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読書日記251【さよならドビュッシー】


中山七里さんの作品。デビュー作で岬洋介シリーズの最初の作品となる。本人は音楽は素人らしいので、作家の想像力というのとか、年齢もあるけど(この本が刊行されたのが49歳の時)作家というのは年齢・時代に関係なく突如として生まれるのかと思わせる作家の一人。

作品も音楽もの警察ものありコージーミステリー(主人公が探偵でなく素人)あり、なんでもありみたいな「何でも書けまっせ!」的な書き方はすごく作家の文章能力を感じる。


ピアニストを目指す少女、遥が火事にあって祖父と従妹を亡くし、自分も大やけどを負う。そこからピアニストの道を目指す。ミステリーとしては誰が火をつけたのか?という犯人捜しと思いきや思いっきりミステリーになっていて、遥の周りで不審なことがおこり、そして殺人事件もおこってしまう。

よく書けている。このミス大賞をとっているのもあるけど、一つ一つを調べ上げて文章を構成してミステリーをうまく入れている。もともと文章が上手い感じではなくて文章をまとめるのが上手いタイプのような気がする。書き方が変わるのはきっと資料を読んで文章を構築するためだと思うけど、そこがまた「何人かで執筆しているのか……」と思わせる感じがいい。

1961年生まれで岐阜県出身。作家を目指したのも島田荘司さんに直接あって、学生の時に作家を目指して応募したことを思い出して書き始めたとある。年齢的には45歳の時からだからそこらへんも面白い。

デビュー作から10年で出版された本もすごく多くて、そもそも、出版社のほうに「どういうのを書きますか?」と聞くらしいから、そこらへんもスゴイ気がする。執筆の風景もYouTubeにあるけど、作家の忙しさみたいなことがわかってすごく面白い。



  • 岬洋介シリーズ

  • 御子柴礼司シリーズ

  • 刑事犬養隼人シリーズ

  • 淑女シリーズ

  • 『ヒポクラテスの誓い』シリーズ

  • 毒島シリーズ

  • 高頭冴子シリーズ

  • 宮城県警シリーズ

シリーズものだけでもこれぐらいある。本を作り出すというかミステリー作家というのはこれだけ本を書くんだね……と思わせてくれる。好きな人は続篇を読みたいしそれを目論んで出版社は本をだすのだから、赤川次郎から西村京太郎が80年代に所得番付でトップにたっていたのもわかる。

東野圭吾さんも本を出し続けているけど、やはりミステリー作家は常に書き続けなければいけないのは大変だなと熟慮する。
もう少し中山七里さんのミステリーを読んでみようと思います。




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