど
来ないと思ってた
でも、急に来ると言って
自分も説明を聞いておきたいと言った
それで、
手術の前の検査の日
家族全員で行った
お正月さえ集まらなくなってたのに
何年かぶりに集合した
母は、初期の認知症で
いろいろ曖昧になってて
時々不安そうだったけど
父もいて少しは安心したのかも知れない
手術の日も全員で行ったし
その後入院してる時も
皆んなで入れ替わりで行って
話し相手になった
私は仕事があるので
土日のどっちかに行った
コーヒー好きの母の為に
近くのコーヒーショップで
ホットコーヒーを買って
一緒に飲みながらお喋りした
割と何でも美味しいって言う人で
好き嫌いも無いと思ってたのに
“これは、ただの茶色いお湯やな”
と、言われた
せっかく買ってあげたのに
うるさいなぁと思った
味、わかるんや
しょうがないから
その次からは
ちょっと高いコーヒーを買って行ったら
“これは、まぁ飲めるな”
と、言った
今までなら、おおきにと言って
何も言わずに飲んでたのかも知れない
その時既に会話はブツギレで
あんまり話も噛み合わないから
母が思いついて言う言葉に
そうやな、と相槌打つだけにしてた
その時に
なんの脈絡もなく
“うちのお父さんも、ええなぁ”
突然言った
何を思ってかは分からない
何か、そう感じたんだろう
もしかしたら
ずっとそう思ってたのかも
そして言えなかっただけなのかも
こじらせて
憎まれ口になってただけなのかも
認知症って
どんどん正直に
本音がでてしまうのかも
そんな風に思った
つづく
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不定期連載中
母との事を記録する為に書いてます。
マガジン
『私は母のカケラで出来ている』
https://note.com/032600_me/m/m90af638c0f19
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