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甘露寺参拝と「利剣名号」御朱印【和歌山】

2月の半ば、和歌山県紀の川市の「浄土宗 洗心山 甘露寺」へ行ってきました。
『鬼滅の刃』に登場する恋柱・甘露寺蜜璃にあやかって、話題となっている寺院です。
(マスクをして、密にならないよう時間帯を選んで行きました)

冬のあたたかな日差しの中、伊太祁曽(いだきそ)駅近くの有料駐車場に車を停め、和歌山電鐵貴志川線に乗り込みます。貴志川線は二両編成の小さな電車。「たま電車」「いちご電車」「うめぼし電車」など、それぞれのラッピングが楽しい電車です。
こちらは「いちご電車」。

窓の外には田畑やみかん山が広がり、コトンコトンと鳴る電車の音もなごやか。昭和の時代にタイムスリップしたような雰囲気……。
和歌山電鐵の公式サイトには、電車別に色分けされた時刻表があり、お目当てのラッピング電車を選んで乗ることができます。

10分ほどで「甘露寺前」に到着。プラットホームには「恋みくじ」が置かれ、桜餅カラーにはためく幟には猫の姿と「恋」の字が。

「甘露寺前」はのどかな風景の中にある無人駅。ここから5分ほど田畑や住宅地の中を歩けば、甘露寺に到着です。

甘露寺はこぢんまりとした寺院です。境内の梛(なぎ)の木やつわぶきにはそれにちなんだ和歌の札が立てられていて、ゆったりと雅な気持ちに……。
足元からはじん、と、癒しの空気が湧いてくるような気がしました。

そんな甘露寺の境内で、ひときわ目を引くのは大きな銀杏の木。

根のように複雑な枝が無数に伸び、幹には「樹齢約300年」との札が下がっていました。
「きっと黄葉の時期には、見事な黄金色になるんだろうな……」
そう思いながら見上げていると、ほどなく風が鳴るように、ざあっとスズメの群れが枝にやってきました。静かな境内にスズメたちの鳴き声が響いて、そして……

本堂の上に現われた大きな光の輪。こんなにはっきりとした「ハロ現象」を見たのは初めてです!
あまりにもありがたくて、思わず手を合わせてしまいました。

御朱印は玄関のインターホンを押して、いただくことができます。桜餅カラーの特別御朱印「利剣名号」は書置き、通常の御朱印はその場で住職さんが書いてくださいます。

御朱印帳に筆を運びながら、
「どちらから来られましたか?」
と、住職さんは柔らかな声で尋ねてくださいました。私が答えると、
「ああ、それではお近くですね。気をつけてお帰りください」
御朱印をいただく際のほんの一言二言、とてもほっこりします。

ありがたいことに「利剣名号」の御朱印には説明文が入っていました。以下、その引用です。

「利剣」とは、切れ味がよく、鋭く尖った刀剣のこと。仏教では煩悩(ぼんのう)、邪気(じゃき)、災厄(さいやく)を切り裂く仏法・智慧(ちえ)の象徴とされ、「ご利益のある剣」を指します。
南無阿弥陀仏の六字の名号を剣のように鋭く描いた利剣名号は、煩悩(苦しみのもと)を断ち切り、あらゆる困難を滅することができると言われています。

「利剣名号」は京都市左京区の知恩寺にある弘法大師のお軸が有名ですが、思いがけず甘露寺でも御朱印としていただくことができ、嬉しかったです。

本堂のお賽銭箱の前には、「ご自由にお取りください」と次のような紙片も置かれていました。

花びらや色や香を
そこなわず
ただ蜜味(あじ)のみを
たずさえて
かの蜂のとび去るごと
人の住む村々に
かく牟尼尊(みひじり)は歩めかし
〈意味〉
蜂は花びらをこわさず、花の色を汚さず、花の香りを失わず、ただ蜜だけを吸って飛び去っていく。しかも、授粉をして花に実と種を残して……
そのように、お釈迦さまも、静かに歩き来て、村の家々を托鉢して、仏法の喜びを与えながら次の村へと歩んで行くのである。

神社仏閣を参拝して一番ありがたいのは、訪ねたところならではの風景やお言葉をいただけること。
冬の終わりの甘露寺、心に残る参拝となりました。

神社仏閣をとりまく鎮守の森を守りたいと思っています。 いただいたサポートはその保護への願いをお伝えし、参拝の際、奉納させていただきます。