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【法学部生必携?】ポケット六法とは

 法学部は法律を学ぶ学部です。ゆえに、実際の法律の条文を逐一確認することが大切です。では、法学部生はどうやって条文を確認しているのでしょうか。答えは「六法」を用いて確認します。今回、法学部生がよく使っている六法たる「ポケット六法」について紹介します。

令和4年度版ポケット六法

 そもそも、ポケット六法とはどんな「ブツ」なんでしょうか。
 ポケット六法は縦19×横13cm、厚さ4.5cm、重さ910g、ページ数2000という感じの大きさのものです(神戸新聞NEXTより)。
 しかし、数字ばかり並べてもよく分からないのでおーいお茶との対比写真をご覧いただければどのようなものか分かっていただけるのか分かると思います。

 どうでしょうか。厚みはおーいお茶の横幅と同じぐらい、高さは525mlのおーいお茶のラベル辺りほどと同等といったところでしょうか。また、重さは先ほど910gと述べましたが、このおーいお茶2本の重さがおよそ280+525=805gですので、これら2本分よりやや重いといった感じでしょう。

 外観等は以上の通りです。では、どのぐらいの頻度で法学部生はポケット六法を大学にもっていく必要があるのでしょうか。

 そもそも、ポケット六法には憲法を始め、民法・刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法・商法・会社法など大学で学ぶ法律ほぼすべてが収録されています。そして、そうである以上、私の時間割組み上ではこれを使わない曜日はそもそも法律の授業がない水曜日しかありません。ですから、私はポケット六法を週4日使用しているわけです。

 そうなると、大学に行く日はほぼ毎回六法を持参していることになります。これはめんどくさがり屋の私からすると、ほんとに嫌で仕方がありません。「おーいお茶2本?大したことないじゃん。」と思われるかもしれません。しかし、不思議なことにポケット六法を入れるか入れないかが毎度大きいリュックにするかしないかの分かれ目になるのです。言い換えると、ポケット六法を持っていかなければ、ぎりぎり小さいカバンで登校できるけれども、ポケット六法を持っていくとそうはできないということです。

 実際に、文系で法学部生のみ重そうなリュックを背負って通学しなければならないことが法学部離れの原因の1つになっているのではないかと思ってしまうぐらいです。
 確かに、大げさだと言われるかもしれません。しかし、周りの文系の友達と比べて自分だけ重そうなリュックを背負っているとなんだか悲しくなります。まして、おしゃれなキャンパスライフを想像していた女子大生なんて周りが可愛いバックで通学している中、自分だけ大きいリュックを背負って通学しなければならないなんて嫌ではないでしょうか。
 まあ、こんなわけでポケット六法は持ち運びに適しているかというと疑問符がつくというのが一大学生の意見です。

 文句ばかり言っていてもしょうがないので、法学部生がポケット六法を使って何をしているのかを説明します。大学の授業では、新しい単元を学習する際に、その単元に関連する条文を確認します。その際に六法が用いられるわけです。
 「え、これだけ!?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そう、これだけです。そうだとすると、法学部生はここで2派に分かれます。一方は六法を持参する人、他方はそれを持参しない人です。

 持参しないメリットは明らかです。先ほどの通り、大学に身軽に通学することができます。また、条文自体は実のところ、グーグル先生に尋ねれば教えてくれます。ですから、それほどデメリットも大きくないのです。

 では、なぜそれでも持参する人がいるのか(本来は持参すべきです)。
 まず、紙の六法に使い慣れておいた方が試験の際に六法をうまく使いこなせるからです。また、紙の条文だと該当条文の前後も容易に確認できることが挙げられます。中高において電子辞書反対派の先生が紙辞書だとついでに他の英単語も確認できるからと主張しますがその論理を同じです。ただ、英単語の確認とは比べ物にならないほど法律学では条文同士の関係を理解しておくことが重要です。ゆえに、英単語学習とは異なり、これにはついでに新しい単語も知れてラッキーレベルどころではないメリットがあります。
 この2派の関係を簡単にまとめると、ちゃんと勉強したい人はポケット六法を持参するが、それほどでもない人は持参しないというわけです。

 ところで、冒頭の写真にわたくしの六法の写真を掲載しましたが、なんとポケット六法が2冊あります。なぜ2冊も持っているのでしょうか。それは、基本的に六法は毎年買い替える必要があるからです。
 なぜ買い替えが必要なのか。それは、毎年法律のどこかしらが改正されているからです。しかし、あくまで「どこかしら」程度です。ですから、しっかりと法律を学びたい人以外はあまり買い替えるメリットはありません。ここで、先ほどの話とも関連してくるのですが、ポケット六法持参組でもさらに、買い替える派と買い替えない派に分かれます。つまり、私のような万が一改正部分が扱われたらどうしようと心配する臆病者を除くと、六法持参組かつ買い替え派というのは、非常にやる気がある集団なのです。

 ですから、これらを知っていると、周りの法学部生を見てやる気があるのか否かをおおよそ判別できるようになります。こんなことを知ったところで何か得するとは思えませんが。

 最後に、六法にも学生個々人の嗜好があることを紹介します。先ほどから私は「ポケット六法」とばかり申し上げていましたが、同じような商品として「デイリー六法」というのがあります。こちらは大きさ等はポケット六法とほぼ同じです。

 では、何が違うのか。一番は中身のデザインです。私はデイリーのデザインよりポケット六法のデザインの方が気に入ったので、ポケット六法を選びましたが、これは完全なる個人の趣向です。
 そして、収録されている法律も少しだけ違いますが、厚さ等はあまり変わらないにもかかわらずデイリーの方がマイナーな法律も収録されている感じがします。しかし、これは国語辞書や英語辞書はどの出版社のものが一番なのか議論しているのと同じです。
 ゆえに、どちらが良いとは一概には言えず、ただただ法学部内でポケット党とデイリー党の2大政党制が繰り広げられているというのにすぎません。

デイリー六法令和4年度版

 少しは六法について知っていただけましたか。最後の最後に、ミニ六法は一般人でも買えるのかというよくある質問に答えて終わろうと思います。答えはYESです。どちらの六法も大きな本屋なら法律書コーナーに必ず置いてあるはずです。主権者たる国民がこの国の根幹たる法律を見ることができないなんていうのは全く変な話ですからね。全く案件ではありませんが、どちらも2000円程度で買えるのでぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。なんだか少し賢くなった気分になりますよ。


引用・参考:神戸新聞NEXT|連載・特集|話題|ポケット六法「今年もポケットに入ります」!?老舗出版社のツイート大反響「有斐閣めちゃユーモアあるやん」 (kobe-np.co.jp)(2022/8/10、以下同)
ポケット六法 令和4年版 | 有斐閣 (yuhikaku.co.jp)
三省堂|六法・法律書|デイリー六法 2022 令和4年版 (sanseido-publ.co.jp)



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