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自分を守るために機微を捨てる。

今日の相方は開け番のシフト。7時50分に目覚めた。外の明るさから、今日の天気はきっと雨だろうと想像しながらベッドから抜け出た。昨夜購入したスターバックスのトリビュートブレンドを開け、コーヒー豆の香りで頭を起こしていく。

相方を見送った後は洗濯と掃除。洗濯は2回。1度目の洗濯の合間に朝のシャワーを済ませて、顔にキールズの保湿剤を塗り、髪を乾かし、部屋に散らばるハンガーを集める。雨は先ほどまでぱらついていたのか、今は降っていないものの向かいのマンションの外壁が少し濡れていた。

昨日余った歌舞伎揚とガトーショコラを口に含みながら、ネットサーフィンをしていた。すると、高校の友人から夕食の誘いがあった。さささのさで友人ふたりと軽く飲むことになった。

彼女との別れを決め、同棲を解消しようとしている親友。意外にも冷静で、飼っているペットの親権についてや、賃貸の解約について、その後の実家暮らしについてと、そこにある事実を事実として口にしていた。もちろん、悲しみや喪失感はきちんとそこにあるのだろうけど、きっとこれからなんだろうと思った。おとなになるにつれ、激情に駆られることが少なくなった気がするし、世の中の機微に鈍感になった気がする。見て見ぬフリをすることが自分のメンタルを守るいちばん手っ取り早く効果的な手段であることを、僕たちは知ってしまっていた。

そういえば、今日相方が鶏南蛮そばを食べたいと朝口にしていたことを思い出す。帰り際に地元の薬局で生活用品を買い、スーパーで鶏肉と長ネギ、乾麺のそばを購入した。

久々に手料理を振る舞ったかもしれない。相方は嬉しそうに食べてくれた。その表情を、世界の機微を写真に残せなかったのは悔しいが、そういうものに気づけた日だった。

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