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明け方の人

明け方、寝室に誰かが入ってくる気配がした。夫が奥の納戸にある蚊とりベープを取りにきたのかな、とそのまま寝ていたのだけれど、明らかに立ち止まってこちらを見ている感じがする。目をあけると背の高い影のようなものが、ゆっくり納戸の方へと消えていった。

明らかに人ではないものだったのに、まったく恐怖を感じないのが不思議だった。親しい人がちょっと様子を見に来た、影の仕草はそんな感じだったからかもしれない。
「おじいちゃん、なのかな?」
何十年も前に亡くなった祖父は180cmを越える長身で、若い頃は体操競技をしていたため、晩年まで引き締まった体格をしていた。そんな祖父の姿によく似た影だった。

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明け方の夢は霊的なものが多いと聞いたことがある。
いつもの般若心経を、この日は祖父のためにもお唱えすることにした。
影が何だったのか、確かめるすべはないけれど、「祖父のことを思い出した」そのことが大切なのだと思う。

雨戸を開けると梅雨の晴れ間の青空。今朝はことのほか青が深い。天界も、この気持ちの良い青に満ちていればいいのだけれど。

神社仏閣をとりまく鎮守の森を守りたいと思っています。 いただいたサポートはその保護への願いをお伝えし、参拝の際、奉納させていただきます。