私の名前を呼んでくれない夫の話

名前を呼んでくれない夫

私の夫は私の名前を呼ばない。

「ねぇ」とか「きみ」とかもっとヒドイときもある。しかも私の容姿を貶しまくる。短い足はことあるごとに攻撃され、低い鼻は詰られる。
おまけに、ちょっとミスをするとすぐポンコツ呼ばわりしてくる。悪口を言うときだけやけに饒舌だ。

そう。私の夫は世間的にみて大モラハラなのだ。

きっと、私が喜ぶ言葉をかけてくれる人はもっとたくさんいる。私を好きになってくれた他の人は、沢山名前を呼んでくれて、沢山かわいいと言ってくれた。私が落ち込んでいるときは慰め、無条件で私を肯定してくれる。

わざわざこんなモラハラ夫を隣に置かないほうが、幸せだったのではないだろうか。

宇宙一のパートナー

それでも思うことがある。

沢山名前を呼んでくれて、沢山かわいいと言ってくれた人たちは、私に何をしてくれたんだろう。

付き合っていたとき、朝5時起きで仕事なのに夜中の2時まで電話に付き合ってくれるだろうか？

一度しか見てない私のペットの犬が死んだとき、同じくらい泣いてくれるだろうか？

私が東京で仕事を続けたいと言ったとき、すぐに大阪から東京に転職してくれるだろうか？

果てには出先で結婚指輪を紛失したとき、道に這いつくばって何時間も探してくれて、「 新しい指輪は失くさないように気をつけようね」と優しく叱ってくれるだろうか？

夫の愛はそれくらいの勢いなのだ。肉親ではない赤の他人なのに、肉親以上に私に向き合ってくれる。どこを探してもこんなに私への愛を感じる行動をしてくれる人を、私は夫しか知らない。

ちなみに私のことをボロカスに罵るのは、恥ずかしくてふざけてしまう性分だと言っていた。小学生男子のアレに近い。

夫と私

いわゆる「素敵な彼」のテンプレートとは異なる夫。恋人のようなコミュニケーションは苦手な夫。

それでも言葉ではなく行動で示し、どうしようもない私とも向き合ってくれる。

夫婦であっても耳触りの良い言葉を使いながら事なかれ主義で物事を進め、なんとなく上手にまとめることがある。
たったひとりの大好きで大切な人に、どうやって向き合っていこうか。

夫がここまで私を大切にしてくれている理由は分からないが、私も彼と真摯に向き合い、それが私を大切にしてくれる理由にしたいなと思う。

#私のパートナー