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”回らない”鮨を生活に取り入れる-実践-


今日も今日とて(というか昨日だけど)、回らない鮨を食べたい欲求に狩られて、寿司屋に来てしまった。

という訳で人生初の吉富寿しへ。

実は前々から予約していたのだけれど、由緒正しいお寿司屋さんに行くのはこれが初めてかもしれない。

40年近く続いていて、鮨は江戸前のスタイルで、聞けばミシュランにも載っているらしい。
極めつけは、鮨も含めて、お料理の写真を撮ってはいけないとのこと。

期待感しかない。
ただ、握り手は前の大将と代替わりして、お弟子さん(若めの女性)になってから日が浅いらしい。

それでも、以前握り手の方と別のカレー屋さんでお会いしていて、ご夫婦共々第一印象がとても良かったこと、カレー屋の店主から店の紹介を頂いたこと、そういう経緯がなかったら多分予約してなかっただろう。

30代になっても”はじめて”のことというのは案外多いものである。
ド緊張。

夏物を探しにCOMME des GARCONSに寄って、Tシャツを物色すること10分で買い物を終わらせ、例のイカしたショッピングバッグを片手に、我ギャルソンぞ???的な澄ました顔を作り、汗ダクダクで寿司屋に向かう。

足らなかったらと思い事前にラーメンを腹に入れたが故の大汗、長袖を着るべきではなかったと後悔するも時既に遅く、着座しても一向に乾かない。

即座におしぼりを渡され、顔にひたすら押し当てて、先付けが来る前に漸く汗が引いた。

他のお客さんに、うへえ暑い~クーラーつけて良かですか~~~、とお願いする所だった。事なきを得た。

因みにお店は高級そうな一枚板のカウンターにキャパは6席という少なさ。
客層はマダムが中心で、一人客は僕と東京からミスチルのライブで来福されたナイスなお姉様くらいだった。

ジョアン・ミロが書いたような抽象画が大きく飾られ、横目には簡素な椿の絵が飾られてある。ガラス越しの夕暮れ日光が心地よい、入るはずのない初夏の風を目で感じる。

奥さんが握り手としてネタを切りつける一方、旦那様がサーブされていて、ワイン専属の方もいらっしゃる。

色々お酒のラインナップを見て、ナチュールが強いと実感した。
ロワールのソーヴィニヨンブランとシャブリと散々悩んで、無難に一杯目をシャブリにする。

全体的に丸みを帯びた酸、奥に控えめな柑橘系の風味。
塩味がなければやや輪郭を感じにくい気はあるものの、先付けや鮨と合わせると途端に食べているものの味が引き立つ仕様。
トレビアン。素晴らしい。

ここからはラインナップ、メモを取っておらず記憶が曖昧なのが痛い。

<先付け>
・蛸の桜煮
ひたすらに柔らかく滋味深い。包容感のある味わい。
・里芋の煮物、唐墨和え
自家製の唐墨が振り掛けられており、里芋の中に熟成させた唐墨が入っている。
程よい塩味、ここでシャブリを選んで良かったと一安心。

<鮨各種①>
・甘鯛
仄かな甘味、初夏の香りのするもの。シャブリが合う。
・ノドグロ
やや軽めの脂身。シャリの解け具合と共に、サクッと口の中に消えるもの。
・本マグロ
軽いヅケ、艶が美しい。若さと共に仄かに赤身特有の蒼い香りのするもの。
今は寿司ネタでマグロがトップレベルに好きかもしれない。歳をとるってこういうことか。
因みに日本酒は仙禽に切り替えて大正解。頭がスキッとするもの。
・サヨリ
背筋の伸びる味。包丁さばきに感動。
・鰹
ヅケにしてあり、魚本来の持つ照りが素晴らしい。さわやかな味。
ここで日本酒をお店オリジナルのものに変更
若竹屋(福岡)の醸してるもので、かなりクラシカルなストラクチャー。やや甘みが強いのも特徴的。

<箸休め>
・車エビで出汁をとった枝豆のしんじょ的なやつ
→記憶が飛んで”めちゃくちゃ滋味深い何か”と化してしまった、残念。

<鮨各種②>
・カサゴ
淡白な魚のイメージが強かったが、こちらは凝縮された甘みがたまらなかった。美味い。
・コハダ
ツメを塗ったコハダを初めて食べる。鼻に抜ける爽やかさ、じんわりとした酸とツメ由来の甘み。食べ応えあり。美味。感動。
日本酒がすすみまくり、山形正宗へ。
・煮ハマグリ
非常にリピートしたかった。ツメと貝のもつ特有の甘みが最高に絡み合う。
・車エビ
ひたすらに滋味深い、香りの応酬。

<箸休め>
・赤出汁
大好きです。

<鮨各種③>
・烏賊と紫雲丹
完璧に酒のアテ。ねっとりとした甘み、ちょこんと鎮座した雲丹によって烏賊特有の甘さが最大限に引きだされている。
・干瓢巻き
完全にノックアウトされた。
海苔の香り、甘めに炊かれた干瓢、鼻に抜けるわさびの三重奏。

しこたま飲んどいて、これで2万円いかないんだから福岡は恐ろしい。
颯爽と2軒目でワイン3杯とタコス(ワカモレ、牛のフワ)をいただくのでした。
金が飛ぶね、明日から節約します。

(おしまい)

タコス東京で流行ってるらしいね、洒落タコス。
長浜行ったらこれ食べなきゃでしょ、
だって元祖だから。

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