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読書感想文〜山の上のパン屋に人が集まるわけ〜

"・パン屋が人間らしい生活をできないのはふつう
・売上を長時間労働でカバーするのはふつう
・利益を出すために人件費を削るのはふつう
・お客さまに「NO」と言えないのはふつう
・成功のためにはヒエラルキーに従うのがふつう

心を犠牲にしてまで、守るべき「ふつう」なんてない。"

これは、平田はる香さんの"山の上のパン屋に人が集まるわけ"の帯に書いてある言葉だ。

この言葉をはじめ、共感と希望の嵐のような本だった。

平田さんの強くまっすぐで、自分に正直な姿、お客さんにも、取引先にも、そして社会にも健やかであってほしいとまっすぐ願う姿、そして、その信念のために努力を惜しまない姿。

"どんなに社会の「ふつう」とちがってても、できないことなんてないよ"と背中を押してくれるようだった。

"そういうもんだから"
"みんなふつうにやってるじゃん"
"なんでそんなこといちいち気にするの?"

みたいな言葉を浴びつづけて、我慢して、いつの間にか慣れてしまって、それが「ふつう」になって。そういうことって結構どこにでもある気がする。わたしもかなり浴びてきたし、我慢できなくて闘ったことも、逃げたこともある。

誰かを搾取することや、誰かの我慢の上に成り立つ「ふつう」をふつうのこととして、見過ごしたくない。これは、誰にとっても健康的ではないと思うのだ。

だから、社会で「ふつう」になっていることを疑い、自分の信じるものを貫く平田さんがいて、「わざわざ」さんが存在して、それを支持するお客さんたちがいて、社会の中にそういう循環があるということが、とても希望のように思えた。そして、わたしも自分の信じるものを大切に歩みを進めていこうと思えた。そんな本だった。

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