見出し画像

薄紫の時間

明け方、新聞を取りに行くと、シマトネリコの低い枝で熊蟬が眠っていた。間近に寄っても、ピクリとも動かない。
薄い翅の下にある体はほぼ黒に近い茶色。鎧のようにゴツゴツしていて、地中での生活の名残を漂わせている。
地上に出てからは7日ほどの命だと言われている蟬。こうやって眠るごとに深く老いてゆくのだろう。薄紫の朝風に吹かれながら。

神社仏閣をとりまく鎮守の森を守りたいと思っています。 いただいたサポートはその保護への願いをお伝えし、参拝の際、奉納させていただきます。